シネブログ

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『明日に向って撃て!』

2007年02月10日 17時54分35秒 | 映画レビュー
製作年度:1969年
上映時間:112分
監督:ジョージ・ロイ・ヒル
出演:ポール・ニューマン 、ロバート・レッドフォード 、キャサリン・ロス 、ストローザー・マーティン 、クロリス・リーチマン 、チャールズ・ディアコップ
オススメ度:★★★★★

ストーリー:
列車強盗としてならしたブッチとサンダンス。しかし、近代化に向かう時代に、彼らの生き方はあまりにも旧弊だった。新たな夢を求めて、二人は南米ボリビアへと旅立つが……。



コメント:
この映画のラストは衝撃的だ。
同様のラストが描かれている作品として『ボニーとクライド/俺たちに明日はない』という映画がある。
どちらも実話を基にした作品でラストは警官隊によって蜂の巣にされるという悲劇的なものだ。

しかしこの2作品を比べてみると明らかに異なる部分がある。
それはその衝撃的な結末の見せ方だ。

『ボニーとクライド/俺たちに明日はない』では、その蜂の巣にされる様子を全て映像で見せることで完璧なリアルさを出している。
だが本作では、結末は誰もが想像できるものであるため、画面にストップをかけてそのままゆっくりとセピア色に染まっていくという演出を施してある。その最後を物語るのは想像を絶する数の銃声だけ。
このラストには本当に驚かされた。
そして言葉にすることができなかった。

こんなラストにできるのも”男の友情”というテーマがあってからこそであろう。
全編を通して描かれるポール・ニューマン演じるブッチとロバート・レッドフォード演じるサンダンスの友情。
死ぬ間際の二人の会話ではその絆の強さを感じることができた。
そしてその直後に最後を迎えてしまう・・・

しかしこんなラストを見せられたにも関わらずあまり悲しさが残らないなということに気づく。
しばらくしてからその理由は劇中で流れる音楽のせいだということがわかった。
この映画で使用されている音楽のほとんどは明るい音楽ばかり。
序盤でブッチが後ろ乗りで自転車を乗り回すシーンでは『雨に濡れても』が流れる。
なんという陽気な作品なんだと思ってしまったくらいだ。
このシーンのオチとしてはそのまま柵に衝突してしまうというおバカなシーンでこれには思わず苦笑してしまった。
他にも男の友情ありきなジョークがちらほら見えて、まさかこんなラストになるなんて想像すらできなかった。
でもこういった絶妙なバランスによって名作は生まれるんだなと感じた作品だ。

まあこれがアメリカンニューシネマの醍醐味なのであろう。