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究極の売国協定TPP&日欧EPA驚愕の断面

2018年02月09日 09時33分59秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                                

                       「植草一秀の『知られざる真実』」

                                     2018/02/09

     究極の売国協定TPP&日欧EPA驚愕の断面

               第1965号

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一昨日の2月7日、「TPPプラスを許さない!全国共同行動」が主催する
「TPPプラス交渉をただす!院内集会」
が参議院議員会館で開催された。

野党国会議員が6名参加し、会場に入りきれない市民が参集し、密度の濃い集
会が開催された。

今回の集会は、TPP11ならびに日欧EPA妥結を受けて、「TPPプラス
を許さない!全国共同行動」が事前に質問事項を政府に投げかけ、政府の担当
部局の職員が回答を示すという形態で実施された。

政府からは内閣官房、外務省、農水省から13名の職員が出席した。

集会は14時から17時まで開かれ、14時から15時までは、政府に投げか
けた質問事項を参加者に説明することと国会議員からの発言時間に充当され
た。

15時から17時の2時間を活用して、政府からの回答と、その回答に対する
再質問および再回答が実施された。

政府側の説明で冒頭、内閣官房TPP等政府対策本部からTPP11が3月8
日にチリにおいて署名式を行うことで各国が準備を開始することで合意したこ
とが報告された。

続いて外務省から日欧EPAの交渉妥結について報告があった。

その上で、内閣官房TPP等政府対策本部から日欧EPA等の経済効果分析に
ついて説明があり、さらに、農水省からTPP11および日欧EPAによる日
本の農林水産物生産額への影響試算についての説明が行われた。

全国共同行動が用意した質問事項は、
1.TPP11の合意に関する懸念事項
2.日欧EPAにおける「食の安全」に関する懸念事項
3.政府の「影響試算」と「政策大綱」に関する疑問点
4.日欧FPAにおける「国有企業」「公共調達」等に関する疑問点
の4つのカテゴリーに分類して提示された。
これらの4つのカテゴリーのうち、第4のカテゴリーについては説明時間が無
くなり、次回への積み残しとなった。



第1の「TPP11の合意に関する懸念事項」として、TPP11の新協定第
6条の問題点が取り上げられた。

協定6条とは「TPP原協定の発効が見込まれる場合又は見込まれない場合
に、いずれかの締約国の要請があった時は、TPP11協定の改正等を考慮する
ため、この協定の見直しを行う」というものである。

「TPPに反対する人々の運動」世話人の近藤康男氏が指摘したように、当初の
TPP協定の決定を維持してしまうと、米国が離脱することによって日本への
参加国および米国から輸入が増大し、日本の農林水産業が受ける影響がより甚
大になる懸念がある。

どういうことか。

ひとつの例として牛肉の輸入を考えてみる。

TPPでは輸入急増時のセーフガード発動の要件を定めた。

TPPでは参加国からの輸入量が発効時点では年間59万トン、16年目には
73.8万トンを超えるとセーフガードを発効できるとしている。

たとえば発効時にオーストラリアと米国からそれぞれ30万トンの輸入が行わ
れたとすると、合計輸入量が60万トンとなり、セーフガードを発効できる。

しかし、TPPから米国が離脱したため、60万トンというセーフガードの発
効条件は意味をなさなくなる。

オーストラリアから50万トンの輸入が行われ、これとは別にTPPの枠外で
米国から30万トンの輸入が行われれば、輸入量は80万トンになるのにセー
フガードを発効できなくなる。

当然のことながら、日本はこうした取り決めの「凍結」を求めなければならな
かった。



しかし、日本は凍結を求めず、TPPの決定事項をそのまま受け入れた。

これに対して農林水産事業者から懸念が表明され、それが協定大6条に反映さ
れたのだが、この条文が意味を持たないことは明白である。

協定第6条の表現は分かりにくいが、要するに、米国がTPPに入らない場合
に「TPP11協定の改正等を考慮するため、この協定の見直しを行う」という
「気休めの文言」が示されただけに過ぎない。

日本に対する輸出を拡大しようとする参加国が、日本が譲歩した水準を緩和す
る協定見直しに合意するわけがないのである。

全国共同行動を指揮している山田正彦元農林水産大臣が、政府の木で鼻をく
くったような説明に対して、厳しい批判を示したのは当然のことである。

また、内閣官房の出席者はISD条項について、日本企業が参加国に投資を行
う際に投資リスクを軽減する意味でISD条項が有効であるからこれを肯定す
るとの説明を示した。

しかし、2012年の総選挙に際して、安倍自民党は「国の主権を損なうよう
なISD条項には合意しない」ことを公約に明記した。

この点について私がこの自民党公約と政府の姿勢に矛盾があることを指摘した
が、内閣官房の担当者は自民党公約を認識していなかった。

ISD条項を用いて外国企業が日本を提訴する場合、最終的な裁定権限が外部
の裁定機関に委ねられることは主権喪失そのものであり、これがISD条項の
根本的な問題である。

