ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

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早春

2013-01-12 02:45:59 | いわゆる日記

 さっき、「ココリコ坂」なんてアニメを見ていて、ふと、まあこれは映画のテーマとは関係のない事なんだが、不愉快なことばかりしかなかった我が高校時代の記憶をチクッチクと刺激され、されるうちにも、嫌なことでも嫌なことなりに決着をつけておくべきか、なんて思いが生まれ、この文章を書き始めてみたわけなんだが。

 私の通っていた高校は、もう何度か書いたが学生運動とフォークソングの大好きな連中が集まっているところだった。もっと内実を言えば、”普通の高校”から”進学校”にランクアップする意図を持って、あちこちから”そこそこ成績は良いが進学校に行くにはちょっと足りなかった”生徒連中と上昇志向ある教師たちをかき集め、その結果として中途半端なエリート意識からくる臭気を生徒も教師たちも濃厚に放っていた。

 不愉快な記憶を刺激したとは、あのアニメ映画に出てくる男子学生諸君の”大人の男”ぶった考え方や喋り方などから、なんだが。
 それから、ストーリーに登場してくる”全学集会のある風景”など。あの映画の背景はよく知らず、制作に当たったジブリの首脳陣にとっての青春期へのオマージュ、とかそんなものなんだろうと思うが、懐かしく思い出す人もいるんだろうね、学生運動のこととか。

 ある日、ブラスバンド部の練習をなんとなく見ていた時なんだが、指導に当たる上級生がこういったのだ。
 「この旋律は主旋律をサポートする役割がある。女子なんか、人生においても男を裏からサポートする立場にあるんだから、そういう意味も込めて演奏するべきなんだよ」
 何を言ってるんだ、と全くの見物人である筈の私がムカッと来たものだった。決め付けるのか、女は男の付属品として生きるべきだと。・・・なんてこと、普段は考えるような人間じゃなかったんだけどね、私は全然。

 これが頭の固いオヤジが言ったのならともかく、”ブラスバンド部の男子高校生”の発言なのである。17や18のガキが本気で15,16の女子生徒相手にオヤジ臭い訓示をたれているのである。
 そしてそんな事実に誰も疑問を抱いた気配もなく練習は進んでいった。
 そんな発言が何の疑問も挟まずに放たれる、そういう校風だったのだ。

 考えてみればその学校のクラブ活動といえば、野球部にバレー部にバスケット部に。でも、後にサッカー王国と言われる静岡県の高校でありながらサッカー部はなかった。そもそもが戦前から存在しているみたいな部でなければ存在を認められない、そのような空気が当たり前のものとして世界を覆っていた。
 そういえば。大学に入った後、ジャズ研究会の仲間と昔話に興じていたら、ほかの土地の出身者は高校時代にもう、”軽音楽部”とかその種のところで部活動としてジャズを演奏していたと知り、唖然としたものだった。
 そんなものが”部活動”として存在することが許されたのかよ。私の高校では、考えられない話だったが。

 学校では校舎新築をめぐり、校長と生徒会が対立していたようだが、両者の論争を聞いていても、”出来上がったオヤジ”と”これからオヤジになろうとしている若きオヤジ達”の、つまりは同じ人種の”内戦”でしかない、としか私には思えなかった。闘争の過程において、新しい価値観が提示されるのではなく、対立すべく持ち出された古臭いふたつの立場がただ、予定通りにぶつかり合うだけだった。

 運動家(と、彼らは自称していた)たちはオトナの読む労働運動の雑誌など読むことを「理論武装」と称し、憧れるのは当時流行りの”造反卒業式”を執り行うことだけ。ピント外れもいいところと思うのだが。
 学生運動やらでカッコつけてみせるが、その内実は古臭い価値感ばかりが幅を利かせる。あの頃、あの学校には強固に生きていたと思うのである、”戦前”という亡霊が。

 以前も書いたと思うが、その学校では昼休みのたびに”フォーク集会”と称して全校生徒が体育館に集まり、フォークソングを歌っていた。そんな奴らの歌う、なにが反戦フォークだと思うのだが、なに、ここまで書いてきたものは今だから言葉にできるのであって、リアルタイムで私が感じていたのは「なんか違うよな」という漠然たる反発でしかなかった。
 反発を言葉にしてみることはできず、また、してみたところで耳を傾けてくれるものがいるとも思えなかった。

 そんな私は、当然ながら学校には馴染めず不登校を繰り返し、「そんなダルいこと、やることはねえぜっとローリングストーンズが教えてくれたのさっ」と、つぶやいてはみれども相手にはされず。
 とはいえ街のディスコに行けば、そこの番長決めてる幼馴染から「お前はこんなところに来ずにしっかり勉強してろ、そうだろ」と、なんかまっとうみたいな説教をくらって非行化にも挫折し、ただただ、家出をしてギター一本担いで夜汽車に乗り、当時隆盛を誇っていたグループサウンズに潜り込むことを夢見る大馬鹿野郎だったのだった。

 なんか愚の帝国、みたいな話になってると思うけど。ちなみに問題の高校はその後、学生運動の拠点校みたいな存在となり、進学校へのランクアップとかの予定どころではない、三流校への道まっしぐらだったそうな。めでたしめでたし。


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