Yahoo知恵袋や教えてgooなどを見ると住宅購入の悩みがたくさんでている。中でも多いのが和室は必要か?というもの。こういうことに悩まずに済んでよかったなと思った。
うちにも和室はあるけど、母の部屋を洋室にするか和室にするかということだった。母にどっちがいい?と聞けば済むだけのことで、悩むようなことではなかった。
なんでこういう問いかけになるのか。それは家は○LDK(和室有り)などが標準スタイルだから、そこに自分の生活を当てはめて考えなくてはならないからだ。すでにある標準からスタートするのは近道なようで、実は無駄なエネルギーを使うことになるのではないか。
建築家と家を建てるときは、物事の決め方がもっと素直になる。土地が何平米でこういう形です、そこにこのくらいの大きさの家を予算はこれくらいで建てます。家族は何人で、こういう関係です。食事は同じ場所でいいけど、それぞれ都合のいい時間に食べます。こういう大まかな条件からスタートする。
最初に建築家から見せられるのは発泡スチロールで作った簡単な家の形、一階に居間、台所、水周り、母の部屋、二階に寝室と書斎などを割り振った大まかな図面だ。それに改良や変更を加えていく。
たくさんのことを決めなくてはならないし、完成まで1年半から2年もかかるので大変だけれど、自分たちはどういう暮らしがしたいかが明確になっていく過程なので結構楽しい悩みだった。
時間をかけることで、自然と整理されていくこともあるし、ひとつひとつ決めていくので、混乱してしまうこともなかった。2年もかかるのかと驚かれるが、何千万円もの買い物を数日で決めてしまうほうが私は怖い。
ハウスメーカーなどの価格は家の本体工事のみでその他はオプション扱いで、そこで個性を出すようなことになっているようだ。でもその分高くなりますよと。これはずいぶん苦しい悩みではないか。
建築家と作る場合は、外構も家具や照明も全て含んだ総額が工事の費用なので何をつけるといくらという個別の話ではない。予算をオーバーしたら素材のランクを下げるなどして調整する。それでも収まらなければブランを考え直すことになるのだろう。
そもそもどんな物をつけるか(設備の選択)ではなく、限りある空間をどんな用途に振り分けるかのほうが重要なのだ。
建築家は、さらに土地の特性を活かすことや家族のコミュニケーションが豊かになるようにするなど、深いことも考えていたようだ。こういうことは暮らしていくうちにだんだんに身体にしみてくるように分かってくる。
いい家だ。困ったことは、鉄の階段は転ぶとものすごく痛いとか、猫が柔らかい床を引っ掻いてしまってもったいなかったとかぐらいのもので、笑い話にしかならない。