山本太郎が新党「れいわ新選組」を立ち上げ、参院選に臨んだのが2019年春のこと。朝日新聞記者の牧内昇平さんは、当初は彼を「単なる目立ちたがり」だと思っていたという。しかし妻の勧めで演説を聞き、取材を進めるうちに、「本当に苦しい人たち」の多くが苦しい中での寄付をし、その集合体が4億円の寄付になったということを実感するようになった。

過労死など労働環境の取材を続け、『過労死:その仕事、命より大切ですか』の著書もある牧内氏は、「生きづらさ」を感じる人々が山本氏に希望を託していると痛感したのだ。

 

そこから、なぜこの「れいわ現象」は起きたのか、という視点で取材をし、まとめたのが『れいわ現象の正体』(ポプラ新書)だ。牧内さんが出会った「山本太郎に救われ、支えている人たち」はどのような人たちなのか。 発売を記念し『れいわ現象の正体』より抜粋掲載。今回は30代のシングルマザーをご紹介する。

生活に追われながら寄付をする人たち

厚生労働省の国民生活基礎調査(2016年)によると、日本の「貧困率」は15・7%。国民の7人に1人が貧困状態で暮らしている。これだけでも凄まじいが、ひとり親世帯に限定すると貧困率はさらに大幅に上がり、50%を超える。これでは当然、将来を見すえてお金をためる余裕はない。全世帯の約15%、母子世帯に限れば約 38%が、「貯蓄ゼロ」の状態である。

しかし、そんな生活が苦しい人びとが、わずかな貯金の中から山本太郎氏の「れいわ新選組」に寄付している。

ここに紹介するのは、ひとりのシングルマザーだ。   日本では年間およそ 20 万組の夫婦が離婚している。幼い子どもがいる場合、その多くが母親のもとで大人になっていく。育児と仕事を一人で担うシングルマザーたちは、「育児のために残業ができない→残業ができないと正社員になれない→低賃金で不安定な非正規労働で我慢するしかない」という負のループにはまってしまう。

年間およそ20万組の夫婦が離婚している Photo by iSotck

わたしが6月上旬に取材したシングルマザーは、仕事に追われ、家事に追われ、心のゆとりがなかった。政治のことを考える余裕なんて、少しもなかった。ただただ耐える。そんな生活だった。彼女の声を紹介しよう。