曲学阿世:真実を追求し、虚実の世間に迎合するようなことはしたくない。

真実を曲解し不正な情報によって世間の人々にこびへつらい、世間にとり入れられるような、ことはしたくない。

 日韓関係についての平成時代天皇の指摘

2019年08月10日 19時11分27秒 | 政治

 

                                

                       「植草一秀の『知られざる真実』」
                                    2019/08/10
             日韓関係についての平成時代天皇の指摘
             第2402号
   ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019081016111057329 ──────────────────────────────────── 米国のトランプ大統領はときどき良いことを言う。
トランプ大統領が8月9日、
「韓国と日本は仲良くしなければならない。協議の席に着くべきだ」
「両国は頻繁に対立している。そのことが我々(米国)を困難な立場に追い やっている」
と述べたと伝えられた。
日本の安倍首相は韓国敵視政策を推進している。
韓国の大法院が徴用工問題の裁判で示した判断に対する報復として対韓国通商 政策で嫌がらせを行っている。
表向きは安全保障上の理由だとしているが、そう考える人はほとんどいない。
在韓日本大使館前の少女像撤去問題、徴用工問題で日韓の主張が異なってい る。
日本のマスメディアの大半は、日本政府の主張だけを垂れ流し、韓国が悪いと の色に染め抜いて報道するから世論が誘導されているが、客観的に見れば、韓 国には韓国の主張がある。
日本に日本の主張があるのは当然だが、評価を下すためには、両者の主張を冷 静に検討することが必要である。
徴用工問題について安倍首相は1965年の日韓請求権協定により「完全かつ 最終的に解決している」とした上で、本判決は「国際法に照らしてあり得ない 判断」であるとの見解を示している。
これが日本側の主張だ。
しかし、法律専門家からは以下の反論も示されている。

「元徴用工の韓国大法院判決に対する弁護士有志声明」 http://justice.skr.jp/statement.html
「声明」は日韓両国の司法判断について
「この問題について、韓国大法院は、元徴用工の慰謝料請求権は日韓請求権協 定の対象に含まれていないとして、その権利に関しては、韓国政府の外交保護 権も被害者個人の賠償請求権もいずれも消滅していないと判示した。
他方、日本の最高裁判所は、日本と中国との間の賠償関係等について、外交保 護権は放棄されたが、被害者個人の賠償請求権については、「請求権を実体的 に消滅させることまでを意味するものではなく、当該請求権に基づいて訴求す る権能を失わせるにとどまる」と判示している(最高裁判所2007 年4 月27 日 判決)。」
とした上で、
「この解釈によれば、実体的な個人の賠償請求権は消滅していないのであるか ら、新日 鉄住金が任意かつ自発的に賠償金を支払うことは法的に可能であ り、その際に、日韓請求権協定は法的障害にならない。
安倍首相は、個人賠償請求権について日韓請求権協定により「完全かつ最終的 に解決した」と述べたが、それが被害者個人の賠償請求権も完全に消滅したと いう意味であれば、日本の最高裁判所の判決への理解を欠いた説明であり誤っ ている。
他方、日本の最高裁判所が示した内容と同じであるならば、被害者個人の賠償 請求権は実体的には消滅しておらず、その扱いは解決されていないのであるか ら、全ての請求権が消滅したかのように「完全かつ最終的に解決」とのみ説明 するのは、ミスリーディング(誤導的)である。
そもそも日本政府は、従来から日韓請求権協定により放棄されたのは外交保護 権であり、個人の賠償請求権は消滅していないとの見解を表明しているが、安 倍首相の上記答弁は,日本政府自らの見解とも整合するのか疑問であると言わ ざるを得ない。」
と指摘している。

さらに「声明」は「被害者個人の救済を重視する国際人権法の進展に沿った判 決である」として、次のように指摘している。
「本件のような重大な人権侵害に起因する被害者個人の損害賠償請求権につい て、国家間の合意により被害者の同意なく一方的に消滅させることはできない という考え方を示した例は国際的に他にもある(例えば、イタリアのチビテッ ラ村におけるナチス・ドイツの住民虐殺事件に関するイタリア最高裁判所(破 棄院)など)。
このように、重大な人権侵害に起因する個人の損害賠償請求権を国家が一方的 に消滅させることはできないという考え方は、国際的には特異なものではな く、個人の人権侵害に対する効果的な救済を図ろうとしている国際人権法の進 展に沿うものといえるのであり(世界人権宣言8条参照)、「国際法に照らし てあり得ない判断」であるということもできない。」
他方、慰安婦像の撤去問題については、本ブログ、メルマガで繰り返し指摘し ているように、2015年12月28日の日本の岸田文雄外務大臣と韓国の尹 炳世外交部長官による、いわゆる「日韓合意」においては、韓国が従軍慰安婦 少女像の撤去を確約したという事実が存在しないことを認識することが重要で ある。
合意のなかに、「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」との表現 が盛り込まれことは事実だが、いわゆる従軍慰安婦少女像とされる像の撤去に 関しては、
「韓国政府は、日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し、空間の安寧、 威厳の維持といった観点から懸念しているという点を認知し、韓国政府として も可能な対応方法に対し、関連団体との協議等を通じて適切に解決されるよう 努力する」
と発表しただけで、少女像の撤去を確約していない。
日本はアジアの一国として韓国、中国、北朝鮮との友好関係構築に力を注ぐべ きである。
日本が過去に植民地支配と侵略によって近隣諸国に対して多大の損害と苦痛を 与えたことは「村山談話」が示すように、日本政府が事実と認めた事象であ る。
近隣諸国との友好関係を構築するためには、この歴史事実に対する真摯な認識 を保持することが不可欠である。
この考え方は「反日」と表現するべきものでない。
秋嶋亮氏の著書にある
「愛国者ほど国を批判し、売国奴ほど国を賛美する」
の言葉を胸に刻む必要がある。

