ひねもすのたりにて

阿蘇に過ごす日々は良きかな。
旅の空の下にて過ごす日々もまた良きかな。

桜紀行2010  その2 -奈良-

2010年04月21日 | 桜紀行2010
京都に着いたのは、午後5時前だった。
早急に、予約してあった烏丸のビジネスにチェックインして、
友人との待ち合わせ場所になっている京都駅八条口に急いだ。

車で迎えに来ていた友人と何とか会うことができ、
彼の運転で伏見に向かった。
筑波の研修以来、およそ30年ぶりの邂逅である。

着いた料理屋はいかにも京都風の高級そうな料亭。
料理は湯葉を初めとした優雅なもので、最初は何となく落ち着かなかったが、
次第に昔の話や、まだ勤めている彼の職場の話などを聞く内にすっかり寛いで、
2時間ほどの夕食はあっという間に終わった。

ホテルまで送ってくれる途中、
今話題の坂本龍馬のゆかりの宿、「寺田屋」の佇まいを見せてくれた。
今でも変わらず宿を営んでいるそうで、確かに「旅籠」の看板がある。
歴史が目の前にある、そんな感じがいかにも京都らしかった。
ホテルの前で別れ、年賀状でしか行き来のなかった彼に会えて、しみじみよかった。

翌朝は、8時には宿を出て、吉野の千本桜を見に奈良に向かうことにした。
ところが予定していた奈良行きの快速が欠便になり、
その後の予定を考えると、吉野まで行って桜を見た後、
5時までに大阪に入るのはかなり厳しくなった。

仕方ない。今回は数十年ぶりの奈良の大仏様でも拝んでくるか。
ということで、東大寺や春日大社、唐招提寺の五重塔などゆっくり見物し、
途中の昼食は、京都の友人からの薦めで柿の葉寿司となった。
久々に目にする大仏殿は、かくもあったかという圧倒的な迫力で目の前にあった。


 東大寺参道の僧と鹿


 東大寺大仏殿と桜


 奈良公園の鹿と桜

奈良は今年、遷都1300年のイベントが目白押しで、
4月後半からそれらが始まるので、さぞや観光客が増えることだろう。
それでなくても、観光客は多く、その大半は欧米人か中国人かというところ。
最近は観光地では中国語を耳にすることが多いのも宜なるかな。

3時を過ぎたので、大阪に向かうことにする。
奈良からは、JRで「大和路快速」が頻繁に出ているので、
これに乗れば大阪までは乗換の必要がなく、楽なものだ。

大阪では、駅から地下鉄一本のホテルにチェックインし、
ゆっくりした後、大学のサークルで一緒だった同級生と後輩の2人に会いに出る。
待ち合わせは大阪駅前のヨドバシカメラ。
定時に後輩が来て、少し遅れて同級生の友人が来た。
3人で友人が見つけていたベトナム料理店で飲む。
学生時代の友人と飲むのは気楽でいいものだ。
明日は大阪造幣局の「桜の通り抜け」の解禁日、見に行っど~!

桜紀行2010  その1-名古屋-

2010年04月20日 | 桜紀行2010
今回東京に行く機会があって、2泊し、
一晩は世界一周中にトルコで知り合った友人夫妻と会食した。
上さんと孫も御一緒させてもらって、楽しい食事だった。

翌日、2人を連れて名古屋を訪ねた。
初めての名古屋だったので、名古屋2日目は、雨の名古屋城に行ってみた。
あるある、金の鯱が。
緑色に塗られた屋根も珍しいが、それ故に金の鯱も映えるのか。

名古屋城にも桜はあるが、若干時期を過ぎているようで、
花見には少し遅いようだ。
それでも雨に散らされる桜の花びらもまた風情。


 名古屋城


 名古屋城で、武者姿の青年たちと記念写真

この前夜は、上さんと孫をおっぽり出して、
これまた世界一周中にペルーの宿で知り合った友人と一杯。
4月の20日過ぎに、2ヶ月ほどスペインとポルトガルを旅行するそうで、
彼は、私と同年配だが、スペイン語を昔から勉強しているので、
時々はスペイン語圏を旅行するのが趣味なのだ。
彼と別れて、9時過ぎには帰宿して、2人と合流。
孫連れなので、10時前には寝る。早ッ!

名古屋城見物の後は、昼から2人と別れて、高速バスで京都に向かう。

千里走単騎

2010年04月08日 | 中国を思う
先日、阿蘇のレンタルショップでやっと見つけて借りてきた。
「網走番外地」時代からの高倉健ファンとしては、
ほとんど唯一見逃していた映画だった。
見てどうだったかって。もちろん涙しました。
年を取ると、本当に涙もろくなると言うことを実感した。

題の「単騎千里を走る」は、中国仮面劇で演じられる演目の一つで、
それに関わっていく親子を中心に描いた映画である。
もともと、「千里走単騎」は三国志に由来するもので、
劉備元徳の義弟、関羽が宿敵曹操の手に落ちるが、
劉備の妻子を伴い曹操の下を脱出し、劉備のもとへ帰還するという話から来ている。