この点についての認識すらない者がこれらの協定の実務を担っていることは悲
劇というようよりも喜劇に近い。

そして、政府が提示する影響試算は、その杜撰さを論評するのも憚られるよう
な代物なのである。



政府は日欧EPAの経済に与える影響試算について、実質GDPを1%押し上
げると発表している。

そのメカニズムとして実質賃金上昇が労働供給を拡大することとしている。

しかし、この議論は日本経済の現状での制約条件を完全に無視した机上の空論
に過ぎない。

現在の日本経済で最大の問題になっているのは人手不足である。

労働供給の絶対量の不足に直面しているのである。

さらに、中期的にも人口減少、とりわけ生産年齢人口の減少が急速に深刻化す
るのである。

このときに、労働供給の増加によって生産量が拡大するとの経済効果分析は、
何らの説得力を持たないものである。



他方、日欧EPAの農林水産物への影響試算も子供だましにもならない代物で
あることが明らかにされた。

ここでは、説明者が用いた牛肉輸入増加の影響を例に説明しよう。

担当者は、輸入品と競合する部分と競合しない部分に分けて、

競合する部分は関税削減相当部分の国内品販売価格が下落するとし、

競合しない部分は関税削減相当部分の国内品販売価格の比率の半分が下落する
として計算したという。

しかしながら、国内生産量は維持されるとして計算したという。

少し分かりにくい話だが、彼らの説明のなかにある「競合する部分」とは「乳
用種」であり、「競合しない部分」というのは「和牛・交雑種のなかの2~1
等級のもの」のことだという。



そもそも用語法が極めて恣意的なのだ。

「乳用種」は輸入牛肉と「同種のもの」であり、「和牛・交雑種」は「同種」
ではないが、十分に「競合」するものである。

牛肉を買う消費者はどのような行動を示すのか。

「乳用種」よりも「和牛・交雑種」の方が、品質が上で価格が高い。

そこに、「乳用種」の輸入牛肉が関税削減により大幅に価格が下落する。

牛肉全体に対する需要が一定であるなら、輸入「乳用種」の価格下落によって
「和牛・交雑種」に対する需要が、この輸入「乳用種」にシフトするのであ
る。

つまり、「和牛・交雑種」から「乳用種」への「代替」が発生するのだ。



輸入「乳用種」と同種の国内産「乳用種」の価格は輸入牛肉価格の下落に連動
して当然下落するが、これと「競合」する「和牛・交雑種」の価格もほぼフル
連動して下落することになるだろう。

「和牛・交雑種」の価格下落率が半分になることの合理的な根拠がない。

このような根拠がないことを勝手に決めて計算を行っているのだ。



より重大な問題は、このような変化が生じたときに、国内品の生産量が「維持
される」としていることに、まったく根拠がないことだ。

農林水産物の輸出を促進する必要があるとの説明を行った農水省の別の職員
は、「人口減少などで国内需要は減少の一途をたどることは明白だ」と述べ
た。

輸入牛肉の価格が下がれば、牛肉に対する需要のなかで、国内品から輸入品へ
の「代替」が生じるのであって、その結果として、輸入が増加する部分が国内
生産の減少につながることは当然のことである。

「乳用種」と「和牛・交雑種」は「同種」でないというだけで、完全に「競
合」するのである。

これまでは「和牛・交雑種」を購入していた消費者が、輸入「乳用種」の価格
が大幅に下がることを受けて、「和牛・交雑種」から輸入「乳用種」に需要を
シフトさせると想定しなければ、まともな「影響試算」となるわけがない。

農水省試算は、一番重要な試算結果である「国内生産量」がどの程度減少する
のかを試算したものでなく、「国内生産量は維持される」ことを根拠なく勝手
に決めて、その上で、これまた根拠のない価格下落率を乗じて生産金額をはじ
いているのだ。

「影響試算」と表現できる代物ではないのである。



私は1985年から86年にかけて、大蔵省財政金融研究所において、売上税
導入のマクロ経済に与える影響試算を担当した。

売上税を導入する一方で、所得税、法人税減税を実施する。増減税額は同額で
ある。

このとき、実質GDP成長率、個人消費、住宅投資、設備投資、輸出入に与え
る影響試算を行った。

マクロ計量モデルを構築して試算を行ったのだが、上司から与えられた課題
は、

「税制改革の結果、成長率、消費、住宅投資、設備投資にプラスの影響が出る
試算を行え」

というものだった。

マクロ計量モデルを人為的に操作すれば、指令に沿う結果を出すことはでき
る。

純粋な影響試算を行うのではなく、あらかじめ決定された結論に合う試算をね
つ造するのが任務だった。

大蔵省はこの試算結果を大蔵省が発表すると信憑性を欠くとの認識から、経済
企画庁から発表させた。

経済企画庁の枢要ポストを大蔵省が握っており、それらの人物が経済企画庁内
の工作を担当したのである。



農水省の影響試算も同種のものであることは明白である。

しかし、あまりにも杜撰な試算方法を用いたのでは、説得力が皆無である。

山田正彦元農水大臣が憤激を露わにしたように、日本政府は日本の農業を守る
ための行動をまったく示していない。

TPPからTPP11に移行する際に、日本が凍結を主張しなければならない
部分に対しても、日本は国民に対して一切の誠意ある行動を示していない。

農林水産業生産量への影響についても、議論に耐えられるような試算すら行っ
ていないのだ。

国民の利益を守らない安倍政権には即刻退場してもらわねばならぬし、このよ
うな売国の協定=条約を日本の国会が承認することは許されない。

国会における徹底追及が不可欠である。

 


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