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 拉致問題解決の意思と行動力を欠く安倍内閣

2019年09月16日 14時54分39秒 | 政治

 

                                

                      「植草一秀の『知られざる真実』」
                                    2019/09/16
            拉致問題解決の意思と行動力を欠く安倍内閣
             第2432号
   ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019091613000058451 ──────────────────────────────────── 米国政治最大の出来事は、トランプ大統領によるボルトン大統領補佐官解任で ある。
ボルトン補佐官は悪魔勢力の若頭筆頭に位置付けられる人物だ。
トランプ大統領施策に対して公然と批判を口にする。
そして、トランプ大統領の外交方針を仕切ろうとしてきた人物だ。
2月末の第2回米朝首脳会談。
何らかの合意が形成されると期待されたが、予定されていたワーキングランチ は中止され、交渉は決裂した。
理由は米国が北朝鮮への要求を変えたことだ。
北朝鮮は核の廃絶を経済政策解除に合わせて段階的に実施することを基本方針 にしてきた。
米国の交渉担当者であるビーガン北朝鮮担当特別代表も、この路線に沿って対 応を進めてきた。
ところが、米国が突如、方針を変えた。
北朝鮮の核廃棄を専決事項とする。
いわゆる「リビア方式」が提案された。
リビアは2003年、当時の最高指導者カダフィ大佐が核を含む大量破壊兵器 の放棄を宣言。
無条件で査察を受け入れ、開発関連資機材を米国に搬送した後、米国は制裁を 解除し、国交を回復した。
しかし、リビアではその後内戦が起き、反体制派がカダフィ大佐を殺害した。

対北朝鮮交渉でリビア方式を強硬に主張したのがボルトン補佐官である。
2月末の第2回米朝首脳会談での合意形成を阻止した。
ボルトン補佐官の対外強硬姿勢は対北朝鮮政策に対するものにとどまらない。
米国とイランの首脳会談にも強く反対してきた。
イランとの核合意からの離脱を推進したのもボルトン補佐官であると見られ る。
ベネズエラの反米政権に対して、武力でこの政権を転覆することを提唱してい ると伝えられてきた。
ロシアへの経済政策緩和に対しても強く反対してきた。
ボルトン氏がトランプ大統領に対しても、公然と批判を展開しつつ、政府高官 の要職にとどまってきたのは、ボルトン補佐官が巨大な後ろ盾を有してきたか らだと考えられる。
ボルトン氏の後ろ盾こそ、米国の支配者、政権を支配する闇の支配者
ディープ・ステイト
である。
ボルトン氏は米国の対米通商交渉にも関与していた。
米中が通商交渉で妥結することを妨害してきたのだと言える。

世界の金融市場、世界経済はトランプ大統領の行動によって振り回されてき た。
その「移り気」はトランプ大統領自身のものであると理解されやすいが、そう ではなく、トランプ大統領の葛藤というものが存在する可能性も考慮すること が必要である。
米国の影の支配者は言うまでもない。
巨大資本である。
巨大資本は軍事資本、金融資本、多国籍企業に代表される。
トランプ大統領は多国籍企業の意向に反する施策を採用してきたが、軍事資 本、金融資本とは相互依存関係を形成してきたと判断できる。
しかし、軍事資本とトランプ大統領は同床異夢である。
トランプ大統領は米国が世界の警察官の役割から離脱する方向に軸足を定めて いる。
これに対して軍事資本、軍産複合体は、これに真っ向から反対している。
トランプ大統領が日本の安倍首相に対して売れ残りの兵器を押し売りしている のは、軍産複合体に対する懐柔策であると見られる。
安倍首相の行為は日本の主権者に対する背信行為だが、トランプ大統領に対し ては臣下の礼を示す行為になっている。
これが安倍言いなり害交、ひれ伏し害交の基本図式だ。
トランプ大統領は軍産複合体に対して、一定の貢献をしていることをアピール している。
しかし、トランプ大統領は米軍の国外でのプレゼンスを引き下げる意図を有し ている。
その行動を妨害してきたのがボルトン補佐官だった。
このボルトンを更迭したことで、米国の対外政策が重要な変化を示す可能性が ある。
この点をしっかりと認識する必要がある。

