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一応、秘密の…ホミンのお話置き場です。

ホミンだけ。ホミンの幸せが最上の幸せです。

White

2017-10-24 | White
    




「本当に良いの?」
「うん。本当に大丈夫だから、気にしないで」

何度も同じ台詞を繰り返しても変わらない不安を浮かべる友達に笑顔を返す。

作り笑いや苦笑いじゃなくて…出来るだけ、いつも通りの笑顔を。





「君は本当に好きな相手と、幸せになって」
「でも…」
「僕は大丈夫。まだ恋をしたこともないし、心配する相手もいないから」
「……」
「それは分かってるよね?」
「……」
「君の幸せは僕の幸せ。それも良く分かってるよね?」
「……」
「本当に…何も気にしないで良いからね」



涙ぐむ彼女の背中を押し、振り向いた僕だけ…前へ歩を進めた。




 




辺りには、しんしんと降り続く雪が積もり…世界は白く染まっている。

僕にも…役に立つ事があって良かった。心の底から思いながら…ひらひら舞い降りる雪の欠片を見上げてみる。


僕の大事な幼馴染みの彼女には…ずっと前から思い合う相手がいる。惹かれ合う同士が結ばれるのは喜ばしい事。

僕は近くで2人を見てきたから、そうなるべきだと思っていた。

けれど…不運にも…彼女は選ばれてしまった。あの時、誰の胸にも広がった悲しみを僕が打ち壊せて良かった。今、この瞬間も心の底から、そう思う。


彼女が受け入れる筈だった天啓は僕が引き受ける。

それが許されるかどうかは、まだ分からないけど…僕は諦める訳にいかない。何としてでも彼女には幸せになって貰いたい。

強く決意を固め…踏み出してはいるけど…全く、不安がない訳じゃない。
 
もし…許されなければ…僕は命を奪われてしまうだろうか。それは構わないけど、彼女や村の人達に影響を与える事は全力で阻止したい。


身寄りのない僕を引き取り、愛情を注ぎ育ててくれた彼女の両親の為に。いつも傍で笑ってくれた彼女の為に。それから、誰よりも彼女を愛する実直な相手の為に。

僕は前に進むしかないんだ。

優しさに溢れた場所を去るのは寂しかったけど…十分に恩は与えて貰えた。

一度だけ振り返り、ありがとうと呟いて…僕はまた、雪を踏み締め…前へと進んでいた。














約束の場所までやってきた時。

夜空には月が浮かんでいた。綺麗な光を放つ月…。雪も止んでいる。冷たい風も止んでいる。

しんと静まり返る世界に、僕は佇む。


この先に待つのは…どんな世界だろう…。
余り、苦しくない世界だと良いな…。

込み上がる気弱さを抑え込み、滲む涙も我慢していた時。


とても…暖かな風が頬を掠めた。


まだ冬なのに…春を感じるような…柔らかい風。不思議な暖かさに包まれる感覚は気のせいじゃない?

辺りに視線を向けた瞬間。  

目の前には初めて見る人間が立っていた。















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ジャンル:
小説
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