ジョン=ウー監督で大ヒットした「レッドクリフ(赤壁の戦い)」も三国志が題材で、
その中では、関羽や張飛は戯画的に扱われているが、
関羽は沈着冷静で、義に篤く、中国でも人気の高い人物であり、
そのためか、商いの神様としてあがめられている地方もあるらしい。

さて、映画の内容はともかく、注意してみたのは画面、と言うか、その中の風景である。
夜の麗江の町を歩く高倉健もさりながら、むしろ麗江の町並みの懐かしい香り。
長街宴などの撮影場所となった、束河村の通りや、人の息づかい。
上から見下ろす、昔風の瓦葺きの屋根々々。
郊外の遙か彼方に冠雪した高峰。

それら全てが、旅心をこよなく刺激するのだ。
この映画は、一人の日本人が、
中国の地方に根付いて生きていく人々の親切に出会う数日間を描いた作品でもある。
そういう意味では、関口知宏の中国列車大紀行に通じるものがある。

かっての(いや今でもそうか)日本人のように、
拝金主義者が横行する中国で、急速に失われる人の絆。
主役の日本人親子もさりながら、中国人の親子、そこに住む人々を題材に、
人と人との結びつきを、素朴に結びつくことの大切さを描いた映画でもある。
監督のチャン=イーモウの狙いはともかく、この映画から私が一番感じたのはそこだった。

旅をすると、よく感じることがある。
人と人は、こんなにも率直に話し合え、仲良くなれるのに、
何故、国という衣を身に纏うと、人はそうなれないのか。
人は、国民である前に、人間であるのに。

中国列車大紀行

2010年04月07日 | 中国を思う
関口知宏という一人の青年が、
春と秋、数ヶ月をかけて中国の列車に乗り継いで旅をする。
彼は、旅の先々で印象に残った風景や出会いをスケッチブックに残していく。
一見漫画的だが、その絵の才能は常人を遙かに超えている。

ギターを持てば、弾き語りで日本の歌を紹介したり、
多方面にわたる彼の才能には羨望を抱いてしまう。
そして、何よりもこの旅を魅力的なものにしているのは彼の感性である。

旅をすれば実に様々な人との出会いがある。
その出会いを、どのようなものにするかは、旅人の心持ち次第なのである。
楽しいものにするのか、気まずいものにするのか、
特に、中国という、日本とはある意味、歴史的認識が微妙に異なる国では殊更に。

日本人と会うのは、彼が最初で、多分最後になるであろう人たちと、
彼はたくさんの出会いをし、
最初は幾分の警戒心を抱かれても、いつか打ち解けていくその様は、
ああ、旅人の有様こそが、旅のあり方を決めるのだと悟らせてくれる。

この旅の最後に、綿花畑の収穫を一人でしている女性がいて、
その収穫を夕暮れになるまで関口は手伝う。
その作業の中で、女性が、
「私は幸せよ。去年より綿花の値段が少し上がったから。」と言う。

彼女が収穫できるのは日に2袋。金額で120元(約1,800円)。
やがて夕暮れになって、夫が迎えに来て、女性は関口に、
「今日は本当にありがとう。」と、はにかみながら別れる。

関口のスケッチブックに、こう書かれていく。
「私は幸せよ、と言える幸せ。」
そう綴ることのできる彼の感性に、私はこの旅以上に惹かれるのだ。

新年度

2010年04月04日 | 日記(?)
4月を迎え、学校や会社など新しい出会いの時が来た。
阿蘇の桜は今が満開で、人の心も浮き立つ季節となった。
この季節を何度迎えたことだろう。
退職して、2年が過ぎ、昨年10月からの臨時の仕事も3月に終え、
さて、たまっていたものを一気にはき出すか。

9日から、東京に孫の顔を見に行き、ついでにトルコで知り合った若い友人と会うことになっている。
11日はペルーのリマの宿で知り合った友人と一杯やり、
12日は京都。30代の頃筑波の研修で会った友人とそれ以来の再会。
13日は、大学のサークルの同級生と後輩の2人と会い、
14日は、岡山の後輩と10年ぶりくらいに会うことになっている。

京都からは、奈良は吉野の千本桜を見に行きたいが、まだ残っているか?
大阪の造幣局の桜は14日から公開なので、ぎりぎり間に合いそう。
広島のそれは、15日からなので、これもぎりぎり間に合いそうだ。
夜桜見物をし、広島焼きで一杯やってのんびりするか。

7月は念願の麗江に行き、先日DVDで見た「単騎千里を走る」の里に行く。
上海万博のせいで、やけに値上がりのしている航空券には参ったが、
十数年来の憧れの地に行くのだ、仕方あるまい。

11月には上さんと、彼女の友人夫妻を伴ってアンコールワットとハノイ・ハロン湾への旅を計画。
現地で出会った人々は皆元気にしているのだろうか。再会が楽しみだ。

5,6月の予定が入ってないが・・・。
いやいや、今からいくつか入る予定である。
一期一会。
多くの場所で多くの人に会い、多くの人を知り、多くの笑顔を見て、
そして、多くの別れをする。
そうやって、1年という時を過ごしていくのだ。
何気ない日常がどんなにか貴重なものだというのを確認しながら。