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離婚訴訟の訴状。弁護士が作成した訴状案で注意すべき点

2018年03月01日 | 家事事件関係
【はじめに】
訴訟を始めるには「訴状」を、裁判所に提出することが訴訟のスタートになります。
今回は離婚訴訟の訴状の基本的なことについて押さえておきます。

【訴状の記載内容】
訴状の記載内容は、大きく分けて二つの部分に分かれます。
ひとつは結論部分。これを「請求の趣旨」といいます。
もうひとつが「請求の原因」で、どのような理由で裁判を求めるのかを書くところです。

【請求の趣旨とは?】
「請求の趣旨」は求める裁判の結論部分です。
 未成年のお子さんがおられる場合は次のことを書かなければなりません。
〈記載例1〉
 1 原告と被告とを離婚する。
 2 原告と被告間の長男**の親権者を原告と定める。

この記載例は
・離婚を求めること
・未成年の子どもがいるので、長男の親権者を原告とするように求めるものです。

記載例1は絶対に書かなければならないものですが、次の記載例はそのような申立てを希望する場合のみ書くものです。

〈記載例2〉
3 被告は原告に対し、養育費として、判決確定の日から前記長男が20歳に達するまでの間、相当額の金員を支払え。
4 被告は原告に対し、財産分与として相当額の金員を支払え。
5 原告と被告との間の「年金分割のための情報通知書」記載の情報にかかる年金分割についての請求すべき按分割合を0.5と定める。


3項は、養育費を請求するので、裁判所で養育費の額を定めてほしいという意味です。
4項は、財産分与を求めたいので、裁判所で財産分与の額を定めてほしいという意味です。
5項は年金分割を求めるので、年金分割を申立てるというものです。

慰謝料を請求する場合は次のような請求の趣旨を付け加えます。

〈記載例3〉
6 被告は原告に対し、金300万円及びこれに対する離婚判決確定の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

慰謝料として300万円を請求するという意味になります。

また、訴状の請求の趣旨には最後に必ず次のような言葉が入ります。

〈記載例4〉
7 訴訟費用は被告の負担とする。
 訴訟費用の説明は少しややこしいので、ご興味のある方はこちらの記事を参照してください。あまり問題になることはないので、ここまでの記載で理解がいっぱいいっぱいの方はとりあえずは無視していただいても構いません。

【「請求の原因」とは?】
「請求の原因」では「請求の趣旨」で求めたものを基礎づける事実を記載することとなっています。
つまり、請求の趣旨=結論、請求の原因=理由ということになります。

 「離婚原因」をどのように書くのかが弁護士のテクニックの見せどころです。

 弁護士の書いたものの中にはレベルの低いものも見られるらしく、裁判官はある論文で次のように厳しく批判しています(文章は改変してあります)。

”離婚原因は重要なポイントを整理し簡潔に記載してください。そのためには、
事前に十分な事情の把握をする必要がありますよ。それに法的な検討も必要です。離婚原因となる具体的事実を書いてください。端的に示すエピソードが必ずあるはずです。それを交えて記載するとわかりやすいものになりますよ。
 それなのに十分な検討をしていないものが見受けられますよ。具体的事実を書かずに、主観的な評価ばかり。裁判官の読みたいのは価値判断ではないんです。具体的な事実が裁判官の知りたいこと。それに法律の要件を念頭に置くのを忘れないで下さい。法律上の文章なんですから。長年にわたって結婚の生活史を延々と書いても全然ポイントに成りませんよ。そのようなポイントを外した訴状が結構多いのは困りものです”

【訴状では主張したいことを全て書く必要があるか?】

 先ほど書きましたように、裁判官は「簡潔に」書くことを期待しています。
 裁判官が論文で指摘しているところですので、私も簡潔に書くように心がけています。
 主張したいことを全て書く必要はないのか?との質問がよくでるところではありますが、訴状で全てを書く必要はありません。
 というのも、訴状を提出した後も、準備書面といったもので主張する機会は与えられるからです。
 最初から詳細な主張をしてしまうとポイントがぼやけてしまいますので、詳細な主張は後からすることにしています。

【訴状を読むときの留意点】
弁護士から訴状案を示されたときはどのようなことに注意してみたら良いでしょうか。

 まずは、「請求の趣旨」に漏れがないかどうか確認してください。

 また、「請求の原因」に書かれている事実に間違いがないかどうかを確認してください。ご自分では「これは重要なのに」と思っていることが、「請求の原因」に書かれていないときは、なぜそれが書かれていないのか弁護士さんに質問をしてください。
 弁護士も質問されることにより新たな視点を得ることもあるからです。


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