らぶらぶ

もう10年くらい前になるだろうか。
高校のクラスの飲み会の帰り道、男友達に聞かれた。
「ねえねえみなみちゃん、子供の前で旦那さんとチュッチュするでしょ？」
私は、「何てこと聞くの？」って顔で彼を見返してしまった。

そこへ女友達が「何なにぃ～？」と入ってくる。
「子供の前で、パパとチュッチュするかだって！」
すると彼女は、彼の顔を覗き込むようにしながら、
「え～？それは…、するよねえ？」

なんてやつらだ！！
でもまあ、この２人ともうひとりの男友達のことを、
私は日頃から「今でもラブラブ夫婦」と思っていたので仕方ない。

私は、正直言って、
子供たちに、当たり前のこととして、
「お父さんとお母さんがセックスして、自分たちが産まれた」
と思われるだけでいやだと思っていたのだ。
子供の前でキスなんてとんでもない！！

私だってそんな夫婦に全く憧れなかったわけではない。
でも、結婚相手に夫を決めた時点でそういう気持ちは無くしてしまったような気がする。
夫のことが好きでなかったわけではない。
だけど、夫のことをそういう対象として見たことがあっただろうか？
わからない。あったかもしれない。
多分、夫自身、そういう考え方をする人間ではないような気がする。
夫との結婚はただただ現実だった。
今はそんな気がする。
最初の最初はちょっと違った気もするのだが、結婚は夢じゃなくて現実。
私はそのことをすぐに思い知らされたような、そんな気がする。

私は元々キャピキャピした性格ではなかったが、
周りに合わせるように、無理にキャピキャピすることにがんばっていたような、
そんな女の子だった。
結婚したら、もうキャピキャピしていてはいけないのだと、そんな風に思った覚えがある。

テレビドラマなど観ていても、主人公の男女は強い絆で結ばれている。
羨ましいというか、圧倒される。
そんな絆で結ばれた夫婦が、世の中のどれくらいを占めているのだろうか？