茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

茶銘

2006-07-12 21:15:11 | 茶道マメ知識
 お抹茶にも銘がついています。自然を思わせるものや、めでたいもの、その名は風流で雅なものが多く、抹茶売場で見るにつけ、気になっていました。
 茶道を習っていない方は馴染みがないと思いますが、抹茶にも道具と同様に家元のお好みというのがあり、それぞれの御茶屋さん毎に○○宗匠御好の抹茶が売られています。先日、柳桜園という御茶屋さんを訪ねた時のことを書きましたが、坐忘斎宗匠御好濃茶“長松の昔”、鵬雲斎宗匠御好薄茶“敬の白”といった具合です。

 思い立って「丸久小山園」、「柳桜園」、「上林」、「一保堂」、「福寿園」の濃茶・薄茶銘リストをエクセルで作成してみました。皆さんも作ってみませんか?それぞれの家元のお好みの銘が一目でわかり、面白いです。これから他のご製の欄も増やしていこうと思っております。

 それにしても家元御好の茶銘はどうやって決めるのでしょうね。どなたかご存知でしたら教えて下さい。家元が直々に決めるのか、御茶屋さんが新しいお茶を作り、銘もいくつか考えて家元に飲んで頂いた上で決めるのでしょうか。

 さて「上林」によれば、茶銘の始まりは、茶師が摘み取られた新芽を茶園ことに区別するため、茶壷や茶袋につけた目印であったとか。一の○、いの○など数字が付された茶銘が多いのはその名残。
 茶銘の一覧を見ていて気づくのは、**の白、**の昔という銘が多いこと。この由来も上林のHPにありました。
以下引用**************************************************
「白」「昔」という文字が付く茶銘は、つぎの話に由来します。「ある茶師が正月にお伊勢参りをしたとき、茶店で季節外れに青々とした蓬餅を見つけた。店の老婆は、芽立ちの頃に摘んだ蓬を貯えているので、冬になっても色のよい餅がつくれるという。早速その製法を茶づくりに応用したところ、青々とした抹茶ができあがり、物珍しさもあって大流行した。しかし風味は従来の白製抹茶に劣り、将軍家の御茶吟味役であった小堀遠江守も白製抹茶を極上とした」。そこで、新製法の青製茶と区別するために、むかし製法の茶には昔製・白製という意味で「昔」「白」という文字が付されるようになったのだそうです。
********************************************************
 全部に該当はしませんが、“昔”が濃茶、“白”は薄茶に使用されることが多いようです。青製茶というのがどんなものなのか、気になるところですね。青々とした色を見、味わってみたいものです。今や作っている御茶屋さんはないのでしょうか?

 濃茶と薄茶の銘を適当に羅列していきますので、お楽しみ下さい。

<濃茶> 錦上の昔/きんじょうのむかし、瑞雲の昔/しょううんのむかし、清昔/きよむかし、長松の昔/ちょうしょうのむかし、鳳の昔/おおとりのむかし、巌の昔/いわおのむかし、好の白/このみのしろ、嘉祥の昔/かしょうのむかし、松泉乃昔/しょうせんのむかし、御代の昔/みよのむかし、祝の白/いわいのしろ、初昔/はつむかし、綾の森/あやのもり、彩雲/さいうん、喜雲/きうん、松花の昔/しょうかのむかし、天授/てんじゅ、長安/ちょうあん、永寿/えいじゅ、雲鶴/うんかく、金輪/きんりん、瑞鳳/ずいほう、初摘昔/はつづみむかし、清和の白/せいわのしろ、初音の昔/はつねのむかし、九重の昔/ここのえのむかし、四方の昔/しほうのむかし、吉の森/よしのもり、緑毛の昔/りょくもうのむかし など

