IGUちゃんが電話で言う。
「女の子紹介してー!!」
「バカか!?こいつは!」と思いながら、そのとき仲の良かったM子ちゃんとS子ちゃんの
電話番号を教える。
このS子ちゃんは、もちろん高校のときのS子ちゃん事件のS子ちゃんとは別人。
2人とも、「S子」というのは本名ではないが、
イントネーション違いの同じ「S子ちゃん」だった。
M子ちゃんからは、すぐに電話が入り、
「勝手に変な人に電話番号教えないで!!」と怒られる。
ごもっともである。
でも、「S子ちゃんは、気が合ったみたいだよ」と。
あの楽しかった三島駅からの鈍行帰省から数日後、
それ以来IGUちゃんからの連絡はない。
私は大学の図書館で卒論の下調べをしていた。
そこへIGUちゃんとS子ちゃんが一緒に現れる。
偶然には違いないが、同じようなストライプのTシャツを着て。
大学の図書館は学生証がないと入れない。
「何やってんの?こんなとこで…?」
「早稲田の学生証見せて、参考にしたいって言ったら入れてくれたー」
「バッカじゃないの!?」
私は冷静ではいられなかった。
逃げるようにして図書館を出た。
初めての嫉妬である。
それまでIGUちゃんがどんなに女の子の話をしようが嫉妬などしたことなかった。
彼の部屋に女の子の存在をにおわせる物があっても平気だった。
でも、このときは嫉妬した。
それまでは顔が見えなかったからだろうか?
もちろん、S子ちゃんと何かあるなんて思ってない。
S子ちゃんは私がIGUちゃんを好きなのを知ってるし、
私もS子ちゃんの恋愛は知っている。
帰省しても私に連絡をくれないことなんて、普通だったし。
その間、他の女の子と会ってることだって、充分あり得る話なのに。
でも、S子ちゃんを紹介したのは私。自業自得。
何か月かたってから、S子ちゃんに言われた。
IGUちゃんが、
「俺のことを一番わかってくれてるのはみなみ」と言っていたと。
でも、そのことを私に言ってはいけないと思ってたって。
みなみが喜ぶのがわかってたからって。
でも、言っちゃったって。
うん。ありがとう。
そうだよね。そんなこと言われたら嬉しいよね?
でも、それは私にとって残酷な言葉でしかないんだよね?
そうなんだよ。
私はIGUちゃんの彼女にはなれないけど、
IGUちゃんにとって、特別な存在の女の子だったんだよ。
自分でそれを感じてたんだよ。
IGUちゃんは私に、いやな人間に見えるとことか何でも話してくれて、
彼がいい加減な気持ちでつき合う彼女なんかより、
ずっと、IGUちゃんの近くにいるって。
もしかしたら、彼が真剣な気持ちでつき合ってた彼女がいたとして、
その子に言えないことでも、私には話してくれてるって。
「女の子紹介してー!!」
「バカか!?こいつは!」と思いながら、そのとき仲の良かったM子ちゃんとS子ちゃんの
電話番号を教える。
このS子ちゃんは、もちろん高校のときのS子ちゃん事件のS子ちゃんとは別人。
2人とも、「S子」というのは本名ではないが、
イントネーション違いの同じ「S子ちゃん」だった。
M子ちゃんからは、すぐに電話が入り、
「勝手に変な人に電話番号教えないで!!」と怒られる。
ごもっともである。
でも、「S子ちゃんは、気が合ったみたいだよ」と。
あの楽しかった三島駅からの鈍行帰省から数日後、
それ以来IGUちゃんからの連絡はない。
私は大学の図書館で卒論の下調べをしていた。
そこへIGUちゃんとS子ちゃんが一緒に現れる。
偶然には違いないが、同じようなストライプのTシャツを着て。
大学の図書館は学生証がないと入れない。
「何やってんの?こんなとこで…?」
「早稲田の学生証見せて、参考にしたいって言ったら入れてくれたー」
「バッカじゃないの!?」
私は冷静ではいられなかった。
逃げるようにして図書館を出た。
初めての嫉妬である。
それまでIGUちゃんがどんなに女の子の話をしようが嫉妬などしたことなかった。
彼の部屋に女の子の存在をにおわせる物があっても平気だった。
でも、このときは嫉妬した。
それまでは顔が見えなかったからだろうか?
もちろん、S子ちゃんと何かあるなんて思ってない。
S子ちゃんは私がIGUちゃんを好きなのを知ってるし、
私もS子ちゃんの恋愛は知っている。
帰省しても私に連絡をくれないことなんて、普通だったし。
その間、他の女の子と会ってることだって、充分あり得る話なのに。
でも、S子ちゃんを紹介したのは私。自業自得。
何か月かたってから、S子ちゃんに言われた。
IGUちゃんが、
「俺のことを一番わかってくれてるのはみなみ」と言っていたと。
でも、そのことを私に言ってはいけないと思ってたって。
みなみが喜ぶのがわかってたからって。
でも、言っちゃったって。
うん。ありがとう。
そうだよね。そんなこと言われたら嬉しいよね?
でも、それは私にとって残酷な言葉でしかないんだよね?
そうなんだよ。
私はIGUちゃんの彼女にはなれないけど、
IGUちゃんにとって、特別な存在の女の子だったんだよ。
自分でそれを感じてたんだよ。
IGUちゃんは私に、いやな人間に見えるとことか何でも話してくれて、
彼がいい加減な気持ちでつき合う彼女なんかより、
ずっと、IGUちゃんの近くにいるって。
もしかしたら、彼が真剣な気持ちでつき合ってた彼女がいたとして、
その子に言えないことでも、私には話してくれてるって。