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どっちも私の気持ちで

2013-10-16 15:17:23 | 日記
蚝韦趣霍乇埭工搿;乇埭筏块L門を榛名は体勢を整えて追撃すると、長門も慌てて駆け出す。
「待でやゴラアアアァァァッ!」
「もう、素直じゃないんだから榛名は?」
「マジでブッ殺すッ!」
 二人は喧騒と共に部屋を出て行った。
 ちょっと危険な鬼ごっこがここに始まった。

 翌日、艦隊は無事に懐かしの地――柱島に到着した。そこで機関科や航海科といった艦には絶対に必要な兵員以外の約半分が上陸した。戦艦部隊は本格的な整備を受ける為に各海軍工廠に入渠するので、必要最低限以外の兵はみんな艦から降ろされるのだ。
 艦橋から上陸していく将兵を見詰めている翔輝に、大和は不安げに声を掛けた。
「明日、中尉も上陸されるんですよね?」
「うん。ダメ???かな?」
 翔輝はうかがうように大和を見詰める。前回はそれで絶交寸前まで関係が破綻したのだ。翔輝もそれを心配しているが、上陸したい気持ちもある。
 そんな板挟みの彼の気持ちを、大和はちゃんとわかっていた。
「別にいいですよ。もう中尉を束縛したいなんて思ってませんし。ゆっくり休暇を楽しんできてください」
 大和が笑顔で言うと、翔輝は驚いたような顔をする。
「お前、大人になったな???」
「私だって成長はしてます。外見はあまり変化はありませんが」
「そっかなぁ? 少し身長が伸びたような気がするけど」
「そうですか? 今度測ってみます」
 そう笑顔で言っているが、大和の本音は翔輝を降ろしたくはない。でも、そんな事を言って自分のわがままで翔輝を苦しめる事もしたくない。二つの正反対な気持ちに挟まれ、大和は苦笑いするしかなかった。
「瑠璃さん、元気にしているのでしょうか?」
「うん。結構元気にしてるみたい」
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 翔輝が嬉しそうに言うと、大和は寂しそうな笑みを浮かべる。その笑顔に、翔輝もようやく気づいた。
「大和???やっぱり、降りない方がいいよね?」
「え? あ、いえ。そんな事ありませんよ。久しぶりの再会です。ゆっくりお楽しみください」
 大和は無理して笑顔になるが、そんな彼女の表面だけの笑顔など、もう一年以上の付き合いなので、本心はわかってしまう。
「大和、無理してるでしょ?」
「無理なんかしてませんよ。どうしてそう疑われるんですか?」
「だって、すごく悲しそうだから」
「???そうですか」
 大和はそこでもう笑顔を作るのをやめた。どうせ無理しても笑っても、彼にはすぐ見破られてしまうのだから。やるだけ無駄だ。
「確かに辛いですし、本心では中尉には離れてほしくありません」
「だったら――」
「――でも、中尉を縛り付けたくないというのも、本当の気持ちなんです。どっちも私の気持ちで、相反する想い。だから、私もどうすればいいのか???わからないんです」
「大和???」
 大和は寂しそうな表情のままうつむいてしまう。
 この一年、二人はいつも一緒にいた。それは変わらない事実で、良き思い出だ。だが、これからは違う。翔輝は大和の手の届かない所へ行ってしまう。そして、そこでまだ自分が見た事のない幼なじみの女性と会う。それが苦しくて仕方ない。
「???でも」
 大和はしっかりと顔を上げた。その瞳は真剣な想いが込められていた。
「私は、自分のわがままで中尉を縛り付けたくない。だから、上陸してください」
「大和???」
 大和の瞳に、翔輝はそれ以上何も言わなかった。
 彼女が決心して決めた事。それをとやかく言う権利は自分にはないと思ったからだ。
 だが、できる事があるとすれば???
「ちゅ、中尉!?」
 翔輝はしっかりと大和を抱き締めた。
 腕の中で、大和が顔を真っ赤にして混乱する。
「中尉!? な、何ですか突然!? は、離してください!」
「嫌だ」
「ち

