三ヶ月ぶりに広尾のレストラン「
アラジン」に行ってきました。実は、昼間に別のイベントに参加したかったのですが、それをあきらめざるを得なかったので、そのリベンジもかねて。
いつものように、ぼくは Menu Dégustation (季節のコース) を選択。10,000円で五皿、その上デセールが二つついてくるのだから、とってもリーズナブルだと思うのですが…… お嫁さんは、Menu de Spécialité (スペシャルコース) を選択。本日のお肉料理を聞いたら、なんと、豚足の料理か、自家製アンドゥイェットとのこと。どちらもコアなメニュー。
柔らかなフォワグラのフランと木の子、銀杏、むかごのフリカッセ秋トリュフ風味
Moelleux de foie gras et fricasse de champignons et foie gras “Truffe d’Automne”
季節のコースの一品目。フォアグラのソテーと並んで定番と言ってもいいでしょう。マデイラソースのおいしさは控えめに、まるで茶碗蒸しのように楽しめるフォアグラ。暖かいフランはおいしい。
ホロホロ鳥とフォワグラと石川芋、ゴボウのガランティーヌ
Galantine de pintadeau et foie gras, isikawaimo et gobou
スペシャルコースの一品目は、これも定番となっている料理。ちょうど昨年の同じ時期に食べて感動をした料理です。ただ、今回はサーブする器が違う。
昨年は白いお皿でしたが、今回はガラスの器です。個人的には白い器の方がいいかな。
鮑とセップ茸のキャベツ包み蒸し、肝のオリーヴオイル風味添え
Chou farcie d’ormeaux & cèpes marine
季節のコースの二品目はアワビ。これまでに二回ほど食べたことがあるのですが、アワビの蒸し具合とキャベツのコンビネーションがなんとも素晴らしい。素材から言ってもアワビにセップ茸と贅沢な料理です。
後で、川崎シェフとお話をしたときに、これが一番お金がかかっているとおっしゃっていました。
ホタテ貝とセップ茸のキャベツ包み蒸し、柚子風味ドレッシング
Chou farci de Noix de St-Jacques et Cèpes
スペシャルコースの二品目は、アワビのかわりにホタテを蒸した料理。食べ比べると分かりますが、アワビとホタテの食感と風味の違いが興味深い。
毛蟹のリゾット
Rizotto de crabes
季節のコースは三品目が定番の毛蟹のリゾット。ほとんどのお客さんが何が一番おいしかったかと訊かれて、「毛蟹のリゾット」と答えるそうです。
ちなみに、ぼくは、アワビとセップ茸の包み蒸し。
茄子と秋刀魚のシャルロット作り、バルサミコ酢ソースとタプナード添え
Charlotte d’aubergine et snnma au vinaigre de balsamique et au tapenade
お嫁さんの三品目は、シャルロット。
前回は「茄子とサルディーンのシャルロット」でしたが、今回は、秋の季節を感じさせる秋刀魚を使っています。やはり、秋刀魚の内臓がおいしい。
魚料理
Poisson Selon Arrivage
季節のコースには魚料理がついてきます。今回はスズキ。柔らかく、ほくほくしているのでてっきり蒸しているのかと思ったら、焼いているのだとのこと。
そういえば、川崎シェフの魚料理では、これまでも鱈とムール貝の料理で感銘を受けたことがありましたが、今回も、感動しました。
この辺りで、この日のワインを紹介しましょう。Saint Julien でとっても有名なシャトー。メドック第4級なのですが、日本での人気が高く、店頭で見かけてもかなり高いワインなのですが、お安くいただいたので、川崎シェフの料理で飲みたいと持ち込みました。なお、持ち込む場合は抜栓料で3,000円必要です。
Château Beychevelle 1983
Saint Julien
Cabernet Sauvignon 60%, Merlot 28%, Cabernet Franc 8%, Petit Verdo 4%
ぼくにとってはあこがれのワインでした。というのも、ボルドーにいた頃、このシャトーの前を通るときには、船は帆を下げたんだよ。それが当時はこういうふうに言ったんだと教わったからです。帆船がラベルにあるのはそのため。
baissez le voile --> baisse voile --> beychevelle
1983年というと、もう25年前のワイン。栓を開けると土埃の香りがしました。色も煉瓦色。熟成をしているのだから、赤色は煉瓦色に近づくのです。デキャンタージュをせず、ボトルから直接注いでもらうようお願いしました。
実は、Château Beychevelle は川崎シェフの好きなワインだとか。後で、話も弾みました。
蝦夷仔鹿背肉ステーキ、赤ワインソース
Dos de Chevreuil poêlé au vin rouge
いよいよ、メイン。季節のコースも選択ができるようになっていますが、ぼくは、蝦夷鹿が食べたいので上のものにしました。上に載っているのは脂身。苦手なので、すべてお嫁さんに寄付。彼女によると、それが、後で効いたとのこと。
自家製アンドゥイエット
Andouillettes a la Maison
簡単に言うと「内臓の詰め物」。フランスにいたときに初めて食べようとしたら、中はいろいろなものが入っているんだよと含み笑い。内臓の詰め物だと、確かにそうでしょう。味、かおりと強い料理です。
後で川崎シェフと話をしたら、かなり、フランスらしいと胸を張っていらっしゃいました。それでも、かなり食べやすくしてあると思います。好きな方はぜひお試しください。
柿とパッションフルーツのスープ仕立て&ヨーグルトシャーベット添え
Soupe de fruit de la passon et kaki & sorbet au yaourt
ぼくのデセール一品目は酸味がここちよいスープ。この酸味で二つ目のデセールを食べる準備ができてしまうので不思議。料理も脳で食べているのかもしれません。
栗のパイ包み焼き,チョコレートソース&栗の花のハチミツアイスクリーム
Marron en croûte sauce au chocolat & glace au mile de chataigne
二品目のデセールは、これも定番の料理。栗がとても大きいので、びっくりしました。訊いてみると和栗だとか。和栗であんな立派なものができるなんて驚き。
Blanc-manger au noix de coco & sorbet au Dita 1,000
ココナッツのブランマンジェ&ライチ風味シャーベット
お嫁さんのデセール。デセールをあまり食べない彼女には、甘みの抑えたこの料理は心地よかったでしょう。
この日は土曜日でしたが、思ったよりもお客さんが来ていました。しかし、ほとんどの方が早めにお店にいらっしゃったようで、10時頃にはぼくたちを含めて二テーブルくらい。お腹もいっぱいになったし、ティザンをいただきながら、今日は早めにお暇しようかなと思っていると、川崎シェフがいらっしゃって、いろいろな話になりました。
以外とおもりあがったのは、フランス人の話。あの人たちは冗談がきついですねという話になって、ぼくが、アメリカンコーヒーのことをフランス人の友人が「靴下の汁」と呼んでいたと「jus de chaussettte」という単語を使ったら、大笑い。あまり上品な単語ではないのですが「les couilles」もよく聞きましたねという話でさらに大笑い。シェフのフランス語の力は以前確認済みで、とてもきれいな発音をされているのですが、やっぱり、しっかりとした実力をもたれていることがまた確認できました。
気づけば一時間ほどお話をしていたでしょうか。おいしいものを食べて、素敵なワインを飲んで、大いに笑って、とっても幸せな夜。川崎シェフを始めスタッフの方々、そして、ディナーをともにしてくれたお嫁さんに感謝。ありがとう。