所蔵楽器シリーズ第2弾は最近使っている新しい楽器、Jim Keefe(Boston)のピッコロ 2008年製。
古い楽器ばかりだと高音がパカパカ出てくるような曲に対処できないこともあり
これを手に入れる前、今から2年前にパウエルのシグネイチャーを買ったことがありました。
まあ高音は問題なくパカスカ吹けちゃいます。
楽です。
でも低音に魅力を感じないことや音色がどうにも気に入らず1ヶ月で飽きてしまいました。
そこで上京した折りに銀座の楽器屋さんで試してみて印象に残っていたこのキーフを注文してみたのです。
2年前の暮れに注文して出来上がってきたのが4月ごろ。
楽器店の計らいで3本の頭部管から選ぶ事ができましたがどれも良くてレベルの高さが伺われました。
思い切ってC#トリル・キイ付きにしてみました。
グレナディラ製、キイ銀製。
頭部管の刻印。仰々しいです(苦笑)頭部管は#510。
歌口。
確かトラディショナル・タイプ・・・・?
本体の刻印。こちらも・・・・(涙)本体は#338とシリアル・ナンバーがバラバラです(笑)
左手のキイ。見慣れないものが・・・・。
右手のキイ。
気になる部分をアップ! これがC#トリル・キイです。
メーカーのHPにも載っていません。
本邦初公開かもしれません(笑)
フルートのC#トリル・キイはレバーが一つ増えるだけですが
このC#トリル・キイの存在意義はピッコロにおいてはB-C#(英語での音名です)のトリルよりも
高音域のG-Aのトリルがこのキイがあることによって可能になるということなんですね。
そしてピッコロの場合もフルートと同じくトーンホールをひとつ増やす事で解決しようとしたんでしょうが
それでは上手く行かないことが判って、キーフさんも苦労したと思うんですが
こんな形になったというわけなのでしょう。
レバーが2本多いのが分かるでしょうか?
いままでG-Aのトリルには悩まされましたが、このトリルの運指、楽なのがあるんですけど
それが可能なのはEメカニズムの付いていない楽器であることが一番の条件で
さらに楽器によってはできないこともあるという厄介なものでしたけど
このC#トリル・キイがあれば簡単にできてしまうのでありました。
いままで使った楽器でG-Aトリルができたのはナンバー無しの初代ロットだけだったのでした・・・・。
帯に短したすきに長し・・・・ そんな楽器ばっかりですよ、ピッコロって(苦笑)
誰かそんな悩みのない楽器を作ってくれませんかねぇ???
裏を見ると・・・・
実に賑やかです(笑)
正面から。
まるでマシンですね・・・・。でもキーフのカップは無駄に深くなくていい感じです。
ロットと並べてみると・・・・
まるで別の楽器のようにも見えます。
管体も厚めに作ってありキイも多いので重いです。
計ってみたら
ロットが119gに対してキーフは191gでした。
ほぼ倍に近いです。
ちっちぇえ楽器なのに重いです(苦笑)
このキーフ気に入って使っていましたがどうにもCのみが低いワケです。
これはパウエルのシグネイチャーでも感じた事です。
なんとかならんか?と思い自分で音程の調整をしました。
ヘッド・コルクの位置を調整してみたりいろいろやってみましたが
音色に影響が出たりでイマイチです。
そこでトーン・ホールを調整するしかないだろう・・・・と。
よい子がマネするとイケないのでその方法は書きませんが、
削ることだけはせずに挑戦してみました。
4mmほど抜いてA=442Hzで吹いていますが、
この4mmのお陰で音程のバランスが崩れているんじゃないか?と感じたわけです。
そうだとするとこの楽器は442のはずなんですがおそらくは自分が吹くには440の設計で充分なんじゃないか?と。
そこでまた440で注文しています。
コーカス・ウッドで作って欲しかったがもう本体に使える材料がないとかでまたグレナディラで・・・・。
完成は2011年の予定でボストンまで受け取りに行かなくてはいけませんけど(苦笑)
音程調整の続きです。
Cだけが低いのであれば他の音がいまより低くなるようにして調整すればいいんじゃないかといじってみました。
その結果今度はDが高くなりました。
それなら・・・・とエンドを伸ばしてしまえ~と・・・・
こんなエクステンションを作ってみたらこれが大正解でした(笑)
これで全体に音程のバランスが良くなって格段に使いやすくなったのでした。
他のキーフ・ユーザーの方達はどうしておられるんでしょうね???
