シネブログ

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『グレムリン』

2007年04月14日 04時26分02秒 | 映画レビュー
原題:GREMLINS
製作年度:1984年
上映時間:107分
監督:ジョー・ダンテ
出演:ザック・ギャリガン 、フィービー・ケイツ 、ホイト・アクストン 、フランシス・リー・マッケイン 、ポリー・ホリデイ 、グリン・ターマン
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
チャイナタウンの骨董屋で発明家ペルツァーが手に入れた不思議な動物モグワイ。彼はそれを息子ビリーへクリスマス・プレゼントとして贈るが、モグワイには、水に濡らさないこと、太陽光線に当てないこと、真夜中すぎにエサを与えないことの三つの誓いが必要だった。だが、この誓いが破られた時、可愛いモグワイは恐るべき凶悪な怪物グレムリンへと増殖していく。かくして平和な田舎町キングトン・フォールズは悪夢のクリスマスを迎えることになるのだ。



コメント:
子供の頃から何度も観ている大好きな映画のひとつ。一応パニック映画というジャンルだが、遊び心満載でアイディアをフルに活かしており、素直に楽しませてくれる映画だ。ツッコミどころ満載だがそれはこの映画の愛嬌なので軽く流しておこう。コメディ要素も存分に取り入れられていて、ただのパニック映画で終わらせていないところが流石。なんたって監督にはコミカルセンス抜群のジョー・ダンテ。脚本は『ハリー・ポッター』シリーズの監督・製作に携わったクリス・コロンバス。そして製作総指揮にはあのスティーヴン・スピルバーグが絡んでるくらいだからおもしろくならないわけがない。

この映画の主人公はなんといっても、モグワイ=グレムリンというユニークなキャラクター。おそらく誰もがそのキャラクターを一度は観たことがあるはずだ。それにしてもギズモは本当にかわいい。こんなペットがいたら絶対子供たちの人気商品になるだろうな。だがこのかわいい生き物を飼うためにはいくつか守らなければならないルールが存在する。

 1.水に濡らさない
 2.真夜中過ぎに餌を与えない
 3.光に当てない
  
こういうルールは大好き!
水、食べ物、日光という人間には欠かすことのできない三要素。生活していて常に存在するものだけに、これらがグレムリンにどういう影響を及ぼすのかワクワクするだろう。それにこういったルールはストーリー構成を作るにもとても重要だ。結果を言ってしまうと見事この三要素がテンポのよいストーリー展開を生んでいる。

そしてこの映画の一番の見所と言ってもいいのが「グレムリンvs母」の戦いだ。十分逃げる余裕があるにも関わらずグレムリンを皆殺しにしようとする母はとにかく鬼気迫るものがある。まず一匹目はミキサーによるぐちゃぐちゃ死。そして二匹目は包丁によるメッタ刺し。三匹目は電子レンジによる爆死。そして四匹目は息子との連携で焼死させるという見事な戦いを演じている。このシーンはグレムリンが気の毒になるほど酷い殺され方をされているが、ぜひその死を最後まで見届けてあげて欲しい。ホント酷いから…。

あとはとことんグレムリンの悪さっぷりを見せ付けてくれる。町中を好き放題荒らし回るグレムリンを観ているとなんだか気持ちいい。日頃のうっ憤を晴らすかのように酒を飲みたばこを吸い銃をぶっ放す、まるで人間の魔の部分を映し出したかのような暴れようだ。
でも実は製作者も、グレムリンは人間の悪魔の部分という意味で描きたかったのだと思う。
この映画の最後でモグワイの飼い主がいうセリフに「あんたらの社会は自然を破壊した」「モグワイにも同じことをしている愚かなやつらだ」というものがある。結局このグレムリンを増殖させてしまったのも、人間による不注意と自己中心的な考え方によるものが原因で、自然を粗末に扱うと後から災いが自分たちに降りかかるという警告として描きたかったのだろう。見方によってはとても意味のある映画であるといえる。まさに隠れた名作!?ともいえる作品だ。

とにかく本作には映画を楽しむ要素がフル活用されているというわけだ。映画の基本を学ぶにはもってこいの作品な気がする。ぜひまだ観たことのない人にはオススメしたい。

余談だが、スピルバーグの70年代から80年代前半に手がけた作品が一番おもしろかった気がするのは僕だけだろうか?この『グレムリン』の前後に手がけた作品として(全部監督というわけではないが)『JAWS/ジョーズ』『未知との遭遇』『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』『E.T』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『グーニーズ』などなど。どれも10年以内に製作された名作ばかりが名を連ねている。全ての作品にアイディアが溢れており映画人としての才能をフルに発揮していた時代だと思う。最近その勢いが薄れてきている感もあるが、この映画を観てまたその勢い取り戻して欲しいという気持ちも高まった。久々にスピルバーグの楽しい映画を観たいなぁ~…と思う今日この頃である。