エンタープライ

2013-10-14 14:34:40 | 日記
 エンタープライスは頭から血を流しながらサラトガを睨む。
 すでに軍帽は脱げていて、長い金色の髪が風に靡く。しかし、そのきれいな金髪は今や真っ赤に染まり、場所によってはどす黒く変色していう所もあった。
「エンター。大丈夫?」
 サラトガがハンカチでエンタープライズ顔の血を拭いながら聞く。そんな親友の問いにエンタープライズは不機嫌そうに答える。
「あぁ、気分は最悪だけどな」
 エンタープライズは小さく舌打ちして吐き捨てるように言う。
 サラトガは持って来た応急処置用の傷薬を使い、包帯を器用にエンタープライズの傷に巻く。その間、エンタープライズは抵抗も何もせず、されるがままだった。
 一連の作業が終わり、サラトガはエンタープライズに満面の笑みで微笑んだ。
「はい。終わり。これで少しは楽になるはずよ」
「サンキュー。サラ」
 エンタープライズはサラトガの肩を借りて立ち上がる。
「悪いな。手当てしてもらった上に肩まで借りちまって」
「いいのよ。で? どこ行くの?」
「とりあえず応接室に連れてってくれ。そこのソファで一休みする」
「わかったわ」
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 あの直情感情型のエンタープライズが『休みたい』と言ったのだ。相当痛いし疲れているのだろうとサラトガは感じ取り、あえて何も言わなかった。
 『エンタープライズ』が中破したアメリカ艦隊は、一旦北東方面に撤退した。

 一方、日本軍も作戦を中止してトラック島に撤退した。
 帰り道、翔鶴と瑞鶴はまた仲間を失ってしまった事で傷心し、すっかり元気をなくしていた。
「姉さん。また、仲間が???死んじゃった」
「あぁ、そうだな」
 『翔鶴』の防空指揮所に二人はいた。二人とも龍驤の死にショックを受け、一睡もしていなかった。
 やつれた瑞鶴を、同じくやつれた翔鶴がそっと抱き締める。自分が辛くても、妹を最優先にする所は、翔鶴も姉なのだ。
「これで、赤城司令、加賀さん、蒼龍さん、飛龍さん、祥鳳さん、龍驤さん。この三ヵ月で六人も空母仲間が死んじゃった???」
「そうだな。クソッ???外道鬼畜米英め???ッ!」
 翔鶴も悔しそうに唇を噛む。
 腕の中でほろほろと泣いている妹を抱き締めながら、翔鶴は行き場のない怒りを堪えていた。その時、
「翔鶴、瑞鶴」
 突然の声に振り向くと、そこには陸奥、比叡、霧島がいた。
 見詰め合うだけで、お互いに何もしゃべらない。
 気まずい無言の沈黙はしばらく続いた。
 この中では最年長組である霧島が、何とか落ち込んだ雰囲気を変えようとがんばろうとする。
「あの、その、元気だして???ね?」
「すまん。心配を掛けさせてしまって」
 翔鶴の言葉に、霧島は顔を真っ赤にして手をブンブンと顔の前で振る。
「いえッ! その、すみませんッ!」
「なぜ謝る?」
 翔鶴は心底不思議そうに首を傾げる。そんな翔鶴と慌てふためく霧島を見て比叡は優しく微笑む。
「はいはい。そこまでにしてあげてくれる? 霧島の心臓が破裂しちゃうよ?」
 比叡がこの場をなんとかしようと前に出る。さすがは最年長組である。
 比叡はそっと柔和な笑みを浮かべながら、瑞鶴の頭を優しく撫でる。
「辛いだろうけど、それをバネにしてがんばらないと、ね?」
「比叡さん???ッ!」
 瑞鶴は比叡の胸に飛び込み、今まで以上に大きな声で泣いた。
 そんな妹の様子を翔鶴は眉をひそめ不機嫌そうに見詰める。
「なぜ比叡の方に行くんだ?」
 そんな翔鶴の不機嫌そうな質問に、瑞鶴を抱き締める比叡は柔和な表情で返す。
「そりゃあ、胸の中で泣くなら、母性を感じる大きな胸の方がいいでしょ?」
「???」
 翔鶴は比叡の大きな胸を一瞥し、自分のぺったんこな胸を見る。
 避

