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神戸 異人館トリップ

2009-05-03 22:07:06 | Travel 国内外猫の目紀行
5月最初の朝は神戸で迎えた。4月最後の夜、風見鶏の傍に
ひとひらの羽のような三日月が浮かんでいた。

遡ること4月30日、朝一新幹線で神戸へ。みっちり4時間あまりのミーティング後、
デザイナーさんたちとお別れして北野へ。兵庫は高校時代に親戚の家を訪ねて以来だし、
ここのとこ洋館取材続きで頭が洋館モードだったこともあり、
北野に一泊してさくっと異人館巡りを楽しむことにしたのだ。

シゴトからいっとき解放され、細い路地や坂道を思いのまま ねこねこ漫ろ歩くわくわく感!
日本でも海外でも近所の散歩でも、このわくわく感があれば、私は等しく“旅”だと思っている。


坂の途上に見えるフェンスや窓の表情にもわくわく。




ひと通り巡った中でも出色だったのは、「風見鶏の館」「萌黄の館」「うろこの家」あたり。
異人館のシンボルともなっている「風見鶏の館」(1909年、旧 ドイツ人貿易商G.トーマス邸)は
界隈でも群を抜く風格ある佇まい。重厚な中にもアールヌーボー風のエレガントな意匠が光る。



私的に好きだったのは「萌黄の館」(1903年、旧 米国総領事H.シャープ邸)。
白亜だった20年ほど前までは“白い異人館”と呼ばれていたようだが、
建築時の淡いグリーンに修復されてからは、この呼び名に変わったそう。
「風見鶏の館」の家のはす向かいにあり、赤煉瓦色と萌黄色のコントラストも美しい。

心地よいサンルームのようなベイ・ウィンドーからは、神戸市街が海まで一望できる。
この空間に入るとみな申し合わせたように「わぁ!きもちいい」というのが可笑しかった。

高台にそびえる「うろこの家」(1905年、旧ハリヤー邸)は、外壁を覆う天然石のスレートが
まさに銀鱗のごとし。館内にはマイセンを始めとする名磁器コレクションがずらり。
隣接する「うろこ美術館」では、ユトリロやキスリングなど趣味のいい名画にお目にかかれる。


十数軒の異人館をざっと巡って気づいたのだが、重文級の建造物の魅力もさることながら、
ディテールまでがっつりこってり作りこまれた室内ディスプレイが、都内や横浜の洋館に比べると、
もうだんぜんキッチュで濃いーのだ。

例えば、こちらは旧フデセック邸の「英国館」。1階のサロンはバロックやヴィクトリアンな調度家具で
統一されたシックなBARに。バスルームの猫脚バスタブにはなぜか特大ドンペリが横たわっていた。


2階にはロンドンのベーカーSt.221bにある「シャーロック・ホームズの家」が再現されており、
愛用のヴァイオリンなどのホームズアイテムが所狭しと。シャーロキアンは必見ね。
(私は小学時代、クールなホームズより、ちょっと天然なワトソン君が好きだったりしたけど)



こちらは旧ポジー邸の「仏蘭西館(洋館長屋)」。外国人向けフラットだったようで、
部屋割りが細かい。そんな中にも、ルイ・ヴィトンのアンティークな船旅用スーツケースや
フジタの絵に、ガレ、ドーム兄弟などの作品が方々にさりげなく飾られており。


こちらは元オランダ総領事邸「香りの家 オランダ館」。
今にも晩餐会が始まりそうなダイニングのお隣のサロンには やりかけのチェスが置かれ、
2階のベッドルームにはアンティークなシルクドレスがしどけなく脱ぎ捨てられていた。



さらに「プラトン装飾美術館(イタリア館)」じゃ、こんなメイド&執事がお迎えしてくれた。

元はイタリア人貿易商の住まいだったそうで、どの部屋にもルソーやコクトーの画をはじめ、
館長さん(執事コスプレの方)の18~19世紀のヨーロピアンな蒐集コレクションがみっしり。
香水瓶がきらきら溢れ返った絢爛ゴージャスなバスルームはさながらマフィア仕様。
ただ、アンティークなラジオからは、なぜか上方漫才がやんや流れており(笑)。

中でもえぐかったのが、英国の狩猟家ベン・アリソンの旧邸「ベンの家」(1898年)。
ワシントン条約など無かった時代とはいえ、世界中で仕留めた猛獣たちの剥製が累々と。。
居合わせた観光客のおばさまがぽそっと一言、「この子もこの子も、みんな生きてたのよねえ」。



異人館が並ぶ坂の途上では、剥製ではなくリアル猫にも時々遭遇。みなおっとり。
「リリィちゃあん」と猫撫で声で呼びながら、サバトラ猫を小走りに追う奥さまにも遭遇した。
谷崎潤一郎の「猫と庄造と二人のおんな」を思い出す。



異人館巡りを堪能した後は、大阪から駆けつけたながれさんと、
元ギャラリーだったというキタノサーカスで絵本の打合せ。
ながれさんはなにわのアバンギャルドおじちゃん。いろんなイミで天才です。
と、打合せしていたら、急に店内でマスターがマダムとタンゴを踊りだし。。


そんなシュールな展開の後、昭和11年から三宮で営業する洋食屋さん「もん」で遅いランチ。
特大オムライスを撮る私をながれさんが激写。いわく「カメラ小僧やなあ」(お互いさまで:笑)。
(ちなみに通常は一眼だけど、食べ物などの接写はコンパクトデジカメで撮ってます)
さらにチャイナタウンの南京町にも寄り道。


ぁあ、饅頭までシュールっ。



実は神戸に行く前夜から喉が少々痛かったのだが、やり過ごしていたら帰宅後に発熱…。
なので この土日はうんと怠惰に過ごした。漢方薬を飲み、昏々と眠ったお陰でほぼ快復したが
昏睡中にみたシュールな夢のかけらが まだすこし眼裏にふわふわ浮かんでいる。

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