日本政府の対応は、韓国の主力産業の原材料の一部で、日本が独占的な供給能 力を確保している財の韓国への供給を遮断することを目的としたものと受け止 められている。
極めて幼稚な対応である。
NHKを筆頭とする主要メディアは、「多くの角度から論点を明らかにするこ と」をまったく行っていない。
日本政府の主張だけを垂れ流しにしている。
河野外相が駐日大使を呼び出して、相手の話に耳を傾けることもせず
「無礼でございます」
と述べることの方が、よほど無礼であるのに、NHKは日韓の主張の相違点を 図解して説明することもなく、日本政府の主張だけを垂れ流して、「韓国が悪 い」との心証を抱くように「印象操作」に全力を挙げてきた。

NHKが民主主義の健全な発展に資するように「公共放送」の役割を果たすこ とを目指すのなら、日本政府、日本の司法当局の主張とともに、韓国政府、韓 国司法当局の主張を並列的に示し、相互理解、相互尊重の精神を重視して問題 解決を図ることを提唱するべきである。
日本政府の御用放送に徹するならば、NHK放送を「公共放送」と呼ぶことは できない。
中国人強制連行事件である花岡事件、西松事件、三菱マテリアル事件などにお いては、訴訟を契機に、日本企業が事実と責任を認めて謝罪し、その証しとし て企業が資金を拠出して基金を設立し、被害者全体の救済を図ることで問題を 解決した。
そこでは、被害者個人への金員の支払いのみならず、受難の碑ないしは慰霊碑 を建立し、毎年中国人被害者等を招いて慰霊祭等を催すなどの取り組みが行な われてきた。
「弁護士声明」は、
「日本政府は、新日鉄住金をはじめとする企業の任意かつ自発的な解決に向け ての取り組みに対して、日韓請求権協定を持ち出してそれを抑制するのではな く、むしろ自らの責任をも自覚したうえで、真の解決に向けた取り組みを支援 すべきである。」
と提言しているが、極めて建設的な主張だ。

日本と韓国は極めて親密な関係を有している。
そもそも、民族的にも朝鮮半島と日本との関わりは極めて深い。
平成時代の2001年12月18日、天皇は誕生日に際しての会見で次のよう に述べた。
「日本と韓国との人々の間には、古くから深い交流があったことは、日本書紀 などに詳しく記されています。
韓国から移住した人々や、招へいされた人々によって、様々な文化や技術が伝 えられました。
宮内庁楽部の楽師の中には、当時の移住者の子孫で、代々楽師を務め、今も折 々に雅楽を演奏している人があります。
こうした文化や技術が、日本の人々の熱意と韓国の人々の友好的態度によって 日本にもたらされたことは、幸いなことだったと思います。
日本のその後の発展に、大きく寄与したことと思っています。」

「私自身としては,桓武天皇の生母が百済の武寧王の子孫であると,続日本紀 に記されていることに、韓国とのゆかりを感じています。
武寧王は日本との関係が深く、この時以来、日本に五経博士が代々招へいされ るようになりました。
また、武寧王の子、聖明王は、日本に仏教を伝えたことで知られております。
しかし、残念なことに、韓国との交流は、このような交流ばかりではありませ んでした。
このことを,私どもは忘れてはならないと思います。」

日本の対韓国外交を進めるにあたっては、天皇の指摘に示される認識を踏まえ ることが重要である。
日本が韓国敵視政策を推進することは日本にとって大きなマイナスをもたら す。
半導体や液晶などの産業分野では、日本は韓国からキャッチアップされて、完 全に追い抜かれてしまった。
5Gに関する技術特許の件数でも日本は中国、韓国に追い越されて取り残され ている。
日本が嫌がらせの輸出抑止措置を取れば、韓国は独自の資材調達の道を切り拓 くだろう。
それは、日本企業、日本産業にとっても大きな打撃になる。

トランプ大統領は良いことを言ったが、同じ問題は、米中の間にもあてはま る。
米国の対中国敵視政策は米国経済に重大な損失を与えることになるだろう。
相互理解、相互尊重の基本に立って、建設的に諸問題を解決することが重要で あると考える。


コメント   この記事についてブログを書く
« 「日本の戦後について」(1... | トップ | れいわ新選組山本太郎代表、... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

政治」カテゴリの最新記事