達に匹敵する程

2013-10-08 11:54:11 | 日記
の使い手だとのことです」
「織田家も鉄砲はかなりのものじゃがな」
 織田家の鉄砲の数は一千に至る。かなりの数であることは事実だ。
 だがその雑賀孫一という者はだ。どうかというのだ。
「しかしです。あの者、そして雑賀党はです」
「千ではきかぬか」
「それ以上持っているとのことです」
「その者が本願寺についておるな」
「左様です」
「しかも近畿を中心にあちこちに門徒がおる」
 信長は本願寺についてだ。難しい顔で述べていく。
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「では本願寺とは」
「本願寺でなくとも寺社の力は削いでおく」
 これもまた、だ。信長の政である。
「今のところは検地を進め国人達を組み込むと共に寺社の不当な地を我が家に組み込んできたな」
「はい、確かに」
「そうしてきました」
「しかしそれだけではない」
 信長は寺社を警戒していた。大名達に匹敵する程に。
 それ故にだとだ。彼は言うのだった。
「檀家というものを考えておる」
「檀家ですか」
「それは一体」
「うむ、寺の信者の布施で寺を支えさせるのじゃ」
 土地を持たせるのではないというのだ。
「そうしてその中で生きてもらうのじゃ」
「では寺社から土地や僧兵を除きますか」
「そうされますか」
「そうしなければこれまでと同じじゃ」
 信長が見ているのはこれまでの日本の政権だった。その政権はというと。
「朝廷にしろ鎌倉幕府にしろ室町幕府にしろじゃ」
「僧兵は抑えられませんでしたな」 
 今言ったのは生駒だった。
「あの白河院ですら」
「そうじゃ。延暦寺の僧兵はどうにもならんかったな」
「無論平家も」
 彼等もだった。日輪を動かせたという平清盛でさえだ。
「そうした存在じゃからな」
「何としても力を削がねばですか」
「どうにもならん。国人達はこのまま我が家に完全に組み込み家臣として遇する」
 確かに難しいがだ。そうしていくというのだ。
「それを先にしておくがな」
「そして寺社ですか」
「そうなりますか」
「特に本願寺じゃ」
 また本願寺の話になった。
「あの寺とはできることなら揉めたくはないがじゃ」
「しかしです」
「うむ、向こうが来るならばじゃ」
 どうかというのだ。信長もだ。
「相手をせねばならぬかもな」
「その辺りは厄介ですな」
 深刻な顔で述べた竹中だった。第八十六話 竹中の献策その三

「本願寺との戦になると」
「警戒はしておく」
 それは忘れないというのだった。
「若し本願寺が来れば迎え撃つぞ」
「畏まりました。それでは」
「その時は」
「その場合は三好を倒せてもじゃ」
 だがそれでもだというのだ。
「新たな戦になる」
「本願寺とですか」
「全面的な」
「そうじゃ。かなりの戦になる」
 信長の覚悟は固かった。それは顔にも出ている。
「今我等と本願寺が戦になればそれこそ泥沼になる」
「はい、間違いなくそうなるかと」
 竹中もだ。すぐに答えたのだった。
「その時は」
「本願寺にとっても損になる」
 こうも言う信長だった。
「顕如がそれを選ぶかのう」
「伝え聞くところですが」
 また竹中が答えてきた。
「本願寺の法主である顕如殿はかなりの人物です」
「伊達にあれだけの門徒を完全にまとめているだけではないな」
「確かに親鸞上人の血筋です」
 本願寺は他の寺とは違う。僧侶であっても妻帯が可能なのだ。これもその親鸞が定めたことだ。かなり異質な仏教の宗派ではあるのだ。
 だからだ。顕如は親鸞の血を引いているのである。そのことからだ。彼が本願寺と門徒を掌握できる立場にあるのだ。しかしだった。
 竹中は言うのだった。顕如という男について。
「しかしそれ以上にです」
「政の力があるのじゃな

