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ネバーランド

2005-02-08 22:02:27 | TV/映画/舞台



出てきたとたんに、この人は好きだなあ、と思えるキャラクターって時々あるのですが、ネバーランドでジョニー・デップが演じたジェイムズ・バリはその一人。

ピカピカに磨いた靴に正装と、見た目は立派な大人なのに、心配そうに舞台袖から客席を伺っている様子はいたずらっ子のようで、気に入ってしまったのです。はじめは望遠鏡かなにかで幕の間から息をひそめてみていたのですが、心配がつのるあまり、最後には幕から顔を出して客席をながめはじめたりする・・・そんなシーンではないのに、思わず口がほころんでしまいました。バリのそんなどたばたの合間に、興行主チャールズ・フローマン(ダスティン・ホフマン)が映し出されるのですが、初日の舞台につめかけた紳士、淑女のお客様に愛想よくあいさつし、「最高の作品ですよ」と宣伝におこたりがない大人の態度を見せているのとは大違い。

出だしで主人公に興味を持ってしまうと、後はわくわくしながら話についていくだけ、ということになります。飼い犬をクマに見立ててダンスを踊る姿、凧揚げ、子供たちとの海賊ごっこなど、現実と想像の世界をいともかんたんに超えていき、最後には、ピーターパンを生み出し、ピーター少年に、「この人が本当のピーター・パンだよ」と言われてしまうのを楽しみながらみました。画像も、CGをかなり使っているにちがいないのですが、違和感なく切り替えられていて、いいかんじでした。

他の登場人物もキャラクターが十分に伝わってくる登場をしてくれます。どこか神経質そうで孤立している様子の妻のメアリー・バリ(ラダ・ミッチェル)、いかにも子供らしくごっこ遊びに興じて、バリを面白がらせるデイヴィス家の少年たち(ジョージ(ニック・ラウド)、ジャック(ジョー・プロスペロ)、マイケル(ルーク・スピル))、一人遊びに加わらないで大人びた口をきこうとするピーター(フレディ・ハイモア)、4人の子供たちを一人でおおわらわになりなが育てながらも、子供たちと一緒にバリの想像の世界を心から楽しんでしまうシルヴィア(ケイト・ウィンスレット)。メアリーとデイヴィス一家のちがいは明白で、これは一家のほうにどんどん引かれていくのも当然、と納得してしまうのです。

演出でも、そのあたりをていねいに描いていたようです。デイヴィス一家がバリの想像の世界に同じ目線で頻繁に想像するのに対して、メアリーがバリと同一の視線に立つことはあまりありません。たとえば散歩にでかけようとするバリをメアリーは階段の上や窓から見送るのです。たまたま横に並んでも、視線はあわさずに別の部屋に入っていく姿など、よく計算されていました。

ジョニー・デップがアカデミー主演男優賞にノミネートされていますが、出演した俳優陣は子役からベテランのダスティン・ホフマン、ジュリー・クリスティにいたるまで、みんなよかったです。ケイト・ウィンスレットは久しぶりにみましたが、タイタニックあたりのときよりもずっといいような気がします。どっしり構えたお母さんらしい暖かさとやさしさ、繊細さ、快活さが感じられ、最後に(現実と想像が溶け合った瞬間)ネバーランドにむかうシーンもきれいでした。ラダ・ミッチェルが演じたメアリは損な役割だと思うのですが、控えめに用心深く演じられており、どうしても理解できない人物と結婚し、孤独に陥ってしまった様子は同情を感じました。


ピーター・パン誕生の秘話がテーマの映画ですので、子供の持つ想像力、楽しむ力が賞賛されているのはもちろんのことです。が、必ずしも大人であることを否定している映画とは思えないのです。バリ自身が、兄がなくなって嘆く母をなぐさめようと、兄の服を着て母のもとにいくと、母は初めて自分を見てくれた。その時自分は大人になった、とシルヴィアに打ち明けているのです。また、具合が悪いにもかかわらず医者を拒否するシルヴィアを心配するジャックの話を聞いたバリが感心して、「数分のうちに君は大人になった」というシーンもありました。また、本当の意味で大人であるフローマンがとてもいい感じで描かれているのです。デイヴィス一家とまたちがう意味で、バリを理解し、信頼を寄せている人物で、「劇(play)というのは本来遊び(play)なんだ。それを批評家が小難しいものにしてしまった」というセリフはとても印象的でした。

ストーリーだけでも素直に泣ける映画ですが、グリーンを基調にした画面、衣装、印象的なセリフ、耳なじみのよい美しい音楽、よく考えられた演出と、いろいろな意味でとても完成度の高い映画でした。劇場かDVDでもう一度見たいと思ってます。


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