『ありがち日記』

カズオ・イシグロ『日の名残り』

メリークリスマスですね~。
ま、今日は仕事でしたけど…(^^;)

さて、ノーベル文学賞受賞のカズオ・イシグロ氏の本作。
『わたしを離さないで』だけは読んだことがあり、英国の映画も観ました。
今回、ノーベル賞受賞を機にWOWOWで↑と「日の名残り」が放送されると知り、
映画を観る前に原作を読んでおきたい!ってことで手に取りました。

結果、読んで正解でした!!!
あらすじです。

品格ある執事の道を追求し続けてきたスティーブンスは、短い旅に出た。美しい田園風景の道すがら様々な思い出がよぎる。長年仕えたダーリントン卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々―過ぎ去りし思い出は、輝きを増して胸のなかで生き続ける。失われつつある伝統的な英国を描いて世界中で大きな感動を呼んだ英国最高の文学賞、ブッカー賞受賞作。

ブッカー賞受賞作と言われても、いまいちピンときませんが、
読んでみたらなんかその理由がわかるような気がしました。

これ、おそらく今の英国かぶれになっていない時に読んでいたら、さっぱりだったでしょう…
だって、淡々と執事の品格とは、とか、ダーリントン卿への敬慕だとか、
女中頭のミス・ケントンとの何だかおんなじことの繰り返しばかりの会話とか、
大きな事件や盛り上がりがあるわけでもないですからね。

ところが、BBCドラマの「ダウントン・アビー」をすべて制覇した今の私にとって、
もういろんなことがわかりすぎて、頭の中で完全に映像化されてましたわ~。
本当に素晴らしいの一言。。。
正直に言うと、『わたしを~』よりこちらが断然好きです。

お屋敷に多くの召使を雇うことが過去のことになりつつある時代、
ずっと品格のある執事を追求し、屋敷の主人に仕え続けてきたスティーブンス。
自分自身も年を重ねて新しいアメリカ人の主人のもと、今まで通りとはいかないことに、
いろいろと悩みを抱えています。
しかもアメリカのジョークにはかなり苦戦をしているようで…
時代は変わっていくのに、彼はまだ伝統的な英国の中で生き続けているのです。
ここですでに私は泣きそうでして。
誇りを持って仕事をしてきて、そう簡単に生き方や考え方を変えることもできない、
そういう古い時代の人間というものに弱い…

一つの目的のため、輝かしい過去を思い返しながら、様々な人々と関わり合いながら、
主人の高級車を借りて旅を続けていきます。
その目的は叶わないというか、別の結果になったのですが、
私には、彼が最後に一つの道筋を見出したかのように見えました。
「良かった…良かった……」って心がほんわか温まるってこういうことね、と。

ある程度、この時代のことを知っているといないとでは理解度が全然違うと思います。
この辺のことに興味なさそうだな~っていう方が、やはり読んでみたらしいですが、
「何か盛り上がりもないしつまらなかった…難しくてね…」って仰ってましたから。

これでやっと録画していた映画も観られます。
どんな風に描かれているのか、とても楽しみです。


ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「BOOK」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事