にしちゃ駄目だよ

2013-10-04 14:53:28 | 日記
「それだけは口にしちゃ駄目だよ。とんでもないことになるんだから。次こそ父上は殺されてしまうよ」
「いい加減、旦那様に言ってください。私たちだってひやひやしているのですから」
「そなたが言いなよ。父上は俺の言うことなどきかないんだから。そなたは昔から父上に可愛がられてきたじゃないか」
「いいえ。女房になってからは歯牙にもかけてもらえませんよ。旦那様が可愛がっているのは、今では彩ちゃんとおたまちゃん。あとは時折、私の衣服を盗んでいくだけで」
 それなりの嫉妬と、小袖の恨みを吐露する妻に、太郎は苦笑するだけで言葉が返せない。まあ、そうした感情が娘を喪った悲しみを母親から忘れさせてくれるのなら、見過ごすしかない。
 簾を上げた縁側から涼しい風が滑りこんでき、風鈴を穏やかに鳴らす。夜空に浮かぶ満月に目をやりながら、あいりは呟く。
「昔の旦那様のほうが良かった。可愛げがありましたもん」
「おいおい」
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「だって、聞いたことがあります? お犬様が旦那様に思いを寄せているって話」
「こら。口がすぎるよ。そういうことは見ざる聞かぬ存ぜぬだ」
「それはそうかもしれませんが、だって、織田の姫様があの旦那様を慕ってらっしゃるのよ。いくら痩せて逞しくなったからと言っても、信じられない。お犬様だけじゃないわ。お市様もお茶々様もお初様も。おたまちゃんまで旦那様に憧れている感じですよ。旦那様のことだから、それに気分を良くしているんだわ、きっと」
 なぜか憤懣やるせなさそうなあいりに、太郎は失笑した。
「そんなことはないよ。お犬様が父上をお慕いしているのは、昔からだったって話じゃないか」
「そういうことではなくて、旦那様は有頂天になられているってことです。昔は私を城下に連れて行ってくれたのに、今は岐阜にいてもお市様にお会いに行かれるばかりで」
「それはおやかた様に命じられたお役目なんだから」
 太郎がなだめてもあいりは月明かりを浴びてむすくれている。困った太郎はせいぜい額を掻くしかない。まるで、子供返りしてしまったかのようだ。
 いや、あいりは、実の両親を知らないのである。もしや、牛太郎に父の残像を見ているのかもしれない。だから、嫉妬しているのかもしれない。
「たまを邪険に扱ったりするなよ」
「そんなことはしません。おたまちゃんもおすえちゃんも彩ちゃんも私の妹みたいなものです。でも、旦那様は変わられました。昔はあんなにおなごに袖にされていたのに」
 思わず吹き出した。
「そんなことを言っちゃ、父上が可哀想だ」
「千代さんも言っていましたよ。おもしろくないって」
「千代殿が言っているそれと、そなたが言っているそれは意味合いが違う。あんまり千代殿の言うことを真に受けるな」
「千代さんは賢い人だわ」
「小ざかしいというのだ」
 あいりは太郎に振り返ってきて、夫をきつく睨んでくる。太郎はあわてて目を伏せる。
「すまない。失言であった」
 なにげに頭が上がらない。太郎は齢二十四、あいりは二十六。二人の婚姻が決まったのは七年前。出会ったのは十年前。当時小姓だった太郎は、黒連雀を駆って戦場に馳せる勇ましさもなかったし、簗田家の息子でもなかったし、脇差だけを帯びて浮世をさ迷う少年だった。
 そんな、はぐれ狼みたいな太郎をいたわったのがあいりだった。はぐれ狼みたいだった太郎を知っているのも、寧々や千代、あいりだけである。
「千代さんも長浜にお城ができたら行ってしまわれるそうだし。昔はなんだか楽

