Linkman#41  乱読の後始末

-乱読、精読、積読-

書籍に触発されて「思考と空想」は、知の荒野を駆け巡るのか…

生物と無生物のあいだ 福岡伸一(講談社現代新書)

2011年03月06日 | 本と雑誌

Hitorigaten

 「生物学の面白さってなんだろう?」
 中学生の頃の理科第二分野から始まり、大学の農学部への進学と、一貫して「生き物」に対して尽きぬ興味が続いていた。
 その言い表せなかった理由の一つが、この本には見事に喝破されており、頁を繰る手の遅さに歯がゆい思いがした程、深くのめり込んで読み進んだ次第…

○この対構造が直ちに自己複製機能を示唆することに私たちは気づいていないわけではない
○ウィルス:栄養を摂取することがない、呼吸もしない、二酸化炭素を出すことも老廃物を排出することもない、一切の代謝を行わない
○オズワルド・エイブリー(ロックフェラー医学研究所):遺伝子の本体はDNAである
○エイブリーの確信は、直感やひらめきではなく、最後まで実験台のそばにあった彼のリアリティに基づくものであったのだ。そう私には思える。
○ルドルフ・シェーンハイマー:生命とは要素が集合してできた構成物ではなく、要素の流れがもたらすところの効果なのである
○美しい蝶の発見に第二位がありえないのと全く同様に、新しいタンパク質の発見にも第二位はない
○生物には時間がある。その内部には常に不可逆的な時間の流れがあり、その流れにそって折りたたまれ、一度折りたたんだら二度と解くことのできないものとして生物はある。生物とはどのようなものかと問われれば、そう答えることができる
○生物という名の動的な平衡は、それ自体、いずれの瞬間でも危ういまでのバランスをとりつつ同時に時間軸の上を一方向にたどりながら折りたたまれている。それが動的な平衡の謂いである。それは決して逆戻りのできない営みであり、同時にどの瞬間でもすでに完成された仕組みなのである

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