◆2009年 西日本大会 小学生決勝戦 草津リトルパンサーズ VS マッスル長糸 (2009.12.20:王子スタジアム)
あの激戦から1年、再びその日はやってきました。
2009年度の小学生Aチームは、新6年生が少ない状況を補う為に、小学生教員コーチが自らの教え子を招請するなどして秋までに4名の6年生が加入したのが特徴でした。
例年、低学年からの長い経験を積んだ選手を主力に構成されるケースがほとんどにおいて、6年生から始める選手が4人というのは異例であり、4年生・5年生選手も含めて経験の浅い選手が多いこのチームは、春の初戦敗戦からのスタートとなりましたが、シーズンを通して彼らは見違えるように成長し、秋季関西大会を立派に勝ち抜いて、今年もここまで駒を進めて来たのでした。
とはいえ、リトパン史上最強の小学生と言われた前年度のチームに比べると、戦力ダウンとなるのは致し方のないところでした。
しかし、それは対戦相手のマッスル長糸も同じで、マッスルも戦力がダウンしていた....こうして再び戦力が拮抗した両チームの対戦は、前年と同様の、いやそれ以上かもしれない激戦を演出することになったのです。
このような巡り合わせになろうとは、これを運命と言わずして一体何と言うのか....
〈前半〉
・リトパンの攻撃。ランプレー2回でハーフライン手前まで前進すると、3DNでRBのランが一気に抜けTD!! TFPはパスが失敗。【リトパン6-0マッスル】
・マッスルの攻撃。4DNにロングパスが決まりTD。TFPはモーションからのQBランが失敗。【リトパン6-6マッスル】
・リトパンの攻撃。2DNに2コールで相手のオフサイドを誘うと、その後3回の攻撃で1DNを更新、さらに3回のランでゴール前2ヤードまで前進し、勝負となる4DNは..ショートパスが決まった! TD!! TFPもパスが成功。【リトパン13-6マッスル】
・マッスルの攻撃。ランプレー2回で1DNを更新したが、2DNのパスをリトパン守備陣がインターセプト!! そのままゴールまで走りきりリターンTD!! ビックプレーが飛び出し、リトパンが大きな得点を得る。 リトパンのTFPはパスが失敗。 【リトパン19-6マッスル】
・マッスルの攻撃。4DNにQBがラッシュを交わしロングゲインして1DN更新。2DNにパスインターフェアの反則でリトパンはピンチとなるが、その後の攻撃をリトパン守備陣が守り切り攻守交代。
・前半まで残り10秒を切った時点でのリトパン1DNの攻撃。RBのランで前進するもここで前半終了。【リトパン19-6マッスル】
〈後半〉
・マッスルの攻撃。3DNまでリトパン守備陣が抑えるが、4DNにパスインターフェアの反則で1DN更新。3DNにパスでゴール前まで攻め込むと、4DNにQBが中央に持ち込んでTD。TFPもパスが成功。【リトパン19-13マッスル】
・リトパンの攻撃、4回の攻撃で1DN更新に至らず攻守交代。
・その直後のマッスル1DNの攻撃。モーションからのフェイクよりQBがディフェンスの空間を抜け、そのまま30ヤード走り切りTD。TFPはパスが失敗。【リトパン19-19マッスル】
・リトパンの攻撃、4DNに2コールで相手のオフサイドを誘い、5ヤード前進してやり直しの4DNとなったが、ロングパスが失敗し攻守交代。(当時のルールは、ディフェンスの反則はオートマチック1DNではなく、ダウンの繰り返しであった)
・マッスルの攻撃。2DNのパスプレーで大きく前進し1DNを更新すると、直後の攻撃でランプレーが決まりTD。TFPもパスが成功。前半とは一転、後半はマッスルのペースとなり、ついに逆転を許してしまう。【リトパン19-26マッスル】
・試合終了まで残り1分3秒でリトパンに最後の攻撃が回ってくる。1DNにQBランで前進し残り48秒となったところでリトパンのタイムアウト。その後2回のパスプレーが失敗し4DNとなる。残り時間は41秒。(当時は2分間の正式計時により、プレーによっては時計が止まるルールとなっていた)
・残り時間から見て、次のプレーで1DNを更新できなければ勝利はなくなる。絶体絶命のピンチとなった4DNで選択したプレーは...ロングパスだ。決まった! TD!! 【リトパン25-26マッスル】
・しかしまだ1点リードされている。TFPを決めなければ負け、ピンチであることに変わりはなかった。ここでマッスルのタイムアウト。そしてそのTFPは...センターへのパスが成功! 土壇場で再び追いついた!! 【リトパン26-26マッスル】
・残り34秒からのマッスルの攻撃。3DNのパスプレーで前進し、残り約10秒からのラストプレー。サイドラインからのカウントダウンが聞こえる中、パスの体勢からのQBランをリトパン守備陣が守りきりタイムアップ。 【リトパン26-26マッスル】
こうして、2009年西日本大会の小学生決勝戦は、誰も予想しなかった2年連続の同点・タイブレイクシステムによる延長戦に突入することになったのでした。
延長戦開始は3分後。ここで代表の南監督が異例の対応を見せます。スタンドにいる保護者や関係者達に、サイドラインで一緒に応援するように呼びかけたのです。
ご存じの通り、通常の試合においては、選手・コーチ・スタッフ以外の人にはサイドラインへの立入りを遠慮して頂くのがチームの方針になっています。
しかしこの時ばかりは、栄光のチーム復活を目前にしたこの状況で、絶対にチームを勝たせる為には、みんなの応援の力が必要だと判断したのでしょう。
スタンドにいるみんなが一斉にサイドラインに駆け下りて来ました...
