「一人の声が世界を変えた!」(伊藤千尋著)

2012-04-21 19:02:29 | 私の愛読書

元朝日新聞の特派員だった伊藤千尋さんの著書。発刊されたのは、2年前。本の名前だけは知っていたし、伊藤さんは、昨年の宮城県母親大会にも講師として来ていた方なので(私は聞けなかったが)、名前は知っていたが、この本を読んだのは今回が初めてだった。

これを読むと、実際に歴史を動かしていたのが、一人一人の生身の人間であることがよくわかる。チリの現代史は、「ショックドクトリン」を読んで以来、ものすごく興味を抱いているが、戒厳令下でかくのごとく、勇気あるチリの国民がたたかっていたとは。投獄されながら、獄中にタイプライターを差し入れさせて、記事を書き続けるジャーナリスト、ローマ法王の前で、衆目にさらされながら、国の現実を堂々と述べる主婦、保母、青年…。最悪の場合、拷問や虐殺の危険すらある中で、まさに命をかけた告発だった。軍政批判の活動が徹底して弾圧される中、ローマ法王の歓迎パレードの最中、ビルの屋上から紙ふぶきに紛れて、「聖なる法王よ、チリはパン・仕事・正義・自由を求めています。キリスト教民主党」と書いた10センチ四方のビラがまかれる。かつての映画「サンチャゴに雨がふる」は1973年のクーデターを描いたが、それから14年たった街にはビラがふった。

社会変革の歴史には、いつでも一人一人の「この世界を変えたい」という意思と行動がある。

相手が強大になると、「いくらたたかってもダメだ」とか敗北的なあきらめ気分になることがある。しかし、相手が強大になればなるほど、頭を使い工夫をすればいいのだ。新自由主義、競争原理主義が日本を覆い尽くしているように見えても、人類の進歩の流れに逆らう潮流は必ず破たんする。こんな異常な弱者切り捨て、競争がいつまでも続くはずがない。それが破たんしたときに、それに変わる希望ある道を指し示すことができる人間集団をしっかりとつくりあげることこそいま必要なのだ。

 

 

 

 

 


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