あいりは月を眺めながら

2013-09-27 13:58:55 | 日記
「今では明るくないというのかい」
 あいりは月を眺めながら、しばらく黙りこむ。
「そなたの言う人々は皆、所領も増えて、昔よりも豊かな生活をしているよ。無論、父上も俺も。そもそも、父上とたった二人だったころよりはずいぶん明るくなったよ」
「でも、皆さんはどこかに行ってしまうじゃない。寧々さんも千代さんも。十兵衛様だって藤吉郎様だって。旦那様も。きっと、前田様だってゆくゆくはどこかに行ってしまうんだわ」
 あいりは庭先を照らし出す月光を背に涙ぐんでいた。駒がいたときはこんな愚痴をこぼさなかったというのに、よほど、人恋しいらしい。
 この家には梓も貞もかつもいるし、彼女が妹のようだと言うたまもすえもいる。ただ、彼女たちにとって、あいりは簗田家の嫁、別喜右近大夫の奥方様なのである。
 あいりが言う楽しかった時代の人々というのは、あいりを、明智庄のあいりとして接する人たちなのだろう。きっと、あいりにとって、千代や寧々は姉さんなのだろう。
「あんまりわがまま言わないでおくれ。そなたがそんな思いでいたら、俺はどうすればいいのかわからないよ」
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 あいりは袖で目元を拭い、太郎は彼女の髪を優しく撫でた。

 設楽ヶ原の激闘に始まった夏が過ぎていこうとしている。
 収穫を祝うはやしがあちこちで鳴り響き、そこを通りがかった上総介が、自ら裾を上げて踊りに参加したという噂を聞くほどの平和ぶりであった。
 岐阜は平和である。
 しかし、いまだ戦乱であった。領内の収穫期が過ぎたぐらいになって、織田家臣団は岐阜城に召集された。
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 ほぼ、軍議の体を成していない。上総介の号令だけで終わる。武田軍を相手にしたときのように、すでに担当将校が動いていて、戦略も練られてしまっている。
「坊主どもの圧政とサルの調略で一揆衆は分裂している。蹴散らすだけのいくさだ」
 参戦武将は、家臣団ほぼ総出であった。佐久間右衛門尉、柴田修理亮、丹羽越前守、滝川伊予守、小谷の羽柴筑前守は当然として、塙備中守、簗田右近大夫、西美濃三人衆、織田三十郎、北畠三介の他、さらには佐和山の磯野丹波守 坂本の明智日向守、勝竜寺の細川兵部大輔、伊丹の荒木摂津守までが出陣予定であり、その数七万、蹴散らすだけと言うわりには長篠に投入した倍以上であった。
 岐阜に残るのは勘九郎信忠の部隊だけであり、摂津石山の警戒には松永弾正忠。
 これだけの面子、十兵衛、兵部、摂津守まで揃いながら、簗田出羽守は諸国漫遊である。誰に何かを言われる前に、太郎の肩身はすでに狭い。
「牛は元の鞘におさまったのか?」
 帰り道、太郎は前田又左衛門にそう言われた。皮肉ではなかろうが、皮肉に聞こえてしまい、面目ないと太郎は頭を下げる。
「いや、詫びる必要はないだろ。あいつはおやかた様に命じられてどこかを調略しているのだろ」
「そ、そのようですね」
 太郎は嘘をついた。
 屋敷に戻ると、梓に明後日出陣の旨を報告し、ここ最近なぜか家事に勤しんでいる篠木於松に従者たちを呼んでくるよう伝えた。
 駒の位牌に手を合わせると、太刀の目釘を抜いて柄を外し、紙で拭った刀身に打ち粉を叩いていく。あいりがそろっと入ってきて、太郎の背後に腰を下ろしてきた。
「出陣ですか」
 長篠のときもそうだったが、あいりの声は不安げにかすれていた。彼女らしくない細い声に、太郎は胸を掴み上げられるような狂おしさを覚えるが、眉間をぐっと寄せ、己の瞳を映す刀身に睨みを与える。
「ああ」
「旦那様は?」
「わからん」
「若様」
 かつがやって来た。
「治郎殿がお呼びです」
「こ