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真実を曲解し不正な情報によって世間の人々にこびへつらい、世間にとり入れられるような、ことはしたくない。

 主権者の生命と健康を守らない安倍内閣

2019年09月18日 19時40分16秒 | 政治

 

                                

                    「植草一秀の『知られざる真実』」
                                   2019/09/17
             主権者の生命と健康を守らない安倍内閣
             第2433号
   ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019091723325258516 ──────────────────────────────────── 東京電力福島第一原子力発電所に、100万トンを超える放射能汚染水が保管 されている。
放射能汚染水はいまも増え続けている。
この問題について、原田前環境相が「放出しかない」と発言したが、9月11 日の内閣改造で環境相に就任した小泉進次郎氏は、首相官邸での就任記者会見 で、
「福島の漁業の再生などに努力されてきた方々のご苦労をさらに大きくしてし まうようなことがあったとしたら、大変申し訳ないことだと思う」
と述べた。
この発言について、原発推進派が批判している。
この問題に関して、日本維新の会代表で大阪市長の松井一郎氏は、
科学的に安全性が証明されれば「大阪湾での放出を受け入れる」との考えを示 した。
ここで問題になるのが、
「科学的に安全性が証明されれば」
という言葉の意味だ。
食の安全でも「科学的証明」という言葉が用いられる。
たとえば、遺伝子組み換え食品や毒性の強いグリホサートを主成分とする農薬 の利用についてだ。
「科学的証明」によって利用が認められるというのは次の説明による。
「科学的に有害性が立証されていない」から摂取することに問題はない」

遺伝子組み換え食品の有害性に関する研究は数多く行われている。
マウスを使った動物実験では発がん性が確認されている。
しかし、この研究結果によって
「科学的に有害性を立証すること」
は容易でない。
フクシマで原発事故後に甲状腺がんの発生が激増している。
通常の発生確率をはるかに上回る確率で甲状腺がんが発生している。
しかし、原発事故による放射能拡散と甲状腺がんの因果関係を
「科学的に立証すること」
は容易でない。
遺伝子組み換え食品の有害性が強く懸念される状況であっても、
「有害性を科学的に立証すること」
は容易でなく、その壁を超えない限りは、
「科学的に有害性は立証されておらず」
「安全である」
とされてしまうのだ。

放射能汚染水を海洋に放出することについても、そのことによる有害性を
「科学的に立証できない」限りは、
「安全」とされてしまう。
「科学主義」の反対概念は「予防原則」である。
「予防原則」とは、安全であることが科学的に立証されるまでは危険性のリス クを回避する原則である。
福島原発事故に伴う放射性物質の拡散による健康被害について、健康被害を引 き起こさないことについて科学的に立証されるまでは、リスクを回避する行動 を取る。
健康調査を徹底して実施する。
居住制限を安易に解除しない。
これが「予防原則」に立脚した対応になる。
放射能汚染水の海洋放出についても、安全性が科学的に立証されるまでは、こ れを認めない。
これが「予防原則」に立つ対応になる。
米国で使用が認められていたグリホサートを主成分とする農薬の利用によって がんを発症した人が損害賠償を求める訴訟を提起した。
米国の裁判所は原告の訴えを認めて農薬メーカーに損害賠償を命じる判決を示 した。
このようなことが現実に生じている。
「予防原則」を基軸にした対応が取られていなければ被害は防ぐことができて いた。
放射能汚染水の安易な海洋放出を認めるべきではない。

東電福島第一原子力発電所の放射能事故によって、未曾有の被害が広がってい る。
日本では、原子炉等規制法などによって、ICRP勧告等に基き、一般公衆の 被曝上限を年間1ミリシーベルトと定めてきた。
ところが、フクシマ事故後に、この上限値が20ミリシーベルトに引き上げら れた。
理由は単純である。
被曝線量上限を従来基準の厳格なものにすると、多数の市民が避難生活を強制 されるからである。
国民の健康、生命を優先するのであれば、厳格な基準に基づく対応が必要不可 欠になる。
しかし、この場合、居住制限を受ける人数が膨大になる。
国や自治体はそのために膨大な財政支出を迫られることになる。
電力会社の賠償責任も膨大になる。
そこで、基準を緩めてしまう。
要するに、財政負担が膨大になるため、人為的判断で規制基準を大幅に引き下 げてしまっただけなのだ。

放射能汚染水の海洋放出についても、さまざまな問題点が警戒される。
安易に海洋放出を容認し、その後に健康被害発生等が確認され、因果関係が立 証されても手遅れである。
グリホサートを主成分とする農薬の利用について、米国ではがん発症との因果 関係が司法判断で認められ、高額の賠償責任がメーカーに課せられた。
ところが、日本ではグリホサートを主成分とする農薬の販売が野放し状態にさ れている。
国民の生命や健康よりも大資本の利益が優先されている。
福島産の農林水産物について、安全性についての懸念を持つと、フクシマの復 興を妨げていると批判の対象にされるが、この対応が間違っている。
史上最悪レベルの放射能放出事故を引き起こしたことは事実であり、放射能汚 染を警戒するのは当然のことである。
安全性の確認は厳格に行われる必要がある。
安全性に対する懸念が生じ、その結果、福島産の農林水産物の販売に支障が生 じる、価格下落によって売上が減少する等の影響が発生したなら、事故に責任 を負う者がその費用負担をするべきなのである。
この面の損害賠償をおろそかにしておいて、販売不振による影響を福島の生産 者に被せることが間違っているのだ。

福島の生産者は被害者であって、その損害を回復する権利を有している。
本来は、事故を発生させた東京電力に損害賠償責任を課すべきであった。
原賠法は事故発生責任者に無限の賠償責任を課していた。
東電は損害賠償の債務を弁済する財務力を有しておらず、法的整理する必要が あった。
法的整理が行われれば、東電の株主および東電に対する債権者がそれぞれ責任 を負うことになった。
これで賄うことができない賠償責任は国が負うしかない。
正当な責任処理が行われる必要があった。

ところが、国は東電に対する適正な責任処理を行わなかった。
東電の法的整理を実行しなかった直接の理由は東電のメインバンクであった日 本開発銀行の融資資金が焦げ付くことにあったと考えられる。
財務省の最重要天下り先である日本政策投資銀行の巨大損失を回避するため に、財務省が東電の法的整理を闇に葬ったのだと考えられる。
ここから、すべての責任処理が歪んでいった。
原発周辺に居住する市民は被害者でしかない。
高線量の放射線被曝を受けることを強制されることがおかしい。
年間線量20ミリシーベルトの地域に帰還することを強制されることがおかし い。
年間線量1ミリシーベルト以下の地域に避難することを国が保障する必要があ る。

結局、国は、責任を負う有責の責任者に当然の責任を負わせず、何の罪のない 一般市民に不利益を押し付けているだけだ。
勧告が福島産の水産物の輸入制限をかけたことについて、日本政府がWTOに 提訴したが、日本政府が敗訴した。
その韓国が、日本政府による福島の放射能汚染水について海洋放出を検討する ことについて疑問を呈するのは当然のことだ。
原田前環境相は海洋放出以外に方法がないと述べているのであるから、これに 対して情報を求めるのも当然である。
安倍首相は東京オリパラの招致演説で、汚染水は港湾0.3平方キロ内で完全 にブロックされていると述べたが、これも事実に反していた。
日本の主権者は、国家が財政的な理由によって主権者の生命と健康を守ること をおろそかにしていることを正確に認識する必要がある。
                                


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