LiveInPeace☆9+25

「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」

日米合同軍事演習「キーン・ソード」の危険(5) なし崩し的に憲法違反、「周辺事態法」さえ逸脱

2010-12-21 | 日々のニュース
二重に憲法違反、法律違反の日米合同軍事演習

日米合同軍事演習は、朝鮮半島有事を想定した史上最大規模のトータルな軍事演習であった。
※日米共同演習 朝鮮半島有事を想定(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010120902000021.html

 しかし、航空自衛隊の戦闘機と米軍の戦闘機が一体となって石川県の小松基地で朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対する攻撃や空中戦の訓練を行う、舞鶴港で海上配備型迎撃ミサイル(SM3)搭載の日米のイージス艦が共同して対北朝鮮のミサイル防衛訓練を行う、北海道から沖縄までの各基地に地対空誘導弾パトリオット(PAC3)などを配備し、米軍基地のPACとともに迎撃態勢を取る、沖縄東方沖に日米の艦艇が集結し、戦闘機の離発着基地である米空母ジョージ・ワシントンを共同で防御する--朝鮮半島有事を想定してのこのような攻撃的侵略的な軍事行動は、日米安保条約によっても、日本のいかなる法律によっても、いかなる声明や合意によっても担保されていない。

なぜなら、
① 本シリーズ(4)で述べたように、この演習行為自身が、自衛隊が「作戦計画5030」へ事実上加担していることになるからである。
② 「朝鮮半島有事」において北朝鮮に対して日米が共同して軍事攻撃を加えるための予行演習であるからである。
このふたつの側面で重大な憲法違反、法律違反といわなければならない。

 ①については「作戦計画5030」は米の単独秘密計画であり、そもそも日本の自衛隊に北朝鮮の政権崩壊のために積極的に行動するというような任務は一切ない。あってはならない。「専守防衛」を掲げてきた自衛隊が自ら軍事力によって政権破壊工作に関与するということが憲法違反であることは明白だ。

 同じく②については、この日米合同軍事演習は、朝鮮半島有事である「周辺事態」を想定しているのだが、その法的根拠である「周辺事態法」には、日米が一体となって北朝鮮を攻撃する、つまり、自衛隊も軍事攻撃に加わるというような任務は認められていない。
※周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO060.html 

「周辺事態法」=朝鮮半島有事で自衛隊に許されるのは後方支援のみ

 そもそも日米安全保障条約では、自衛隊の任務は、日本有事と極東有事への対応に限られている。安保再定義といわれる1996年の橋本・クリントン会談における「安保共同宣言」でも、極東有事の概念を「日本周辺地域において発生しうる事態」に拡大し、それを受けて99年に成立した「周辺事態法」で有事の概念に朝鮮半島有事が加わったものの、日本の自衛隊の役割は極めて限定的である。
※日米安全保障共同宣言(21世紀に向けての同盟)
http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/documents/texts/docs/19960417.D1J.html

 それは、集団的自衛権に抵触しないように、本来一体であるはずの前線(戦場)と後方(戦闘行為が行われていない地域)を分けるというトリックを作りだし、自衛隊の活動を後方支援に限ることによって、憲法解釈をクリアしようとしたからである。

 したがって「周辺事態法」において自衛隊の役割は「後方地域支援、後方地域捜索救助活動」に限られており、「武力による威嚇又は武力の行使に当たるものであってはならない」と厳しい制約が課せられている。
 その中で日本の自衛隊に許されるのは「米軍への物品及び役務の提供、便宜の供与その他の支援措置」、後方地域での「捜索救助活動」だけである。
 それは、「別表」において補給、輸送、修理および整備、医療、港湾業務などである。
 備考として
「一 物品の提供には、武器(弾薬を含む。)の提供を含まないものとする。」
「二 物品及び役務の提供には、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備を含まないものとする。」
 という但し書きが書かれている。
 武器弾薬の提供や戦闘機への給油さえ許されていない自衛隊が、どうして米軍と一緒になって戦闘機が出撃し、イージス護衛艦が出航・作戦行動をするということが出来るのか。朝鮮半島有事を想定した米軍との一体的な軍事演習は、集団的自衛権に抵触する重大な憲法違反なのである。

自衛隊の性格、役割の大転換が、なし崩し的に進む危険

 極東有事を定めた「周辺事態法」は1999年、朝鮮半島核危機(1994年)を「教訓」として制定された。
 最近日本経済新聞の『私の履歴書』で、当時米国防長官であったウィリアム・ペリーが朝鮮半島危機について重大な事実を明かしている。(『私の履歴書』12/2 日本経済新聞)
 それによれば94年の朝鮮半島危機の際に、戦争を遂行する上で、「三沢から沖縄まで、日本の米軍基地を自由に使うことが可能か」というのが米軍にとっての最大の懸念であったという。ペリーはこの中で、“当時から朝鮮半島有事でも米軍基地の使用は可能だったが、その確証を日本政府からもらいたかった”と語っている。これは、60年の日米安保改定時に在日米軍基地の自由使用が密約され、さらに72年の沖縄返還時にも核密約だけでなく「基地自由使用」密約も存在したが、それが当時の日本政府にまで引き継がれているか確認したととらえることが出来る。

 ペリー国防長官が在韓米軍の5万人増員をクリントン大統領に進言し北朝鮮空爆を指示する直前まで事態は迫ったが、膠着状態が続く中、特使であったジミー・カーターが金日成から核開発行動を中止するという約束を引き出したことで、最終的に米軍の北朝鮮攻撃をとどまらせたことを書いている。(『私の履歴書』19、20(20、21日付))
 ペリーは、北朝鮮攻撃に突き進むことができなかった「最大の懸念は日本の対応だった」と語り、「北は青森・三沢から南は沖縄・嘉手納まで在日米軍基地施設をフルに活用しなければならない。大量の航空機、軍事物資、そして新たな追加兵力。それらを順次、日本の経由して戦地である朝鮮半島に送り込むというのが、我々の有事計画の骨子だった」と赤裸々に語っている。当時の細川政権はこれに対して、憲法に照らして十分な後方支援をすることができないと難色を示し、そのことが、米国が瀬戸際で北朝鮮攻撃に踏み込めなかった最大の軍事的理由の一つなのである。
 ペリーは、「朝鮮半島において軍事衝突が発生した場合、その後方支援のために在日米軍基地の使用が必要」としながらも「私が求めようとしたのは日本の自衛隊による戦闘行動への参加ではない」ときっぱりと明言している。今自衛隊がやっていることは、当時ペリーでさえ求めなかったことだ。 

 99年に成立した「周辺事態法」は、米軍による対北朝鮮攻撃のための基地利用と自衛隊の後方支援の法的根拠を与えた。私たちはこのことにも当然反対だ。しかしそれ以上に、いかなる法律によっても認められていない、「朝鮮半島有事」での自衛隊の攻撃・戦闘行動への参加というような重大な転換が、国会議論も、法律改正もなにもなく、日米軍事一体化と軍事演習の既成事実化によって突破していくことに強い危機感を持つ。それは、新防衛大綱の成立過程についても同じことが言える。

(ハンマー)
コメント   この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日米合同軍事演習「キーン・... | トップ | 靖国合祀への国の協力は憲法違反 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日々のニュース」カテゴリの最新記事