ノベラーエクスプレス関東

 自作の小説がメインのブログです。
 主にSF、ファンタジー、ミステリーの脳内妄想を文章化したものです。

“私立探偵 愛原学” 「冬のペンション殺人事件」 帰りの旅

2017-12-24 13:16:04 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月10日20:00.天候:曇 JR長野駅東口]

 バスが長野駅に到着した。
 白馬村ほどではないが、この町も雪が積もっている。
 こっちは今、雪は降っていないようだ。

 愛原:「夕食の前に、帰りの新幹線の確認をするか」

 あまりゆっくりし過ぎて、最終を乗り過ごすなんてことはしたくないからな。
 私達がバスを降りて駅構内に入った時、私のスマホが震えた。

 愛原:「おっ……?あ、多分ボスからだ!」

 バスの中で寝ていて、すっかり忘れていた。
 確か、私がバスを降りてから電話するようなメッセージが届いていたのだった。
 それにしても、何てタイムリーな……。
 どこかで見張ってたりするのだろうか?
 多分と言うのは、ボスは必ず『非通知』か『公衆電話』で掛けて来るからである。
 恐らく、どこか事務所的な所にいる場合は『非通知』、出先の時は『公衆電話』なんだろうと思うが……。
 今回は『非通知』だった。

 愛原:「はい、もしもし。愛原です」
 ボス:「私だ」
 愛原:「やっぱりボス!」
 ボス:「今回の事件解決、おめでとう」
 愛原:「いえ。本来なら、事件が起こる前に抑止したかったものですが……」
 ボス:「そういうのは、作者の本業に任せておきなさい。今回の犯人は、哀しくも同業者だった。明日の朝刊では、大きく叩かれることになるだろう。だがしかし、その事件を解決したのもまたキミ達探偵だ」
 愛原:「はい」
 ボス:「それで、だ。警察に逮捕される前、安沢は何か言ってなかったかね?」
 愛原:「えーと……。『霧生市だけじゃないからな』と……」
 ボス:「それだけか?……分かった」
 愛原:「ボス?」
 ボス:「詳しい話は後日また電話する。それと……長野駅構内の【とある】男子トイレ、1番奥の個室を調べてみたまえ。今日の帰りの新幹線は、指定席に乗っていい」
 愛原:「本当ですか、ありがとうございます!」
 ボス:「今日のところは、気をつけて帰りたまえ」
 愛原:「はい、ありがとうございます。……はい、失礼します」

 私は電話を切った。

 愛原:「高橋君、大至急……のトイレを調べるんだ。そこに俺達の帰りの新幹線のキップがある!」
 高橋:「分かりました!」

 高橋はダッシュした。

 高野:「キップならあるじゃない?」
 愛原:「改めてボスが、指定席特急券を用意してくれたみたいなんだ。トイレに隠してあるってさ」
 高野:「変なの。……ってか、ボスって何者?」
 愛原:「分からん。俺が探偵事務所を始めた時に、電話で現れたのが始まりさ。『私の指示に従っておけば、当面は食うに困らないようにしてやる』ってね」
 高野:「それで乗ったの?」
 愛原:「仕事の依頼が無かったんだ。しょうがない。ボスは『私だ』としか名乗らないし……。俺は個人的に、全世界探偵協会日本支部の人なんじゃないかって思ってるけど……」
 高野:「うーん……」

 しばらくして、高橋が戻って来た。

 高橋:「先生、ありました!これです!」

 茶封筒を手に持っている。

 高橋:「便器の裏に張り付けてありましたよ」
 愛原:「ボスもベタなことをするなぁ……」

 私は高橋から茶封筒を受け取り、中を確認した。
 確かに、中には3人分の新幹線チケットが入っていた。

 愛原:「21時15分発、“あさま”630号、東京行きか。まあまあだな」
 高野:「ゆっくり食べようと思ったら、手近な所しか無いですね」
 高橋:「向こうの駅ビルに、食う所がありましたが……」
 愛原:「よし、そこに行こう」
 高橋:「こっちです!」