〈タイブレイクシステムによる延長戦:ゴール前5ヤード地点からの攻撃を交互に行う〉
・第1ピリオド表のリトパンの攻撃。サイドラインいっぱいへのパスが成功!! 先制した!
・第1ピリオド裏のマッスルの攻撃。これを止めれば悲願に手が届く。サイドラインから大きな“ディフェンス”コールが沸き起こり、力強い応援がリトパンを後押しする。
・ここでリトパン守備陣は思い切った作戦に出る。ボールがスナップされた瞬間、(秘)人の選手がマッスルのQBをめがけて猛然とラッシュする。そして後方まで追い詰め...フラッグを取った!! 【リトパン27-26マッスル】 試合終了。
サイドラインにいた選手たちが一斉にフィールドに駆け寄って来る。昨年、激戦を制したマッスルのコーチが選手を抱き上げたように、今度は石井コーチがシンゴ主将を高々と抱き上げる!手を取り合って喜ぶ選手たち、歓喜に沸くサイドラインの人たち、その中にはこれまで悔しい思いをし続けてきた中学生選手が抱き合う姿もありました。みんなが6年間のそれぞれの思いを一気に爆発させたのでした。
勝った。ついに勝ったのだ。かつて日本一のチームだった面影も遠くなり、長い空白の時代が続いたこのチームに、やっと陽が当たった。
それにしても、ここまでたどり着くのにみんなが苦しかった。相手もさすがは4年連続日本一のチーム。楽には勝たせてくれない。
晴れて西日本チャンピオンとなった選手たちを待っていたのは、栄光の時代を知らない彼らにとっては夢にまで見たあこがれの舞台、東京ドームでの日本選手権でした。
(記:若菜)
あの激戦から1年、再びその日はやってきました。
2009年度の小学生Aチームは、新6年生が少ない状況を補う為に、小学生教員コーチが自らの教え子を招請するなどして秋までに4名の6年生が加入したのが特徴でした。
例年、低学年からの長い経験を積んだ選手を主力に構成されるケースがほとんどにおいて、6年生から始める選手が4人というのは異例であり、4年生・5年生選手も含めて経験の浅い選手が多いこのチームは、春の初戦敗戦からのスタートとなりましたが、シーズンを通して彼らは見違えるように成長し、秋季関西大会を立派に勝ち抜いて、今年もここまで駒を進めて来たのでした。
とはいえ、リトパン史上最強の小学生と言われた前年度のチームに比べると、戦力ダウンとなるのは致し方のないところでした。
しかし、それは対戦相手のマッスル長糸も同じで、マッスルも戦力がダウンしていた....こうして再び戦力が拮抗した両チームの対戦は、前年と同様の、いやそれ以上かもしれない激戦を演出することになったのです。
このような巡り合わせになろうとは、これを運命と言わずして一体何と言うのか....