北朝鮮の飛翔体発射について、トランプ大統領は国連決議違反ではないとの見 解を示している。
これに対してボルトン前補佐官は、国連決議違反であると明言してきた。
日本の安倍首相は「国連決議違反」で北朝鮮に対する制裁強化を訴え続けてき た。
ところが、これに対して米国のトランプ大統領は「国連決議違反ではない」と の見解を明言している。
8月末にフランスで開かれたG7会合の際に日米首脳会談が行われた。
安倍首相が「短距離弾道ミサイルも国連決議違反だ。極めて遺憾だ」と述べた のに対して、トランプ大統領は、「短距離ミサイルは合意違反ではない」と述 べた。
安倍首相はすかさず、「常にトランプ氏とは緊密に連携している」と取り繕っ たが、日米首脳の基本見解に決定的な隔たりがある。
安倍首相は日本を標的とするミサイルの全面廃棄を求めているが、米国のトラ ンプ大統領は米国に届くICBM配備を絶対に阻止する姿勢を示すが、日本を 標的とする短距離ミサイルについては容認する姿勢なのだ。

安倍首相はトランプ大統領に完全にはしごを外されている。
それにもかかわらず、安倍首相はトランプ大統領に面と向かっては何も言えな い。
接待尽くしすることしかできず、日本の主張、日本の考えをトランプ大統領に 伝えることすらできない。
その結果、拉致問題の解決など、空の彼方に消え失せている。
北朝鮮問題にかかわる米ロ中韓日の5ヵ国トップで、北朝鮮の金正恩委員長と 直接の面識を有していないのは安倍晋三氏ただ一人だ。
日朝の会談が実現する展望がまるで開けていない。
拉致問題の解決はトランプ大統領にすがって伝言してもらうだけの状況に陥っ ている。
しかも、トランプ大統領は拉致問題に強い関心を有していないものと見られ る。
安倍首相が拉致問題の解決を真剣に考えるなら、韓国の文在寅大統領の支援が 不可欠になる。
ところが、安倍首相は韓国の文在寅政権に対して敵対的な行動しか示していな い。
拉致問題の解決を絶望的にしている主因は、安倍首相自身の行動にある。

その一方で、米国の外交スタンスが激変する可能性がある。
トランプ大統領はネオコン、超右派のボルトン氏を切った。
ボルトン氏を切る大義名分を確保したのだろう。
このことによって、米国の対北、対イラン、対ベネズエラ外交が変化する可能 性が高まり始めた。
トランプ大統領が、米国の世界の警察官としての役割からの離脱を指向してい るとすれば、米国の朝鮮半島政策は急激な変化を示す可能性がある。
米国が南北朝鮮の統一を容認し、駐韓米軍を引き上げるとの選択肢さえ浮上す るかも知れない。
韓国政府によるGSOMIA破棄について、米国政府が容認している可能性を 否定できない。
安倍首相は米国にひれ伏す外交を展開し、米国は日本と共に存在し、GSOM IA破棄の韓国と敵対していると思いたいのだろうが、実際には、米国が韓国 と通じており、日本が蚊帳の外に置かれているということも十分に考えられ る。

トランプ大統領が米国の権力機構のなかで、暗闘に巻き込まれているとの見立 て成り立ち得る。
トランプ大統領は軍産、金融資本、多国籍企業のすべてと全面的に対立するわ けにはいかないから、常に何らかの取引、条件交渉が行われていると考えられ るが、軍産複合体の意向を尊重しなければならないという意味で、ボルトン補 佐官の存在は煙たいものであったと窺える。
そのボルトンを解任したことで、トランプ外交の選択肢の幅が広がることにな るだろう。
対立激化一辺倒だった中国との関係も変化する可能性がある。
対イラン政策にも変化が生じる可能性がある。
その変化の兆候が、すでに金融市場に表われ始めている。
現時点でトレンド転換を宣言するのは時期尚早だが、きめ細かい現実検証が重 要な局面を迎えている。
安倍首相が、日本が過去に明示した歴史認識を覆して、韓国や北朝鮮に対する 敵対的な外交姿勢を維持するなら、孤立に向かうのは日本になるだろう。
安倍害交は日本の主権者に利益をもたらしておらず、今後は極めて深刻な不利 益をもたらす恐れが高い。
島国根性丸出しの歪んだ害交姿勢を転換できなければ、日本は世界から孤立 し、巨大な経済損失にも直面してゆくことになるだろう。


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