ピッコロは扱う人によって大きくその音程、ピッチなども変わりますから
ひょっとしたらワタシだけがこんな変な状況なのかもしれませんね(汗)
で、この楽器、とっても楽でいいんですけどやはり音がつまらなく感じてしまうんですよ。
もう病気です(爆)
そこで山田ピッコロさんにロット・タイプの頭部管の製作をお願いしました。
下が山田ピッコロ製頭部管。
楕円形の歌口です。
これが実にいい音で、本体が違うのでもちろんロットの音にはならないのですが
ロットに近い音とは充分に感じてもらえるようで、同僚にも好評で嬉しい限り。
ただ高音域を吹くのが難しいので一度カットをしていただきましたが
お陰様で充分に使える楽器となりました。
身近にこんな名工がいるなんて ワタシも幸せ者です。
山田さん、ありがとうございました!
最近は楽したい時(笑)や指揮者が音量を求める時にはキーフの頭部管を、
とにかく音色を求めたい時には山田ピッコロ頭部管を使っています。
先日出ました我が社のCDがありますが・・・・
http://www.amazon.co.jp/グリーグ-シベリウス-北欧音楽の新伝説-札幌交響楽団-尾高忠明/dp/B002A3BD9W/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=music&qid=1248846298&sr=1-1
曲目:シベリウス:交響詩「フィンランディア」
グリーグ:「ペール・ギュント」第1組曲、第2組曲
シベリウス:悲しきワルツ、トゥオネラの白鳥、組曲「カレリア」
この中で山田ピッコロ頭部管を使って演奏しています。
カレリア組曲やペール・ギュントのみで出番は少ないですけど(笑)
良かったら聴いてみてください。
パウエルのシグネイチャーは友人のお弟子さんが引き取ってくれました。
あとピッコロはパウエルの銀管があるんですが貸し出し中ということもありまたいつか・・・・。
古い楽器ばかりだと高音がパカパカ出てくるような曲に対処できないこともあり
これを手に入れる前、今から2年前にパウエルのシグネイチャーを買ったことがありました。
まあ高音は問題なくパカスカ吹けちゃいます。
楽です。
でも低音に魅力を感じないことや音色がどうにも気に入らず1ヶ月で飽きてしまいました。
そこで上京した折りに銀座の楽器屋さんで試してみて印象に残っていたこのキーフを注文してみたのです。
2年前の暮れに注文して出来上がってきたのが4月ごろ。
楽器店の計らいで3本の頭部管から選ぶ事ができましたがどれも良くてレベルの高さが伺われました。
思い切ってC#トリル・キイ付きにしてみました。
グレナディラ製、キイ銀製。
頭部管の刻印。仰々しいです(苦笑)頭部管は#510。
歌口。
確かトラディショナル・タイプ・・・・?
本体の刻印。こちらも・・・・(涙)本体は#338とシリアル・ナンバーがバラバラです(笑)
左手のキイ。見慣れないものが・・・・。
右手のキイ。
気になる部分をアップ! これがC#トリル・キイです。
メーカーのHPにも載っていません。
本邦初公開かもしれません(笑)
フルートのC#トリル・キイはレバーが一つ増えるだけですが
このC#トリル・キイの存在意義はピッコロにおいてはB-C#(英語での音名です)のトリルよりも
高音域のG-Aのトリルがこのキイがあることによって可能になるということなんですね。
そしてピッコロの場合もフルートと同じくトーンホールをひとつ増やす事で解決しようとしたんでしょうが
それでは上手く行かないことが判って、キーフさんも苦労したと思うんですが
こんな形になったというわけなのでしょう。
レバーが2本多いのが分かるでしょうか?
