★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ベイヌム指揮アムステルダム・コンセルトヘボウのブルックナー:交響曲第8番

2020-11-26 09:39:26 | 交響曲

ブルックナー:交響曲第8番

指揮:エドゥアルト・ファン・ベイヌム

管弦楽:アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団

録音:1955年6月6日―9日、アムステルダム・コンセルトヘボウ

発売:1976年

LP:日本フォノグラフ(フィリップスレコード)  PC‐1593

 このLPレコードは、エドゥアルト・ファン・ベイヌム(1901年―1959年)が手兵のアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団を指揮してブルックナー:交響曲第8番を収録たもの。ベイヌムは、オランダ東部の町アルンヘムで生まれ、アムステルダム音楽院で学び、1927年にプロの指揮者としてデビューを果たした。その後、ウィレム・メンゲルベルクの招きでアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の次席指揮者となり、さらには、1938年からメンゲルベルクとともに首席指揮者に就任した。第二次世界大戦後の1945年、メンゲルベルクがナチスへ協力したことでスイスに追放されたため、ベイヌムはメンゲルベルクの後をついで、同楽団の音楽監督兼終身指揮者に就任した。その後、ロンドン・フィルの首席指揮者、ロサンゼルス・フィルの終身指揮者にも就いた。しかし、1959年の4月13日に、アムステルダムでブラームスの交響曲第1番のリハーサル中に心臓発作を起こし、57歳で急逝した。ベイヌムの功績は、メンゲルベルク時代の古い演奏法を一新し、現代的な演奏法をアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団に植え付けたことにある。アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団は、現在世界の三大オーケストラの一つに数えられているが、その成り立ちはアムステルダム市民の手づくりオーケストラが出発点となっていた。ベイヌムが残した、このブルックナー:交響曲第8番は、超ど級と言ってもいいほど内容の充実した演奏内容となっている。ブルックナーの交響曲第8番は、ベートーヴェンの交響曲第9番に匹敵するような偉大な交響曲であるが、ここでのベイヌムの指揮ぶりは、雄大で地の底から吹き上げるような力強さに満ち溢れたものに仕上がっている。それに加え、大時代がかったところは微塵もなく、すこぶる現代的で、全体はすっきりとまとまっている。そして、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の団員一人一人の演奏能力の高さにも目を見張らされる。すべての音楽が自然の摂理の中で息づいている。分厚い響きの弦楽器群と雄大な響きの管楽器群、いずれもこれ以上は考えられないと言っていいほどブルックナーの世界を十全に表現し尽す。こんな完璧な録音が現在、忘れ去られようとしていること自体、残念至極としか言いようがない。モノラルで録音は古いが鑑賞には支障はない(CDでも発売されている)。正に「ベイヌム盤を聴かずして、ブルックナーの交響曲第8番を語るなかれ」である。(LPC)


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