松原洋一・UAG美術家研究所

近世から明治中期頃までに活動していて、ネット検索しても出てこない画家を中心に紹介しています。ただいま宮城県を探索中。

野口彌太郎と長崎ゆかりの洋画家

2017-10-16 | 画人伝・長崎


文献:長崎の肖像、天成の画家の全貌 野口彌太郎展

野口彌太郎(1899-1976)は、諫早市出身の銀行家・野口彌三の長男として東京に生まれ、父の仕事の関係で各地を転々としたが、父の田園生活を送らせたいとの思いから、明治44年の約半年間を諫早の小学校で過ごしている。野口彌太郎と長崎との関係は、この少年時代からはじまっており、生涯長崎を愛し続け、幾度となく諫早や長崎を訪れ多くの作品を残している。ほかには、プロテスタント画家として活躍した石河光哉(1894-1979)、長崎創作版画の先駆者・田川憲(1906-1967)らがいる。

野口彌太郎(1899-1976)
明治32年東京生まれ。諫早市小野出身の銀行家・野口弥三の長男。小学校時代の明治44年から年末まで小野尋常小学校に学んだ。大正9年関西学院中学部を卒業、画家を志して川端画学校に学んだ。大正11年、第9回二科展に初入選。大正15年に1930年協会の会員となった。昭和4年から8年まではフランスに滞在、サロン・ドートンヌ出品作がフランス政府買い上げになった。帰国後は独立美術協会会員として活動した。戦後は長崎・諫早をしばしば訪れ多くの作品を残した。昭和35年に再渡欧。39年毎日芸術賞、47年芸術選奨文部大臣賞を受賞、同年日本芸術院会員となった。昭和51年、76歳で死去した。

石河光哉(1894-1979)
明治27年長崎生まれ。島原藩剣道指南・石河光英の末子。長崎鎮西学院で洗礼を受けた。のちに東京の青山学院に転校し、同校卒業後、本郷洋画研究所に入り、岡田三郎助の指導を受けた。大正2年に内村鑑三門下生となり、この頃雑誌白樺でゴッホに心酔、画家を志し、内村の勧めで東京美術学校洋画科に入った。大正10年の卒業制作が帝展に入選。同年、長崎県立女学校の絵画教師となり、前田寛治同行でフランスに留学した。プロテスタント画家として活躍した。昭和54年、84歳で死去した。

辻利平(1900-1988)
明治33年松浦市生まれ。長崎県師範学校卒業後、教職を経て、昭和3年に東京美術学校を卒業。斎藤与里に師事した。昭和8年東光会創立展でT氏奨励賞を受賞、同年帝展に入選した。昭和15年に東光会会員となり、昭和41年第9回日展で菊華賞を受賞。昭和44年の改組第1回日展で審査員となり、翌年日展会員となった。昭和52年に副理事長となった。昭和63年、87歳で死去した。

田川憲(1906-1967)
明治39年長崎市生まれ。長崎市立商業卒業後の昭和元年画家を志して上京、宮内省主馬寮につとめた。翌年、恩地孝四郎に出会い創作版画を志すようになった。昭和3年川端画学校に入学、昭和8年に帰郷し長崎県立長崎図書館で版画個展を開催、同年「詩と版画の会」を結成した。昭和10年国画会に出品、昭和15年日本版画協会会員となったが、翌年から上海に移住し、「上海版画協会」「上海版画研究所」を設立、終戦後に帰国し、以後は長崎を拠点に制作した。昭和24年に「原爆遺跡・浦上天主堂」を出版、没後には「長崎東山手十二番館」が刊行された。長崎創作版画の先駆として長崎県文化功労者表彰、第1回長崎新聞文化章を受けた。昭和42年、60歳で死去した。

小川緑(1906-1988)
明治39年北海道生まれ。本名は緑治。昭和12年に長崎に移り住んだ。本郷洋画研究所で岡田三郎助、辻永に学び、昭和14年春陽展に初入選。昭和28年春陽会会員となった。長崎市展・県展の審査員をつとめ、「長崎市中島川を守る会」では初代会長として長崎の美術振興に尽力した。昭和36年に長崎県文化功労者表彰を受けた。昭和63年、81歳で死去した。

大塚伊次(1909-1986)
明治42年長崎市生まれ。昭和14年二科展初入選。昭和20年同志とともに「長崎洋画家倶楽部」を結成、昭和25年には長崎市民美術展設立に協力するなど、戦後の長崎市の美術振興に尽力した。また、山本鼎の自由画運動時代に平山国三郎、荒川秀男らと長崎の児童美術教育改革につとめた。昭和32年からは一陽会に出品、昭和46年一陽会会員となった。昭和61年、77歳で死去した。

池野清(1914-1960)
大正3年長崎市生まれ。長崎市立長崎商業学校卒業後、独学で画家を志し、昭和12年独立展に初入選し、昭和16年に会友となり、戦中を除いて独立展に出品した。草創期の長崎県展や市展で審査員をつとめるなど、長崎の美術振興に貢献した。昭和35年、46歳で死去した。



野口彌太郎 滞欧回顧展
吉井画廊
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