〈前半〉
・リトパンの攻撃。ランプレー2回でハーフライン手前まで前進すると、3DNでRBのランが一気に抜けTD!! TFPはパスが失敗。【リトパン6-0マッスル】
・マッスルの攻撃。4DNにロングパスが決まりTD。TFPはモーションからのQBランが失敗。【リトパン6-6マッスル】
・リトパンの攻撃。2DNに2コールで相手のオフサイドを誘うと、その後3回の攻撃で1DNを更新、さらに3回のランでゴール前2ヤードまで前進し、勝負となる4DNは..ショートパスが決まった! TD!! TFPもパスが成功。【リトパン13-6マッスル】
・マッスルの攻撃。ランプレー2回で1DNを更新したが、2DNのパスをリトパン守備陣がインターセプト!! そのままゴールまで走りきりリターンTD!! ビックプレーが飛び出し、リトパンが大きな得点を得る。 リトパンのTFPはパスが失敗。 【リトパン19-6マッスル】
・マッスルの攻撃。4DNにQBがラッシュを交わしロングゲインして1DN更新。2DNにパスインターフェアの反則でリトパンはピンチとなるが、その後の攻撃をリトパン守備陣が守り切り攻守交代。
・前半まで残り10秒を切った時点でのリトパン1DNの攻撃。RBのランで前進するもここで前半終了。【リトパン19-6マッスル】
〈後半〉
・マッスルの攻撃。3DNまでリトパン守備陣が抑えるが、4DNにパスインターフェアの反則で1DN更新。3DNにパスでゴール前まで攻め込むと、4DNにQBが中央に持ち込んでTD。TFPもパスが成功。【リトパン19-13マッスル】
・リトパンの攻撃、4回の攻撃で1DN更新に至らず攻守交代。
・その直後のマッスル1DNの攻撃。モーションからのフェイクよりQBがディフェンスの空間を抜け、そのまま30ヤード走り切りTD。TFPはパスが失敗。【リトパン19-19マッスル】
・リトパンの攻撃、4DNに2コールで相手のオフサイドを誘い、5ヤード前進してやり直しの4DNとなったが、ロングパスが失敗し攻守交代。(当時のルールは、ディフェンスの反則はオートマチック1DNではなく、ダウンの繰り返しであった)
・マッスルの攻撃。2DNのパスプレーで大きく前進し1DNを更新すると、直後の攻撃でランプレーが決まりTD。TFPもパスが成功。前半とは一転、後半はマッスルのペースとなり、ついに逆転を許してしまう。【リトパン19-26マッスル】
・試合終了まで残り1分3秒でリトパンに最後の攻撃が回ってくる。1DNにQBランで前進し残り48秒となったところでリトパンのタイムアウト。その後2回のパスプレーが失敗し4DNとなる。残り時間は41秒。(当時は2分間の正式計時により、プレーによっては時計が止まるルールとなっていた)
・残り時間から見て、次のプレーで1DNを更新できなければ勝利はなくなる。絶体絶命のピンチとなった4DNで選択したプレーは...ロングパスだ。決まった! TD!! 【リトパン25-26マッスル】
・しかしまだ1点リードされている。TFPを決めなければ負け、ピンチであることに変わりはなかった。ここでマッスルのタイムアウト。そしてそのTFPは...センターへのパスが成功! 土壇場で再び追いついた!! 【リトパン26-26マッスル】
・残り34秒からのマッスルの攻撃。3DNのパスプレーで前進し、残り約10秒からのラストプレー。サイドラインからのカウントダウンが聞こえる中、パスの体勢からのQBランをリトパン守備陣が守りきりタイムアップ。 【リトパン26-26マッスル】
こうして、2009年西日本大会の小学生決勝戦は、誰も予想しなかった2年連続の同点・タイブレイクシステムによる延長戦に突入することになったのでした。
延長戦開始は3分後。ここで代表の南監督が異例の対応を見せます。スタンドにいる保護者や関係者達に、サイドラインで一緒に応援するように呼びかけたのです。
ご存じの通り、通常の試合においては、選手・コーチ・スタッフ以外の人にはサイドラインへの立入りを遠慮して頂くのがチームの方針になっています。
しかしこの時ばかりは、栄光のチーム復活を目前にしたこの状況で、絶対にチームを勝たせる為には、みんなの応援の力が必要だと判断したのでしょう。
スタンドにいるみんなが一斉にサイドラインに駆け下りて来ました...
〈タイブレイクシステムによる延長戦:ゴール前5ヤード地点からの攻撃を交互に行う〉
・第1ピリオド表のリトパンの攻撃。サイドラインいっぱいへのパスが成功!! 先制した!
・第1ピリオド裏のマッスルの攻撃。これを止めれば悲願に手が届く。サイドラインから大きな“ディフェンス”コールが沸き起こり、力強い応援がリトパンを後押しする。
・ここでリトパン守備陣は思い切った作戦に出る。ボールがスナップされた瞬間、(秘)人の選手がマッスルのQBをめがけて猛然とラッシュする。そして後方まで追い詰め...フラッグを取った!! 【リトパン27-26マッスル】 試合終了。
サイドラインにいた選手たちが一斉にフィールドに駆け寄って来る。昨年、激戦を制したマッスルのコーチが選手を抱き上げたように、今度は石井コーチがシンゴ主将を高々と抱き上げる!手を取り合って喜ぶ選手たち、歓喜に沸くサイドラインの人たち、その中にはこれまで悔しい思いをし続けてきた中学生選手が抱き合う姿もありました。みんなが6年間のそれぞれの思いを一気に爆発させたのでした。
勝った。ついに勝ったのだ。かつて日本一のチームだった面影も遠くなり、長い空白の時代が続いたこのチームに、やっと陽が当たった。
それにしても、ここまでたどり着くのにみんなが苦しかった。相手もさすがは4年連続日本一のチーム。楽には勝たせてくれない。
晴れて西日本チャンピオンとなった選手たちを待っていたのは、栄光の時代を知らない彼らにとっては夢にまで見たあこがれの舞台、東京ドームでの日本選手権でした。
(記:若菜)