シネブログ

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『イカとクジラ』

2008年01月13日 11時54分40秒 | 映画レビュー
原題: THE SQUID AND THE WHALE
製作年度: 2005年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 81分
監督:ノア・バームバック
製作:ウェス・アンダーソン、チャーリー・コーウィン、クララ・マルコヴィッチ、ピーター・ニューマン
脚本:ノア・バームバック
撮影:ロバート・イェーマン
プロダクションデザイン:アン・ロス
衣装デザイン:エイミー・ウェストコット
編集:ティム・ストリート
音楽:ブリッタ・フィリップス、ディーン・ウェアハム
出演:ジェフ・ダニエルズ、ローラ・リニー、ジェシー・アイゼンバーグ、オーウェン・クライン、ウィリアム・ボールドウィン、アンナ・パキン、ヘイリー・ファイファー、ケン・レオン
オススメ度:★★★☆☆

ストーリー:
1986 年、ブルックリン。16歳の兄ウォルトと12歳の弟フランクの両親は共に作家。しかし父バーナードはかつては脚光を浴びたものの、現在は長くスランプが続いていた。一方の母ジョーンは『ニューヨーカー』誌での華々しいデビューを控えた新進作家。そんなある日、兄弟は両親から離婚することを告げられる。そして、兄弟は共同監護という形で父の家と母の家を行ったり来たりの生活が始まる。やがて、弟はストレスから学校で奇行を繰り返すようになり、冷静に受け止めていたかに思われた兄もまた学校で問題を引き起こしてしまう…。



コメント:
一人ひとりの言動が家族を崩壊させていく。離婚という社会的問題を、本作ならではのユーモアとアイロニーを交えてリアルに描き出している。だがそこに笑える要素は一切ない。離婚がどれだけ悲惨で惨めなものかがヒシヒシと伝わってくる作品だ。離婚って本当に嫌だな…と。

正直言うと、本作が一番伝えたかったものが何だったのか理解できなかった。それは僕の理解力の浅さが原因ではなく、作品内で遣われるセリフの汚さに嫌気が差してしまったことが問題だ。つまり脚本そのものが僕の受け付けないものであったと言える。特に次男のフランクは言葉遣いがひどく”shit”や” #OOPS#”を何度も遣っている。子供がこういう言葉を平気で遣ってしまうのはなんだか恐ろしい光景だ。親の離婚により精神的に不安定になり、そのため発せられる言葉で、この先何か大きな事件が起きることを予感させる。離婚が落とす影の強さが、こういった言葉遣いに一番影響してくるのだろうなという印象を強く受けた。

だが僕が一番嫌悪感を覚えた言葉は、母親が子供を呼ぶときに遣う”Chicken”や”Pickle”という言葉である。長男のウォルトには「Chicken=臆病者」(参考:『バック・トゥ・ザ・フューチャー』では主人公マーティーがこの言葉を言われることでいつも事件が起きていた)、次男のフランクには「Pickle=いたずらっ子」という意味で遣われている。母親が普段から子供に対してこう呼び捨てる心理というのはどういうことなのだろうか?僕はこの心理をどうしても理解することができず、最後まで子供に対する侮辱の言葉でしか聞きとることがなかった。たとえこれが親としての愛情表現だろうと、本心だろうと、侮辱的な言葉を平気で遣ってしまう母親がいたのでは家庭はうまくいかないだろうなと感じた。

おそらく作品としては、家族一人ひとりの未熟さが原因で離婚に発展したということを描きたかったのだと思うのだが、僕からすればあまりに偏った家族像が見えてしまったためそれを真摯に受け止めることはできなかった。『イカとクジラ』というタイトルにも相当いろんな思いが詰められているのだと思うのだが、今の僕にはそれを理解することは不可能だったようだ。おそらくその意味を感じ取れるかどうかは人それぞれの経験や考え方次第で変わってくるであろう。

まあストーリーはともかく、演じている俳優陣はとてもよかった。彼らがリアルな演技をしたおかげで、僕はセリフに強いインパクトを感じることができたのだから。自分がもし離婚を経験するなら、日常の会話が原因になってくるのだろうなという想像すらしてしまった。ある意味、本作で離婚の疑似体験をさせられたような気分である。

時間を置いて再度鑑賞すれば、きっとまた違った印象を与えてくれる作品だと思う。そのとき自分が離婚をしていないことをただ祈りたい…。


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1 コメント

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こんばんわっ (なつめ)
2008-01-14 01:02:29
いい感じのブログですねっ、これからちょこちょこ覗かせていただきます♪
そうそう、だまされたと思ってやってみてww
ココの女みんな本気だからwwww
http://dvxvb.net/dp/118
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