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【ケー・アイ・エス事件】東京高裁判決の要旨(平成28年11月30日)

2018年04月04日 08時00分00秒 | 会社にケンカを売った社員たち
▼ Xは本件作業について、中腰の姿勢でコンテナ容器の下端部に両手をかけて持ち上げて傾ける方法をとっていたと主張する。しかしながら、約230kgの原料入りコンテナ容器の下端部に両手をかけて持ち上げ、傾けるためには少なくとも115kgを持ち上げる力を必要とする。小柄で細身のXが上記方法により持ち上げることは物理的に不可能である。本件作業はコンテナ容器を押して勢いをつけて段差部分に衝突させた際の衝撃を利用して容器を傾けさせ、原料を投入する態様と認められる。

▼ 本件作業の態様がXの体格を基準としても過重なものであったとはいえないことは、(1)Xよりも多数回にわたり本件作業に従事していた従業員において本件作業を原因とする腰痛等を訴えた者がいなかったこと、(2)X自身も少なくとも平成20年当時は自らの腰痛の原因が本件作業にあると訴えていなかったことによっても裏付けられる。

▼ 本件作業中に腰痛の発症、悪化があったとしても、それは以前から罹患していた慢性的な腰痛が日常生活上の通常の動作によって一時的に悪化したことがある程度のものにすぎず、その原因が本件作業にあったということは到底できない。労働基準監督署長の認定は本件作業の態様がXの主張するとおりであったとの誤った事実を前提としている。

▼ Xの休職は私傷病による休職であったことになるから、労働基準法19条の適用はなく、自然退職を無効と解すべき事情もうかがわれない。よって、Xは24年1月20日の休職期間満了をもって雇用契約上の権利を有する地位を喪失した。

▼ 本件作業の態様により一定の負荷がかかるとしても、労働省の発出した「職場における腰痛予防対策指針」に反する取扱いであったと認めるに足りる証拠はない。K社がXに本件作業を強要したということもできず、安全配慮義務違反、不法行為はいずれも成立しない。

1)K社の控訴に基づき、原判決中、同社敗訴部分を取り消す。
2)上記取消部分に係るXのK社に対する請求をいずれも棄却する。
3)Xの控訴をいずれも棄却する。
(以下略)
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