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虎穴に入らずんば虎子を得ず

2010-01-10 05:27:31 | Scene いつか見た遠い空

年明け、ベランダジャングルの侘びすけが、珍しくたくさん咲いている。
吉兆なら うれしいな。 新年早々、原稿ラッシュでぱたぱたしつつ、
2輪ばかり伐って部屋に飾った。ひとえの楚々とした佇まいが、愛しい。

すっかりあけてしまったけれど、新年おめでとうございます。
2010年もよろしくお願いいたします。


と、年末年始の回想をさくっと――
大晦日、なにやかにやで予定時間ぎりぎりになってタクシーで東京駅へ。
「えっ、渋谷から15分じゃ絶対無理っすよお」
「きっと大丈夫です。行っちゃってください」
15分後。運転手さんいわく「映画のTAXiみたかったけど、着くもんですねえ!」
そんなわけで、無事に予定通りの新幹線に乗り込み、即ZZZ...

越後湯沢で乗り換えたとたん、窓にみぞれ雪が。


雪景色は、いっさいの思考モードを変える。
私は5歳になったばかりの頃から数年、父の仕事の関係で東京にいたので
幼少期の鮮明な記憶はその頃に集中するのだが、もともとは雪国生まれ。
雪の下には言い知れない思いが永久凍土のようにきらきら埋もれている。


元日、実家の庭には、降ったばかりの新雪に山茶花の花びらが落ちていた。
地球温暖化で、雪国も近年は雪知らず。元日に雪が降るのはかなり久々のことだった。
弟の竜ちゃんも雪のために少し遅れて到着。母は「今年は手抜きだから」と言うけれど
幼い頃から馴染みのお雑煮やお節は、やっぱり何にも代えがたく美味しいし、ありがたい。

元日は満月だった。が、まさかこんな雪空で満月が拝めるわけもないだろうな、と諦めていた。
深夜、遊びに来ていた叔母を見送りに外に出ると、満点の星空に煌々と満月が浮かんでいた。
その月あかりに照らされた青白い雪肌の美しさに陶然と見とれる。写真を撮ることさえ忘れて。


正月2日。雪雲の向こうにうっすら太陽が透け見えた。夜明け空に消えかけた月のような。
夏に来たとき満開だった庭の百日紅の梢には、小さな実がすずなりになっていた。

時折はらはらと降ってくる風花に煽られるように、なじみの旧い神社へ初詣に。
狛犬がかぶった雪の綿帽子が妙に微笑ましかった。


意外とあたたかな真冬の午後。雪道から見えた金色のゆずが眩しかった。



正月3日。竜ちゃん&はーちゃん夫妻と一緒に、マニアックなレトロスポット散策。
まずは、某ドラマのロケにも使われているという風格ある昭和初期のレトロなオフィスビルへ。
実は亡き父が若い頃に通っていたビルでもあるが、中を探検したのは初めて。





戦後すぐにできたレトロ喫茶店にて休憩。
珈琲ゼリーになぜか白玉と苺が入っているのが泣ける。

さらに、駅前にある戦後の闇市跡へ。小さな飲み屋がひしめく路地奥の社に、
ホワイトタイガーをむぎゅっと圧縮したみたいなふくぶくしいシマ猫さんが鎮座していた。
2010年初の猫さん。おめでタイガー…・・


と、虎つながりで、竜のお土産のとらやの羊羹も、虎模様だった。


母がどこから見つけ出してきたのか、亡き父がその昔 出張土産で買ってきた
木彫りの親子虎を飾っていた。彫り物のテーマはたぶん「虎穴に入らずんば虎子を得ず」。

すなわち ハイリスク ハイリターン。あるいは ノーリスク ノーリターン。
といっても、虎は猫科動物だから、行動パターンは猫と酷似。よく見るとかわいいのだ。
私としては リターンはいいから、虎穴で虎親子とぬくぬくまるまりたいかな。


驚いたのは、鏡餅の横にお雛さまとお内裏さまも飾られていたこと。
逢うのは十代のとき以来。亡き祖母が作ってくれたきめこみ人形で、
今回はそこまで飾られてはいなかったけど、全部飾ると五段の雛壇に
三人官女や五人囃に牛車などもずらり並んで とても壮観だった記憶がある。

つい先日も、お雛さまは1月から華々しく飾るという 元人形作家の方の取材をしたばかりだが
元旦からとは母も気が早い! 何年も飾っていなかった罪滅ぼしの意味もあるのかもしれないが。。
しかし、久々に見るしもぶくれのお雛さまのチャーミングなこと! 


帰りの電車にて、うとうとしながら車窓から垣間見た夕暮れに染まる雪景色。
この田園風景からすると、昨夏訪れた越後妻有あたりだったかもしれない。

やっぱり聴いてしまう Ben WattのNorth Marine Drive..


帰ってくるなり、原稿ラッシュで睡眠不足な中、時折うたた寝しながら
奇妙な夢をいくつも見てはすぐに忘れた。虎の夢もみたような見なかったような。。

↑在りし日のニキ、TVのホワイトタイガーにかたまる の図
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