ルイ・ロットの館

ルイ・ロットにハマった笛吹きのブログ。

ルイ・ロットの価格表を読み解く その3

2011-11-20 19:38:50 | 日記
ルイ・ロット商会の価格表、続いては3代目の工場長のDebonneetbeauの時代の1882年のものです。

4代目の工場長E.Baratの時代、1896年のものもありますが、こちらは内容が全く同じですので割愛します。







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以前のと比べて変わったのは住所がマンダール通り6になったことだけです。



次に5代目の工場長E.Chambilleの時代の価格表を見てみます。


ルイ・ロット商会 1905年 価格表 




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価格は変わらず。

新たな点:H足部管のHの左手のレバー 25フラン追加


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この【H足部管のHの左手のレバー】ですが、これのことです。





G#キイの隣りのレバーを押さえると足部管のHが閉じるシステムです。

これならばH-C#の動きも間に一瞬のCを入れることなく演奏可能なのでしょうね。

木管はこちら。




どちらも左小指のレバーでHを押さえるシステムになっているので、右手小指のローラーは2つしかありません。

ローラーが3つあって、左手でも右手でもどちらでも押さえることが可能だといいように思いますけど。





このE.シャンビーユが亡くなった後、娘のガブリエル、 G.Chambilleが1922年から工場を継ぎます。

実際に製作をしていたのはレフェーブルだと思います。

その時代の1925年の価格表です。

名前だけはE.Chambilleのままです。






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木管円筒管円錐管フルート

1. グレナディラもしくは黒檀、 キイ銀製、C足部管         2,880フラン
  左手のC#レバー付き                     3,040フラン

2. グレナディラもしくは黒檀、キイ銀製、H足部管         3,200フラン
  左手のHレバー付き                      3,360フラン

3. グレナディラもしくは黒檀、キイ洋銀製、銀メッキ、 C足部管   1,840フラン
左手のC#レバー付き                     2,000フラン

4. グレナディラもしくは黒檀、キイ洋銀製、 銀メッキ、 H足部管   2,080フラン
  左手のHレバー付き                       2,240フラン




 金属製フルート(円筒管)

5. 総銀製、 C足部管                     2,880フラン
  左手のC#レバー付き                   3,040フラン

6. 総銀製、 H足部管                     3,200フラン
  左手のHレバー付き                    3,360フラン

7. 洋銀製、 C足部管                     1,840フラン
  左手のC#レバー付き                   2,000フラン

8. 洋銀製、 H足部管                     20,80フラン
  左手のHレバー付き                    2,240フラン




 木管円錐管ベーム・フルート

9. グレナディラもしくは黒檀、キイ銀製、 C足部管        2,400フラン
10. グレナディラもしくは黒檀、キイ銀製、 H足部管         2,720フラン
11. グレナディラもしくは黒檀、キイ洋銀製、銀メッキ、 D足部管  1,040フラン
12. グレナディラもしくは黒檀、キイ洋銀製、 銀メッキ、 C足部管   1,400フラン
13. グレナディラもしくは黒檀、キイ洋銀製、 銀メッキ、H足部管   1,795フラン





ケース(宝石箱)&アクセサリー


モロッコ革、石鹸型、小さなラッチ、絹のビロード
  
フルートとピッコロ用(ダブルケース)          240フラン

同上 フルート用                   160フラン

同上 ピッコロ用                   130フラン


綿のビロード

フルートとピッコロ用(ダブルケース)          230フラン

同上 フルート用                   150フラン

同上 ピッコロ用                   110フラン



掃除棒 ねじ回し付き                  40フラン





割増料金

頭部管 木管フルート用、銀製                   260フラン

頭部管 木管フルート用、洋銀製                  195フラン

頭部管 円筒管フルート用、銀製                  560フラン

頭部管 円筒管フルート用洋銀製、
銀メッキ、銀の純分度認証極印入りリッププレート付き        420フラン


No.5、6(銀製)7、8(洋銀製) 18金の純分度認証極印入りリッププレート 時価

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価格が大幅に値上がり。桁違いです。戦争によるインフレのせいでしょうか?

左手のC#レバー付きの楽器が加わる。

これはH足部管のレバーと同様に足部管のC#を閉じる為のレバーで左手小指のG#レバーの隣りに付けられたものです。

これがあると普通では不可能な低音域のD#-C#とC#-Cのトリルが可能になるでしょうが、それほど必要な物か?疑問ではあります。




アクセサリーのダブルケースですが、これです。




現在のメーカーでもダブルケースは作っていますが、厚くて大きいのに対し、こちらは実にコンパクトで重宝しています。

ケースカバーも少し大きめのシングル用のもので間に合っています。




【頭部管 木管フルート用】

木管用の頭部管もオプションで作っていたとは今回初めて知りました。

これですね。





木管の歌口が楕円形なのに対して、銀の方は長方形ですが、これは注文次第だったであろうと思われます。


以前所有していたロットのピッコロでこんなのがありました。




いわゆる「半木管」です。

これは改造したものではないか?と思うのですが、こんな頭部管の画像もあります。



フルートでも木管用の金属製頭部管を作っていたならば、ピッコロ用にも同様に作っていても不思議ではないと思うのです。

やっと納得できました。





【頭部管 円筒管フルート用、洋銀製、銀メッキ、銀の純分度認証極印入りリッププレート付き】


これが今回、このカタログをじっくり調べてみようと思ったきっかけです。

やっと見つけました。

私はいままでロットの洋銀の楽器のリッププレートは銀である、とある方から聞かされていたのですが、

本当かどうか?確かめようがありませんでした。

するとこの記述です。

カタログには明確な記述はなかったものの、洋銀製のフルートは確かに銀のリッププレートのようです。

「普通に注文する洋銀製のフルートはリッププレートまで洋銀だけど、

銀のリッププレートの頭部管が欲しい人の為にこのオプションがある」というワケではないように思います。

それならば頭部管そのものではなく「銀のリッププレート」のオプションがあれば済む訳ですから。




それを裏付けするのが・・・・

【No.5、6(銀製)7、8(洋銀製) 18金の純分度認証極印入りリッププレート】

このオプションではないでしょうか?

洋銀の楽器に18Kのリッププレートにするオプションがあるのならば、

銀のリッププレートにするオプションがあってもいいはずです。

もともとリッププレートが銀であるから、そのオプションがないのでしょう。

そう考えることにします(笑)。




ところで【純分度認証極印】ですが、いわゆる【ホールマーク Hallmark】と言われるものです。

貴金属の純度などを証明した検査機関や、製造業者などがその貴金属に刻印する「認証刻印」のことです。

ロットでも初代のころはまだ楽器に刻印する義務がなかったのか?初代の楽器にホールマークは見たことがありませんが、

後の代になると楽器の本体やキイにこのホールマークと当時の工場長のイニシャルが入った菱形の刻印が入っています。

これは銀の刻印。猪の頭部です。



           


こちらは18Kの刻印。鷲の頭部です。


           


私が最初に手にしたロットも18Kリッププレートでこの刻印を見るために拡大鏡を買って、眺めてみたものでした。

探してみたらありました!これです。小さいかもしれませんが。



Official French Hallmarks used between 1798 and 1972 for gold and silver. だそうです。

右の列の【SMALL GUARANTEE】のところにあります。




しかし洋銀の楽器に18Kのリッププレート・・・・。

気になりますね(笑)。





おしまい。




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