松原洋一・UAG美術家研究所

近世から明治中期頃までに活動していて、ネット検索しても出てこない画家を中心に紹介しています。ただいま北海道を探索中。

芸のためなら~

2011-01-31 | 湯上がり短話
このあいだ小さな演芸場に入ったら、時間が早すぎて観客が自分のほかに誰もいなくて一人っきりでした。

それでも時間通りに演目は始まり、最初の落語家が出てきて「前座ってぇものはですね~、あ~、お客さまが誰もいらっしゃらなくったってぇ、やらなくっちゃいけない。お一人でもお客さんがいらっしゃるってぇことは、あ~、てぇへんありがてぇことでございやして~」なんてぇことを言っていました。

こういうのもなかなか粋ではありますが、やはり芸を育てるにはある程度の観客は必要です。観客と1対1ではお互いのためになりません。

だから、芸を極めようとしている人にとって、困ってしまうのがデートの時です。デートなんてぇものは、ほとんどの場合が二人きりですから、観客はいつも一人ということです。これではデート中になにか面白いことを思いついたとしても、観客が少なすぎて披露する気になれません。といってつまらない話をするわけにもいかず、黙ってばかりだと、彼女は「ああ、なんて無口でステキな人なのかしら」と誤解してしまうかもしれません。

これでは恋は実っても芸が育ちません。

やはりデートといえども他の観客が必要です。

観客としては、まずどんなことでも大笑いするオバチャンを二、三人、転んだとかすべったとか単語だけに反応するオジサンも一人、国際派を目指すために外国人も二、三人、保険のために女子大生を二、三人、とりあえずこれくらいの人数は必要です。大所帯になりますから、移動にはマイクロバスを借りたほうがよいでしょう。

あと、デートの相手も忘れずに加えておかなくてはいけません。

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会えない時間が愛育てるのさ

2011-01-24 | 湯上がり短話
よく新聞でみかける新卒学生を対象にしたアンケートで「デートの約束がある時、残業を命じられたらどうしますか」というのがあります。その結果、「残業」を選んだ人が多いと「不況のせいか、最近の学生は仕事優先だ」という結論になってしまいます。

しかし残念ながらこの分析はまったくはずれています。残業を選んだから仕事優先だと解釈するのではあまりにも短絡的すぎるのです。

一般的にいって、恋愛をより刺激的にするにはアクシデントやハプニングが必要です。だから約束がそのまま守られたのでは何の進展もありません。会いたいのに会えないという枯渇感こそが重要なのです。つまり突然の「残業」というハプニングは恋を成熟させる絶好のチャンスだと言えるでしょう。

だからこの質問で、デートよりも残業を選んだ人は、仕事人間どころか恋愛上手な遊び人だと推測できます。

もちろん逆の場合もあります。

生真面目で仕事をより深く理解したいと願う人は、自分の仕事を見つめ直すために敢えてデートを優先させるに違いありません。さらに仕事に対する枯渇感を味わうために、二人で日本一周自転車の旅に出かける可能性だってあります。旅を終え自分と仕事との関係が成熟した時、彼は真の仕事人間になることでしょう。

会社に席が残っていればの話ですが…。

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