prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のメモと、ツイッターのスクラップで出来ています。
時折、創作も載ります。

「楳図かずお恐怖劇場 蟲たちの家」

2006年06月13日 | 映画
脚本 村井さだゆき 監督 黒沢清。
妻から見た暴力夫と、夫から見た自分の世界に閉じこもって「蟲」になってしまう妻が、各シーンで部分的にだぶりながら微妙に食い違って入れ子式に組み合わさっていて、どっちが妄想なのかわからずしかも不必要な曖昧さのない、すこぶる知能指数の高い作り。
登場人物四人とわずかなロケセットだけで十分見せる。

虫のCGはかなり微妙な出来で、白けかける寸前でシーンを切り替えるなどしてうまくフォローしている。
(☆☆☆★)



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「マクダレンの祈り」

2006年06月13日 | 映画
望まない子供を生んだ女性を集めて、ただ「不道徳」だという理由(レイプなのに)で、何の法的根拠もなしに修道院に監禁し続けていたという、おぞましい実話。
それもさほど昔のことではない。

もっとも現在でもアメリカではレイプによる妊娠でも堕胎するのを白眼視したり、不妊治療で出た余分な胚を処分するのも反対意見が多くて莫大な費用をかけて保存している(ES細胞がそこからとれるのに)、それ以前に人工中絶がいつも大統領選の争点になるといった具合に原理化したキリスト教の不寛容と非人間性というのは、はたから見てグロテスクなまでに抑圧的に思える。(「原理化」した、ですよ、念のため)

不寛容と抑圧の塊になったような修道院長の造形のすさまじさ。
内容といいタッチといい、ほとんどベルイマンを地でいっているよう。あれは必ずしも彼の個人的な表現ではなかったのだね。
(☆☆☆★★)