 高橋は勇んで私達を案内した。

[同日21:00.天候:曇 JR長野駅ビル“ミドリ”→長野駅新幹線ホーム]

 店員:「ありがとうございましたー」
 愛原:「どうも、ごっそさんー」

 私達は事件解決の軽い祝杯を挙げた。
 高野君がそろそろ新幹線の時間だと教えてくれなければ、私は酔い潰れていたことだろう。

 高橋:「先生、しっかりしてください」
 高野:「飲み過ぎですよ」
 愛原:「しょうがないだろう。ペンションでは事件に備えて、禁酒だったんだぞー!」
 高野:「仕事だからしょうがないでしょ」

 私は高橋に肩を担がれている。

 愛原:「ほらほら、新幹線に乗り遅れるぞー!前進ぜんしーん!」
 高橋:「はいっ!」

 それでも高橋は文句1つ言わず、私を担いで新幹線乗り場に向かう。

 高野:「全く……」

 高野君だけが呆れ顔だった。
 だがさすがに、改札口だけは自力で通ったがな。

 高橋:「先生、大丈夫ですか?」
 愛原:「少しは酔いが醒めたよ」
 高野:「完全に酔いを醒ましてくださいな」
 愛原:「なにお!もう一杯だ!高橋、ビール買って来い!」
 高橋:「はい!」
 高野:「ダメですよ、もう……」
 愛原:「ケチ」
 高野:「明日は月曜日なんです。また、事務所を開けないといけないんですからね。ボスも、また電話すると仰ってたでしょう?」
 愛原:「ちぇーっ」

 私は残念な思いと共に、新幹線ホームへのエスカレーターに乗った。

 高野:「ん?」

 その時、高野君が辺りをキョロキョロと見回す。

 愛原:「どうしたい?」
 高野:「何か、子供の声が聞こえませんでしたか?」
 愛原:「子供?」
 高野:「女の子の声です。かといって、あんまり小さい子ってわけでも……」
 愛原:「ハハハハっ!気のせいだろう?俺には聞こえなかったぞ」
 高橋:「俺もです」
 愛原:「まあ、高野君もそれなりには飲んだからな。そのせいだよ」
 高野:「ですかね……」

 日曜日の夜だ。
 確かに、これから新幹線に乗ると思われる家族連れの姿は散見される。
 子供の声が聞こえるのは、至極当然だ。

 高野:「何か、頭の中に響くような声だったんですよ」
 高橋:「だから、オマエも酔っ払ってるってことだろ。先生に変なことするなよ?」
 高野:「先生が変なことしてきたらとうするの?」
 愛原:「ブッ!」
 高橋:「俺が全力で阻止する……!」
 愛原:「う、うむ。アルハラ、セクハラが大問題になってるからな。ま、まあ、その時は頼むよ」
 高橋:「お任せください!」

 ホームに着くと、既に列車はホームに到着していた。

 愛原:「どうやら間に合ったみたいだな」
 高橋:「そうですね」

 私は指定席特急券を手に、指定された座席のある10号車へと向かった。

〔14番線に停車中の電車は、21時15分発、“あさま”630号、東京行きです。グランクラスは12号車、グリーン車は11号車、自由席は1号車から6号車です。この電車は途中、高崎までの各駅と大宮、上野に止まります〕

