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「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」

共和国の唯一の財産は「言ったことは守る」ということ

2009-06-30 | 北朝鮮バッシングに抗して
 一昨日、吹田事件研究会主催「東アジアの民衆和解を求めて」という集会で、広島平和研究所所長の浅井基文さんの講演を聴く。
 浅井基文さんは外務省出身とあって、外交に関してリアルに頷けるお話が多かった。

 「他者感覚を働かせて情勢を判断することが重要」と、外交実務経験からその重要性を何度も説いていた。
 他者感覚とは、丸山真男の言葉だそうだが、この場合は「自分が金正日になりきって思考する」ということ。「自分が金正日だったら」ではなく「金正日になりきってしまうこと」なのだそうだ。その人の思考様式、何が重要なファクターかを考察し、判断すること。それがなければ外交交渉はうまくいかないのだそうだ。
 その喩えがとてもうまかった。
 今の共和国は、巨象(米)・ライオン(日)・虎(韓)に囲まれたハリネズミのようなもので、原野の中のハリネズミではなくハリを一生懸命逆立て、攻撃されないようにしている。民族的自尊心を胸に、自国の国家生存のために何が必要か必死で模索するハリネズミ。
 核先制攻撃を口にしたのはブッシュだが、クリントンも、そしてオバマもそのオプションは捨てていない。そういう巨象の前にいるのが金正日なのだということを理解しなければ、解決へは結びつかない。攻撃されないための唯一のハリネズミのハリが、核兵器でありミサイルというわけだ。

 1941年の日本と比較してみると分かりやすいという喩えも、浅井さんならではかも知れない。
 ABCD包囲網で孤立した日本は、負けると分かっている戦争に暴走して。41年当時でも、アメリカは巨象だった。しかし現在のアメリカは、41年当時どころではない。世界を支配する巨象で、しかも今の共和国には暴走できるだけの余裕もない。軍事訓練する重油さえない状況では、いざ戦争となれば数日しかもたないことは、誰より金正日自身が分かっている。その絶対的不利の中で生存を獲得するには、ソウルを東京を火の海にすると脅せるだけの武器を獲得する以外にない。

 この間の「行動対行動」という共和国の主張は、外交上ユニークな主張なのだそうだ。
 普通であれば約束で十分なのだ。しかしこと共和国の交渉相手にかぎっては、約束を履行しない。90年代の外交交渉の中で、共和国はそれを学んだ。約束で不十分だから「行動対行動」の原則が生まれてきたというわけだ。
 浅井さんの話の中で、この点は実に興味深かった。
 国際的な交渉の場で約束を破る行為が存在するということは、にわかに信じがたいが、しかしそれは金正日政権だからこそそんなことをするのだと……私たちは信じている。普通の日本人であれば、ほとんどの人がそう信じ込まされている。
 しかし現実は違う、と浅井さんは指摘する。共和国は約束したら率先して実行している。共和国の唯一の財産は「言ったことは守る」ということ、とまで言い切った。もちろんこれは内政にウソがないとかプロバガンダが真実だとかいっているわけではない。外交交渉の場で約束したことは必ず率先して守っているというのだ。
 その事は逐一検証してみれば分かると。約束を反故にするのはいつも相手の側だ。

 米朝間の合意文書を紐解くよりも、日朝平壌宣言の方が分かりやすい。
 日朝平壌宣言で約束されたのは①日朝国交正常化交渉の再開、②植民地支配の謝罪と経済協力の約束、③拉致を今後起こさないための適切な措置の約束、④北東アジアの平和と安定のための協力とミサイル発射モラトリアムの4点である。「拉致問題の解決なくして国交正常化なし」という日本政府のスローガンは、圧倒的に理がない。拉致問題について宣言で書かれたことは「朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置を取る」ことだけだ。共和国側は約束を守り、素早く拉致被害者を帰国させもした。拉致問題を理由に国交正常化交渉を再開させないのも、被害者をいったん帰国させなかったことも、外交交渉としては筋が通らない。非は金正日政権側にあるのではなく、そういう約束をした小泉政権の側になるのであって、責任は小泉に求められるべきなのだ。
 実は私は「5人を共和国にもどすべきだった」という意見に素直に同意することはできないが、しかし外務省があまりに無策に過ぎ、あまりに不誠実に過ぎるとは思う。拉致問題の解決は、国交正常化交渉の過程の中で、緊張緩和と信頼関係醸成の中で解決するべきであって、6者協議の中に持ち込むべきではないし、いたずらに対立するだけでは絶対に解決しない。実際に緊張緩和の第一歩として帰ってきた被害者ではないか。

 論点は少々ずれたが、共和国の「唯一の財産は『言ったことは守る』ということ」というのは、米朝交渉の約束事をみても、実際その通りだと思う。

 ではなぜ、私たちは「共和国が約束を破っている」と信じ込んでいるのだろうか?
 もちろん、マスコミが真実を伝えないからだ。
 浅井さんも、この日もう一人の講演者だった戸塚悦朗さんも、口をそろえていっていたのだが、今の日本のマスコミが外務省の主張を垂れ流すばかりで、真実を伝えない。世界の常識が日本の非常識だったりする。アメリカもロシアも「人工衛星」と認めているものが、日本ではロケットだし。
 日本軍「慰安婦」問題などで国連で活躍する戸塚さんが言ったことはとてもリアルだった。
 「共和国の外交スタッフはとても情報収集能力に長けていて、国際情勢をよく理解しているように見えた。逆に日本の方が劣化している。」「共和国の主張が真実だと検証することよりも、日本のいうことがウソだと検証する事の方が難しく、そして重要なのだ。」

 さてオバマは今のところこれまで朝鮮半島情勢を無視している。浅井さんの分析では「内政で手一杯で、系統的に一貫した外交を行う余力がないのでは? ブッシュ政権の負の遺産である中東情勢で手一杯」とのこと。「アジアに関して同盟国が適切なアドバイスを行えない事も一因」とも言っていた。確かに日本はこんなだし、李明博政権は日に日に右傾化を強めている。
 それでもオバマは朝鮮半島情勢の解決に動き出さざるを得ないだろう。オバマに対して過大な評価はしないが、そう信じたい。
 米朝間交渉が何よりも近道だし、麻生にも李明博にも期待するのは、絶望的に虚しい。
 しかし気分としてはそうであるにせよ、私たちはそれでは間違っている。6者協議の最大の破壊者である日本を糾弾し、日朝国交正常化を主張する事によって、朝鮮半島と極東アジアの非核化と平和関係の醸成に努めるしかない。なによりもそここそが、日本に住む私たちがなすべき課題なのだから。

 日朝国交正常化と、朝鮮半島・極東アジアの非核化を!


(カラン)

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