いままでG-Aのトリルには悩まされましたが、このトリルの運指、楽なのがあるんですけど
それが可能なのはEメカニズムの付いていない楽器であることが一番の条件で
さらに楽器によってはできないこともあるという厄介なものでしたけど
このC#トリル・キイがあれば簡単にできてしまうのでありました。
いままで使った楽器でG-Aトリルができたのはナンバー無しの初代ロットだけだったのでした・・・・。
帯に短したすきに長し・・・・ そんな楽器ばっかりですよ、ピッコロって(苦笑)
誰かそんな悩みのない楽器を作ってくれませんかねぇ???
裏を見ると・・・・
実に賑やかです(笑)
正面から。
まるでマシンですね・・・・。でもキーフのカップは無駄に深くなくていい感じです。
ロットと並べてみると・・・・
まるで別の楽器のようにも見えます。
管体も厚めに作ってありキイも多いので重いです。
計ってみたら
ロットが119gに対してキーフは191gでした。
ほぼ倍に近いです。
ちっちぇえ楽器なのに重いです(苦笑)
このキーフ気に入って使っていましたがどうにもCのみが低いワケです。
これはパウエルのシグネイチャーでも感じた事です。
なんとかならんか?と思い自分で音程の調整をしました。
ヘッド・コルクの位置を調整してみたりいろいろやってみましたが
音色に影響が出たりでイマイチです。
そこでトーン・ホールを調整するしかないだろう・・・・と。
よい子がマネするとイケないのでその方法は書きませんが、
削ることだけはせずに挑戦してみました。
4mmほど抜いてA=442Hzで吹いていますが、
この4mmのお陰で音程のバランスが崩れているんじゃないか?と感じたわけです。
そうだとするとこの楽器は442のはずなんですがおそらくは自分が吹くには440の設計で充分なんじゃないか?と。
そこでまた440で注文しています。
コーカス・ウッドで作って欲しかったがもう本体に使える材料がないとかでまたグレナディラで・・・・。
完成は2011年の予定でボストンまで受け取りに行かなくてはいけませんけど(苦笑)
音程調整の続きです。
Cだけが低いのであれば他の音がいまより低くなるようにして調整すればいいんじゃないかといじってみました。
その結果今度はDが高くなりました。
それなら・・・・とエンドを伸ばしてしまえ~と・・・・
こんなエクステンションを作ってみたらこれが大正解でした(笑)
これで全体に音程のバランスが良くなって格段に使いやすくなったのでした。
他のキーフ・ユーザーの方達はどうしておられるんでしょうね???
ピッコロは扱う人によって大きくその音程、ピッチなども変わりますから
ひょっとしたらワタシだけがこんな変な状況なのかもしれませんね(汗)
で、この楽器、とっても楽でいいんですけどやはり音がつまらなく感じてしまうんですよ。
もう病気です(爆)
そこで山田ピッコロさんにロット・タイプの頭部管の製作をお願いしました。
下が山田ピッコロ製頭部管。
楕円形の歌口です。
これが実にいい音で、本体が違うのでもちろんロットの音にはならないのですが
ロットに近い音とは充分に感じてもらえるようで、同僚にも好評で嬉しい限り。
ただ高音域を吹くのが難しいので一度カットをしていただきましたが
お陰様で充分に使える楽器となりました。
身近にこんな名工がいるなんて ワタシも幸せ者です。
山田さん、ありがとうございました!