 私達は10号車に乗り込むと、指定された座席を探した。
 A席からC席ということは、3人席であることは確かだ。

 愛原:「ん?」

 その時、向こう側の車両へと続くドアが開いた。
 その向こうからやってくるのは、黒っぽいブレザーにプリーツスカートをはいた白い仮面の……。

 愛原:「!!!」
 高橋:「どうしました、先生?」
 愛原:「えっ?」

 高橋に後ろから声を掛けられると、その仮面の少女は消えていた。

 愛原:「あ、いや……。俺もどうやら飲み過ぎたらしい」
 高野:「今頃お気づきですか」
 愛原:「いや、ハハ……」

 私が苦笑いしていると、高橋が座席を見つけた。

 高橋:「先生、ここですよ」
 愛原:「そうか」
 高橋:「窓側へどうぞ」
 愛原:「……っと、その前にトイレだ」
 高橋:「お供します!」
 愛原:「あ、うん……」

 いつもなら来なくていいと返すところだが、トイレがさっきの幻……仮面の少女が現れた先にあるんだよな。
 とはいえ、デッキにも男子用トイレにも誰もいないようだった。

 高橋:「お供します!」

 私が男子用個室に入ろうとすると、高橋も続こうとしたので、

 愛原:「せんでいい!」

 と、これは返した。
 やっぱり高橋はLGBTのG……いや、Bか?……と思った。
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4 コメント

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つぶやき (雲羽百三)
2017-12-24 16:24:44
クリスマス・イブだが、またパラパラ茜のオバハンは荒れているのかな?
ま、そんなことどうでもいいや。

ここ最近はアメブロのF屋さんが、男版パラパラ茜に見えてきてしょうがない。
この2人、引き合わせると……うん、「流血の惨を見る事、必至であります」w

私はクリボッチ、居酒屋で飲み明かすことにしよう。
つぶやき 2 (雲羽百三)
2017-12-24 19:52:37
 取りあえず、ビールは中ジョッキ2杯と……えーと……あと、何だっけ?……あー、カシス……何とか飲んだっけな。
 食べ物……焼き鳥の盛り合わせとか、お通しで温かいもの食べたとか……。
 七面鳥の代わりに、焼き鳥の盛り合わせだ。

 何だかF屋氏はクリスマスソングが流れて来ただけで吐き気がしたそうだが、ダメダメだな。
 せめて私のように、非リアを祝って飲み過ぎて吐き気がするくらいでないと。
 ん?あの人は酒が飲めんのか?
 なに?信心興成の誇り高き日蓮正宗信徒は飲んだくれてる場合じゃないってか。
 全く。そんなんで、人生楽しいかね。
 冥益より顕益だよ、オメ。
 ほら、よく言うだろ。

 「奇特顕益」ってwww

 飲み過ぎて、スマン。
Unknown (マイケル)
2017-12-25 06:48:37
百三さん、おはようございます。
お疲れ様です。

ってか何時の時代から、イブとかクリスマス
が「恋人達」の季節になったんだww

ホント、腹立ちません?

一昨日、TBS系列の新・情報7days(22:00)って
番組を見てたんです。

その時、街角中継みたいなコーナーがあって、
レポーターが「手を繋いだカップルで、街は
賑わっています(⋈◍>◡<◍)。✧♡」的な
コメントしてたんですよね。

その直後、行きかう人並みの様子が映し出さ
れていたんですけど、手を繋いでいるカップル
なんかいませんでした。

すかさずビートたけしさんから、「手を繋い
でいるカップルなんかいねえじゃねぇか」っ
てツッコまれてたのをみて、思わず笑って
しまいましたww

動画とか見てた方が、楽しいかも(*^-^*)
マイケルさんへ (雲羽百三)
2017-12-25 12:39:01
こんにちは。

クリスマスもそろそろオワコンの時期を迎え、本来のキリスト教オリジナルの行事に戻ろうとしていると思います。
ビートたけしの言う通り、クリスマスだからって、特段カップルの数が増えたとは思いませんし、むしろ年々減少しているようにも見受けられます。
ですので、何も腹を立てることはないですよ。
これからは、「おひとりさま」の時代ですから。
私が最近酒に目覚めたというだけでドン引きする女がいるくらいです。
変に気を使うくらいなら、クリボッチの方が良いわけです。
ですから、マイケルさんもお気になさらず……。

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