ただのサッカーブログ

世間知らずの人間が書くサッカーを中心とした個人ブログ。2020年からはサッカー以外の事も少しずつ。

サッカー未経験監督 挑む 日本経済新聞文字おこし 前

2021-12-04 | Weblog
2021年令和3年8月23日月曜日、日本経済新聞朝刊、文字おこし

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サッカー未経験監督 挑む
戦術は動画、対話で動かす
サッカー未経験ながら指揮ライセンスを取得し
東京外国語大学サッカー部の監督を務める木室さん
(東京都府中市)

ホワイトボードとマグネットを使った動き方を指示した後、
東京外国語大学サッカー部監督の木室孝輔さん(23)は
言い放った。「技術のことはうまい選手に聞いて」

木室さんにサッカーのプレー経験はない。
リーダーがあらゆることをこなせなくても、
組織運営はきっと可能だ。そう信じて采配を振るう。

中学2年の時、偶然テレビで見たイングランド・
プレミアリーグの試合に衝撃を受けた。
本場のプレーの迫力、ファンの熱量。
あっという間に惚(ほ)れ込んだ。

当時所属していたのは水泳部で、サッカー経験はゼロ。
それでも、どうしてもサッカーに携わりたい。
「プロ経験がなくても偉大な監督はいる。
未経験でも監督になれるのではないか」。
サッカーの戦術本を読みあさり、指導者の講習会に
通うなど、自分なりに知識を頭に叩き込んだ。

大学入学後にサッカーの指導者資格を取り、大阪の
高校のサッカー部でコーチを任された。だがやはり
というべきか、現場は全然甘くなかった。日々の練習で
次々と出る課題に答えを出せない。「理論だけでは
どうにもならない」と実感した。

どうしたらいいだろう。必死に考え思いついたのが選手
との対話だった。雑談を通じコミュニケーションを
深めると、徐々に練習メニューの意図や選手への
アドバイスが伝わるようになった。

さらに「大事なのは目標を見せること。自分がやって
みせられないなら映像で見せればいい」と思い至った。
目指す動きや戦術を映像にまとめて説明し、上手な
選手には手本を見せてもらって、選手全員に同じ
イメージを持たせた。すると選手の動きが変わった。

上手な選手は映像をまねることで素早く技術を身につけ、
他の選手に教え始める。選手間で自分の指導が伝わって
いくのがわかった。母校のチームで指導した結果、
上位リーグに進出する結果も出せた。

大学卒業が近づいたころ、Jリーグ参入を目指す
兵庫県の強豪社会人クラブ(注:FC淡路島の事)のコーチの
席が空いているという話が舞い込んだ。大学院進学と
迷ったのもわずかな間、「現場で得られる経験に勝る
ものはない」と飛び込んだ。

チームでは戦術分析などを担当した。知識も実力もある
選手たちは、自信のない指示をすぐに見抜く。
理論や分析は間違っていなくても「結局何が
言いたいんだよ」と言われることもあった。

監督をはじめ周りの指導者の様子を観察すると、
必要なときにはわざと強い言葉で叱るなど、あえて
「指導者という役回り」を演じていると気づいた。
「レベルの高い選手渡り合うには理論の
中身だけでなく、伝え方も大事なんだ」。
1年ほどで退団するまで経験を重ねた。

つづく




12月3日(金)閲覧数:529PV 訪問者数:362人

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