最近は楽したい時(笑)や指揮者が音量を求める時にはキーフの頭部管を、
とにかく音色を求めたい時には山田ピッコロ頭部管を使っています。
先日出ました我が社のCDがありますが・・・・
http://www.amazon.co.jp/グリーグ-シベリウス-北欧音楽の新伝説-札幌交響楽団-尾高忠明/dp/B002A3BD9W/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=music&qid=1248846298&sr=1-1
曲目:シベリウス:交響詩「フィンランディア」
グリーグ:「ペール・ギュント」第1組曲、第2組曲
シベリウス:悲しきワルツ、トゥオネラの白鳥、組曲「カレリア」
この中で山田ピッコロ頭部管を使って演奏しています。
カレリア組曲やペール・ギュントのみで出番は少ないですけど(笑)
良かったら聴いてみてください。
パウエルのシグネイチャーは友人のお弟子さんが引き取ってくれました。
あとピッコロはパウエルの銀管があるんですが貸し出し中ということもありまたいつか・・・・。
PowellのピッコロはCとCisが低いのが気になりGoogleしたらここに当たってBostonの仲のいい設計者の人とよくコンタクトをとって何とかしようしてた矢先、とてつもない記事を見てしまい朝っぱらからすごいセンセーションを感じてますw
Manckeという頭部管の会社、今ヨーロッパで流行っているんですがピッコロも作ったらしく、少し試してみたいです。操作性とピッチのバランスが最強、と耳によくしますので。。
これからも記事読ませていただきます。
知り合いのパウエルの古いピッコロもCが低いんですが、やはりそういう傾向なのでしょうか?
アメリカ人の吹き方の傾向を考慮してああいう設計なのか?とも思いますが
私には公称442の設計自体ピッチが高すぎるように感じられてしまいます。
それでピッチを下げるために頭部管を抜き過ぎて左手と右手の音程のバランスが悪くなり
結果としてCやCisが低くなってしまうのではないか?と思っております。
音程は歌口からトーンホールまでの比率によって影響を受けるので、その距離が短い方が影響は大きいでしょうから。
それはパウエルやキーフのピッコロのみならず色々なメーカーのフルートにも当てはまるように思います。
ロットの前に使っていた某大手のフルートはオケの442に合わせるには442の楽器では高すぎてどうしようもないので
440の特注で作ってもらいましたが、438でも私にはいいくらいだったと思っております。
当時ピッチが445以上だったあるオケのトップは438で作らせて使っていたそうですが、
私にはそれがよく判る気がいたします(苦笑)
頭部管を抜き過ぎて音程に苦労している人はかなりいると思います。
わたしもわざわざ替え指を使うくらいならローピッチのほうがよっぽど使いやすいと思うのですが、
場所は忘れてしまったのですが以前あるアメリカのサイトで
オーケストラは442ではじめてもどんどんピッチが上がっていくから440ピッチの楽器を使っていると途中でついていけなくなると主張している人がいたことを覚えていますが、どう思われますか?
少しくらいならわかるのですが、うまいオケでも442ではじめて445以上になってしまうことはあるのでしょうか?
> 少しくらいならわかるのですが、うまいオケでも442ではじめて445以上になってしまうことはあるのでしょうか?
使っている楽器のピッチがオケ全体のピッチの上昇についていけないとそれは大変です!
そこまで上昇するにしてもそれを見越したピッチ設定ができればいいですよね。
でも私の#1800は一年を通して全部入れた状態でオッケーなので(爆)
442→445はさすがにキツイしょうね(汗)
実際にそういうピッチの変化を計った事はないですが
上手いオケでも若干のピッチの上昇はあるんだろうとは思いますけどね。
ただその440の楽器で442で初めて更にピッチがあがるのでキツイというのは
例えば元々の楽器の設計がそのヒトの「吹き方」と合っていないとすればとすれば
充分にあり得ることかとは思いますし
そのヒトの最初の「ピッチ設定」にも考慮の余地アリかとも思います。
ピッチが上がる事も考慮に入れて最初のピッチ設定ができたらいいんですけど
私個人の思いとしては日本製のほぼ大多数の楽器はピッチの設定が高過ぎだと感じております。
オマエの吹き方がおかしいんだ! と言われたらそれまでですけど(笑)
おっしゃるとおりその楽器の持ち主の吹き方がもともと低くなりやすかったのでしょうね。
付けたしなのですが、その記事はオケでトップを吹く人がセカンドの持つ440のブランネンに対しての感想を書いたものでしたので、もしかすると記事を書いたトップの方が上ずりやすい吹き方の人だった可能性もありますね(笑)
お返事ありがとうございました。
なるほど・・・・・。
そういうことなら・・・・ アリでしょうね(笑)