過去の亡霊探しはもうやめようと思っている私だけれど…。
もう一人会ってみたい、消息が知りたい、懐かしい人がいる。
高校のクラブの1年先輩の男性である。
彼とは、恋愛関係にあったわけでなく…、
でも正直に言うと、出逢った一番最初にちょっとだけそんな想いもあった。
お互いにちょっとだけ自分の心を誤解したみたいな。
その誤解はすぐに解け、彼は言った。
「みなみは俺の妹だ!困ったときは何でも相談にのる」
(なんか、少女漫画とか少女向けの小説によくありそうな成り行きだね?)
でも、なんだか不思議な気もするんだけど、彼とはその後ずっと兄妹のような関係だった。
(確かに私は、子供のころから「お兄さん」が欲しかったんだよなー)
お兄さんとは帰り道が途中まで一緒だった。
朝、電車を降りる。その駅は、路線の終着駅だったので、満員電車のお客さんが一気に大量に降りてすごく混雑していた。
そこから、少し離れたバスターミナルまで行って、バスに乗り換えるのだが、
お兄さんはバスターミナルまでの近道を教えてくれた。
ちょっと走ってその近道を行くと、いつもより1本早いバスに乗れる。
電車に1本乗り遅れて、遅刻ギリギリのときにはとてもありがたかった。
前を歩いているお兄さんを見つけて、追いつこうとすると、
「みなみが歩くと、ペタペタ音がするのですぐわかる」と言われた。
最初にIGUちゃんにふられた高校3年のとき、
めちゃくちゃ哀しかった私に、お兄さんは、
「『なっちゃんはつむじ風』を見ると元気が出るよ」と言ってくれた。
私は榊原郁恵には興味がなかったけれど、
お兄さんに言われて見てみたら、本当にちょっとだけ元気が出た。
私がなんとなく寂しいとき、駅でばったり会ったお兄さんは、
コーヒー牛乳をおごってくれた。
駅で電車を待っているとき、よくお兄さんいないかなと探したりした。
あちらもそうだったのかもしれない。
獣医さんになりたいと言っていたお兄さんは浪人していて、
確か2年目も受からなかったんじゃなかったかな?
2年目は単身赴任していらしたお父様のいる北海道で浪人生活をしていたような記憶。
だから、私はお兄さんに会えなくなった。
何度か手紙をもらっていたと思うが、
それもだんだん途絶えて、連絡も取れなくなった。
彼の受験がうまくいかなかったことで、私も遠慮してあれこれ聞けなかったような気がする。
大学の何年生のときだったか、
後輩からクラブのOB会に誘われて行ったことがある。
同期の子もいなくて、ちょっと顔を出すだけのつもりで出かけて行ったのだが、
なかなか楽しく過ごしていた。
そのときに、後輩に「誰か他に呼べる人はいないか?」みたいに聞かれて、
お兄さんの実家に電話してみた。
夏休みの時期だったので、実家に帰っているかもしれないと思ったのだ。
あいにく不在だったけれど、
苗字を名乗っただけの私に、お母様が、「みなみさんですか?」って聞いてくれて、
嬉しかったのを覚えている。
それ以来、お兄さんの消息は全くわからない。
高校の同期会の名簿でも行方不明になっているようだ。
どうしているんだろう?
獣医さんになれたのかな?
元気にしてるのかな?
倖せに暮らしてるのかな?
私のこと、覚えてくれているのかな?
もう一人会ってみたい、消息が知りたい、懐かしい人がいる。
高校のクラブの1年先輩の男性である。
彼とは、恋愛関係にあったわけでなく…、
でも正直に言うと、出逢った一番最初にちょっとだけそんな想いもあった。
お互いにちょっとだけ自分の心を誤解したみたいな。
その誤解はすぐに解け、彼は言った。
「みなみは俺の妹だ!困ったときは何でも相談にのる」
(なんか、少女漫画とか少女向けの小説によくありそうな成り行きだね?)
でも、なんだか不思議な気もするんだけど、彼とはその後ずっと兄妹のような関係だった。
(確かに私は、子供のころから「お兄さん」が欲しかったんだよなー)
お兄さんとは帰り道が途中まで一緒だった。
朝、電車を降りる。その駅は、路線の終着駅だったので、満員電車のお客さんが一気に大量に降りてすごく混雑していた。
そこから、少し離れたバスターミナルまで行って、バスに乗り換えるのだが、
お兄さんはバスターミナルまでの近道を教えてくれた。
ちょっと走ってその近道を行くと、いつもより1本早いバスに乗れる。
電車に1本乗り遅れて、遅刻ギリギリのときにはとてもありがたかった。
前を歩いているお兄さんを見つけて、追いつこうとすると、
「みなみが歩くと、ペタペタ音がするのですぐわかる」と言われた。
最初にIGUちゃんにふられた高校3年のとき、
めちゃくちゃ哀しかった私に、お兄さんは、
「『なっちゃんはつむじ風』を見ると元気が出るよ」と言ってくれた。
私は榊原郁恵には興味がなかったけれど、
お兄さんに言われて見てみたら、本当にちょっとだけ元気が出た。
私がなんとなく寂しいとき、駅でばったり会ったお兄さんは、
コーヒー牛乳をおごってくれた。
駅で電車を待っているとき、よくお兄さんいないかなと探したりした。
あちらもそうだったのかもしれない。
獣医さんになりたいと言っていたお兄さんは浪人していて、
確か2年目も受からなかったんじゃなかったかな?
2年目は単身赴任していらしたお父様のいる北海道で浪人生活をしていたような記憶。
だから、私はお兄さんに会えなくなった。
何度か手紙をもらっていたと思うが、
それもだんだん途絶えて、連絡も取れなくなった。
彼の受験がうまくいかなかったことで、私も遠慮してあれこれ聞けなかったような気がする。
大学の何年生のときだったか、
後輩からクラブのOB会に誘われて行ったことがある。
同期の子もいなくて、ちょっと顔を出すだけのつもりで出かけて行ったのだが、
なかなか楽しく過ごしていた。
そのときに、後輩に「誰か他に呼べる人はいないか?」みたいに聞かれて、
お兄さんの実家に電話してみた。
夏休みの時期だったので、実家に帰っているかもしれないと思ったのだ。
あいにく不在だったけれど、
苗字を名乗っただけの私に、お母様が、「みなみさんですか?」って聞いてくれて、
嬉しかったのを覚えている。
それ以来、お兄さんの消息は全くわからない。
高校の同期会の名簿でも行方不明になっているようだ。
どうしているんだろう?
獣医さんになれたのかな?
元気にしてるのかな?
倖せに暮らしてるのかな?
私のこと、覚えてくれているのかな?