シネブログ

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『ディスタービア』

2008年07月20日 00時20分56秒 | 映画レビュー
原題: DISTURBIA
製作年度: 2007年
別題:-
製作国・地域: アメリカ 上映時間: 104分
監督:D・J・カルーソー
製作:ジョー・メジャック、E・ベネット・ウォルシュ、ジャッキー・マーカス
製作総指揮:アイヴァン・ライトマン、トム・ポロック
原案:クリストファー・ランドン
脚本:クリストファー・ランドン、カール・エルスワース
撮影監督:ロジェ・ストファーズ
プロダクションデザイン:トム・サウスウェル
衣装デザイン:マリー=シルヴィー・ドゥヴォー
編集:ジム・ペイジ
音楽:ジェフ・ザネリ
出演:
シャイア・ラブーフ ケール
キャリー=アン・モス ジュリー
デヴィッド・モース ミスター・ターナー
サラ・ローマー アシュリー
アーロン・ヨー ロニー
ホセ・パブロ・カンティージョ
マット・クレイヴン
ヴィオラ・デイヴィス
オススメ度:★★★★☆

ストーリー:
父親を交通事故で亡くして以来、自暴自棄になっていたケールは学校で教師を殴る事件を起こしてしまう。そして裁判所から3ヶ月間の自宅軟禁処分を言い渡され、行動範囲の半径30メートルを越えると警察へ通報される監視システムを足首に取り付けられる羽目に。こうして暇を持て余し、ある時ふと近所の覗き見を始めたケールは、やがて親友のロニーと隣に引っ越してきたアシュリーも交え、ますます覗き見にはまっていく。そんなある日、血まみれのゴミ袋を引きずる人影を目にするケール。また同じ頃、巷では赤毛の女性ばかりが次々と行方不明になる事件が頻発していた。裏手に住む挙動不審な男ターナーが容疑者と睨んだケールたちは、彼を焦点に覗きを続けていくのだが…。

コメント:
ヒッチコックの名作『裏窓』の題材を借りてはいるものの、現代のデジタル技術を駆使したことで新しいアイディアが満載で、まさに極上のサスペンス映画と化している。

『裏窓』の特徴と言えば、主人公が足を骨折してベッドでの生活を余儀なくされたことで始まる映画だ。本作では主人公が教師を殴った罪で3ヶ月の自宅監禁を命じられ、そこから殺人事件の目撃者となってしまうというお話。まず驚いたのが、監禁中に足に巻いて自宅からの逃走を監視するシステムが存在していることだ。自宅から30m離れただけで、システムが起動し即座に警察が押し寄せてくる。この30mという距離が全体的にうまく利用されており、とてもバランスの取れた緊張感を保ってくれている。

また今回探偵を一緒に行うのが、隣に引っ越してきた美女アシュリーと親友でお調子者のロニー。まず本作のキーワードでもある”覗き”だが、アシュリーに対する覗きシーンはかなり控えめで男としてはちょっと物足りない。隣家で真昼っからプールで泳がれちゃ~誰だって覗きたくなるでしょ!?もう少しサービスがあったら★5つだったのに…。でもこの女優さん、ホントにきれいで魅力あるのでこれからもたくさん映画に出てほしいもんですな。

と、話が少しずれたが、メインはやはり殺人鬼の行動を”覗く”というものである。双眼鏡から見たアップの視点と窓から見える全体の視点をうまく使い分け、覗く者たちと犯人の心理をうまく描いている。”覗く”ということは相手からも”覗ける”という恐怖をひしひしと感じさせられた。

舞台は現代ということで、デジタルカメラ、携帯、パソコンなどデジタル機器があらゆるところで使用される。自分の目で確かめることより、デジタル機器に映ったものを先に信じてしまう世の中。最終的に信じられるのは、自分の目で見て手で触ってリアルな実物を確かめるしかない。後半で犯人の自宅へ潜入する主人公たちの心理はそういったところにあるのだろう。でも確固たる証拠が上がるまで動かない警察も嫌だな。鹿を自宅に持ち帰って車庫に保管している人間を不審に思わないものだろうか?あれはあまりに出来すぎな話であるように感じた。

いやそれにしても犯人役のデヴィッド・モースははまり役だ。白髪の渋い風貌に落ち着いた演技。冷静かつ沈着にことを運ぶ犯人にピッタリである。主人公のシャイア・ラブーフも期待の俳優なだけに名演技を見せてくれている。キスシーンが長すぎて結構苛っとしたけど…今後も期待できる俳優だ。

最初から犯人は明確であるものの、行動範囲も狭められじわじわと追い詰められる感覚が最高のサスペンス要素といえる。現代版『裏窓』の名は十分引き継げる作品であったように思う。”覗き”という、やってはいけないけどついついやってしまう人間の葛藤がいきつく結末をとくとご覧あれ。