<薄茶> 珠の白/たまのしろ、寂の白/わびのしろ、江雲の白/こううんのしろ、敬の白/けいのしろ、路の白/みちのしろ、和敬の白/わけいのしろ、常静の白/じょうせいのしろ、篷の白/とまのしろ、雅の白/みやびのしろ、峰の白/みねのしろ、松の白/まつのしろ、常磐の昔/ときわのむかし、極昔/ごくむかし、冨嶽/ふがく、幸の白/さちのしろ、泉の昔/いずみのむかし、初の森/はつのもり、宮の白/みやのしろ、桂の里/かつらのさと、青の森/あおのもり、ゆずり葉昔/ゆずりはむかし、福昔/ふくむかし、琵琶の白/びわのしろ、龍の影/りょうのかげ、和光/わこう、又玄/ゆうげん、五十鈴/いすず、青嵐/あおあらし、三友の白/さんゆうのしろ、吉祥/きっしょう、松柏/しょうはく、山月の白/さんげつのしろ、祥風/しょうふう、双鶴の白/そうかくのしろ、初の森/はつのもり など

 茶道を習っていない方はたくさんあって驚かれたのでは? 実際はもっとあり、これは一部です。また、濃茶と薄茶に分かれていますが、濃茶用の抹茶はよい茶葉を使っているので、これで薄茶を点てることも可能です。但し、薄茶用の抹茶で濃茶を点てることはありません。物理的には点てられますが、おいしくないので勧められません。
 習っている方は知っている銘はありましたか?特に好きな抹茶がありますか?飲んだことのない銘からどんな味を想像しましたか?
 気が向いたら味の差を確かめてみるのも楽しいかもしれません。といっても多過ぎて点てるのも飲むのも大変ですが!

 先日、丸久小山園で“冷抹茶”を売っていました。夏仕様なのでしょう、お店の人に聞いたところ、火入れの時間を長くして抹茶の粒子を細かくしているのでお湯で点てるほどには泡立たないが、水で点てることができるそうです。もしくは濃い目にぬるいお湯で点てて氷を浮かべて頂いてもいいですね、とのこと。
 そういえば、数年前の夏に国立博物館に行った時、鶴屋吉信が出店を出していて、氷の浮いたお抹茶を頂戴したことがあります。冷たい抹茶もおいしかったです。
 最近は“新茶抹茶”が売り出されるようになり、今回京都旅行でもたくさん見かけました。でも私はやはり新茶抹茶を購入しようという気にも、冷抹茶を買う気にもなれず、小山園では“雲鶴”という普通の濃茶用抹茶をお土産用に購入しました。(冷抹茶には水で点ててみたいという好奇心は沸いたのですが。)
 抹茶の世界も色々な方に飲んで頂く為に目新しいものを開発しているのでしょうね。色々変化していくものです。
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14 コメント

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圧巻! (みかん)
2006-07-13 01:29:50
これだけの茶銘が並ぶと圧巻ですね。

飲み比べて判るのでしょうか、自信ない・・・

あまり茶銘は覚えていないのですが、いわゆる高級抹茶(先生が今日はいいお茶使ってるのよ、とおっしゃった時)はやっぱり美味しいな~とは思いますが。



m-tamagoさん、リストだけでなく出来ればいちど表にして欲しいものです。



好きな茶銘 (ジジのママ)
2006-07-13 07:51:15
お稽古で頂くお抹茶は先生の好きなお茶を購入されてます。

小山園の「慶知の昔」「喜雲」ですね。



たまごさんが調べられた茶銘の数を見ると飲み比べしてみたいなぁ・・・って思っちゃいますね。



自宅用も先生から頂くお抹茶を使ってましたが違うお茶屋さんのお抹茶も使ってみてお気に入りに出会えたら先生にもお勧めしてみようかしら・・・

上林 (minera)
2006-07-13 09:59:35
こんにちは。

御抹茶ちょうど特別稽古の為にネットで購入しました!

