浜通りのシニフィアン

千葉市から福島県浜通りへ。感じたことを書き綴っていきたいです。

ADL(日常生活動作)が自立とは

2007年10月05日 | 高次脳機能障害
 高次脳機能障害の方のケースを扱っていますと、後遺障害診断書に「ADL(日常生活動作)は自立」と書いてあり、その後に様々な高次脳機能障害の内容が書いてあるものがあります。

 このようなケースで訴訟になると、被告(加害者)側は、「ADL(日常生活動作)が自立しているのだから、介護料は不要(又は原告の請求は過大すぎる」というような主張を必ずといっていいほどしてきます。

 確かに、語感からすると、「日常生活動作が自立している」という言葉には、普通の日常生活は行えるというように聞こえます。
 しかし、医学用語としての「日常生活動作」は、通常の日本語とは異なるものだと理解しなければいけません。
 

 医学書、たとえば、千野直一ほか編集主幹による
”リハビリテーションMOOK9「ADL、IADL、QOL」”
という本によると
 ADL(日常生活動作)とは、
 ”個人が毎日の生活を送る上で基本的に必要な動作の一式”
をいうとしています。
 これだけでは、まだ何がいいたいのかよくわからないのですが、その後に、

 ”「基本的」とは、独居のためではなく、施設や病院などでの生活を表し、独居に必要な動作はIADL(手段的ADL)として扱われる”

というところまで読むと、ADLが指している意味が明らかになってきます。

 つまり、ADLというのは「施設や病院などでの生活」を前提とした概念で、実際の日常生活における動作は、含まれていないわけです。
 実際の日常生活における動作は、IADL(手段的ADL)という別の概念があるわけです。
 
 
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1 コメント

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Unknown (世逃げ屋)
2007-10-05 22:29:44
仕事柄、医者と接する機会が多く、今回話題になっているADLについても、いちおう理解しているつもりでいましたが、そのような特殊な意味だったんですね。誤解していました。ADLはともかく、日常生活動作ということになると、ふだんの日常語における意味が邪魔をして、つい、家庭内の生活動作だと考えてしまうものです。明らかに専門用語だとわかるものには警戒するのだけれども、ふだん使いそうな言葉に特殊な意味が付与されていたり、意味が限定されている場合が問題です。まだまだ勉強が足りないなあと痛感いたしました。

ところで、これとはまったく逆の現象が、たとえばいわゆる後遺障害の件でみられます。僕のこれまでの経験からいって、医者の中で、後遺障害の認定基準についてよく知っている人は10人に1人もいないのではと思われるほどです。極端な例として、症状が固定した後、症状として残存しているものならなんでも後遺障害に認定されるものだと誤解している医者さえいたくらいです。そのため、後遺障害に該当するためにはこれこれの基準があって・・・というように話を進めていく必要があるわけです。これほど極端でないとしても、たとえば、関節可動域の計測方法を知らなかったり、知っていてもその通りにやっていないのではと思われる例が決して少なくありません。後遺障害は、損害賠償の分野でもっとも大きなウェートを占めているにもかかわらず、そうなのです。

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