prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「あるいは裏切りという名の犬」

2007年01月17日 | 映画
とっぴなことを言うようだが、見ていて警察組織のとらえ方が「県警対組織暴力」(脚本・笠原和夫)に似ているな、と思った。

演出タッチはフランス伝統のフィルム・ノワールに今風のヴァイオレンス描写を加えたものだが、普段だと犯罪者を演じる顔が警察に越してきたような感じで、法の番人というタテマエとは裏腹の警察内部の妬み・嫉みや、情報屋との癒着がすごく強い。

加えて、ことなかれ主義、上にがっちり首根っこを押さえられている官僚主義、縦割り組織の風通しの悪さ、などの閉塞感が、いちいち日本でも思い当たる。
実話ネタだというが、もともと日本の警察制度はフランスを真似したわけだし、似ていて当然なのかもしれない。

ジェラール・ドパルデューが思い切ってダーティな役をやっているのが新鮮。「県警…」で梅宮辰夫がキャリアー警察官を演じているようなもの。
(☆☆☆★★)