今回は正しく私からのリクエストで、無理して先生に許可をとりました。

今回はとにかく上林の翔雲が飲みたかったのです。

当日はじめて飲めるのでなんとも楽しみです。

いろんな御抹茶があって、味はそんなにかわらないんじゃないの~と周りの人には言われますが、

これが全く違うんですよね。

高い緒抹茶はやはり茶葉が違うのか、雲泥の差で味が違いますよね。

濃茶で練っているときから、かぐわしい香りが席中に漂ってきて…。

週末2種の緒抹茶なんとも楽しみです。



鶴屋吉信は国立博物館にイベントがあると出店してますね。

私もよくいっていました。

博物館の裏の茶室もいつか借りて茶会でもしたいなあと思っています。

人数さえ集まればできそうです。
茶銘 (ゆりかもめ)
2006-07-13 20:15:00
茶銘は、ほんとにたくさんの種類がありますね。

あれっと思うのは、同じ茶銘でもお茶屋さんによって全く違う茶葉のことがあります。

例えば、柳桜園さんの「綾の森」は濃茶用の上等のお茶ですが、一保堂さんの「綾の森」は調理・加工用の安いお茶です。以前に一保堂さんで「綾の森」を買おうとしたら「このお茶は苦いですから、そのまま飲むのはちょっと・・・」と言われ、買うのをやめたことがありました。

やはり、○○製の「○○」とお茶屋さんと茶銘をセットで覚えるのがいいですね。



タマゴさんの茶銘データベース、おもしろそうなので公開してほしいな。
茶銘いろいろ (m-tamago)
2006-07-13 20:59:48
みかんさん、こんばんは。

飲み比べて判るものと判らないものとありそうですね。違うご製で、同じ家元好みのお茶で点ててみたら差がありそうで面白くありませんか?案外同じような味だったりして??



エクセルで一覧表は作ったのですよ。興味あれば作ってみること、お勧めします。お茶屋さんの店頭に行けば一覧を下さいますし、ネットで調べても出てくるので案外簡単です。

好きな茶銘 (m-tamago)
2006-07-13 21:04:13
ジジのママさん、こんばんは。



お稽古場では小山園の「慶知の昔」「喜雲」ですか、私の先生も喜雲はお好みです。



茶銘たくさんあるので、飲み比べしたいですね。といっても一人で購入して全部は大変なので、皆で1つずつ持ち寄って点ててのみ比べたら楽しいかもしれませんね。近ければママさんとするのに。



>お気に入りに出会えたら先生にもお勧めしてみようかしら・・・

それはお喜びになるかも!

私も最近旅先や物産展で季節限定の抹茶があると求めて皆でお稽古の時ご相伴しますが、先生も喜んで下さいます。

上林 (m-tamago)
2006-07-13 21:07:29
mineraさん、大円草のお稽古の為に二種ですか、楽しみが増えますね。私は違うつもりでいつもお稽古です。

上林の翔雲、飲んだことがないなあ。お味をお知らせ下さい。



>博物館の裏の茶室もいつか借りて茶会でもしたいなあと思っています。

歴史ある建物ですよね。裏の日本家屋で坐禅を組んだことがあります。お茶会いいですね。
茶銘 (m-tamago)
2006-07-13 21:15:30
ゆりかもめさん、同じ茶銘でも御茶屋さんによって違う。。。。そうでしたか。

まずは自分の流派の家元のお好みから覚え、飲んでみたいと思います。



>タマゴさんの茶銘データベース、おもしろそうなので公開してほしいな。

家元名とご製が縦横にあって、茶銘を書き込んだだけの簡単なエクセル表です。全く自己満足で。。。面白いけど役に立つのかは微妙です。

茶かぶき (飛翔)
2006-07-13 23:55:15
上林と聞けば、直ぐ茶かぶきを思い出します。

濃茶の種類を飲み当てる一種の遊びだけれど、これがなかなか遊びとはいかない。。。。

それから、茶通箱の時、お客さんが持ってこられたお茶と、自分が用意したお茶に、格をつけると言うか、自分が用意したお茶を低く言う場合、茶銘を直ぐ思い出せず苦労しますね。

どちらにしても、茶銘は覚えるに値するほど風情がありますが、とにかく多すぎて、一週間に一つ覚えようかしら?
一白 (グランマ)
2006-07-14 17:24:24
この銘のお抹茶は熱海MOA美術館で販売している茶です。エムオーエー藤枝園 有機栽培抹茶として売っている物ですが美味しいと思います。(自然農法)

宗匠方お名前も入ってないし、MOA美術館蔵の国宝樵夫蒔絵硯箱の絵柄の缶も捨てがたいのです。

普段の稽古は柳桜園の祥雲の昔と珠の白です。色々飲み比べてみたいですが地方では手に入りにくいのですよ。

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