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正鵠を射る元外務省孫崎享氏の日韓問題への指摘

2018年01月17日 09時18分02秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                                         

 

                           「植草一秀の『知られざる真実』」

                                        2018/01/16

            正鵠を射る元外務省孫崎享氏の日韓問題への指摘

                第1946号

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安倍首相が非難し、御用メディアが提灯をぶら下げている日韓合意に関する韓
国文在寅政権の新方針は次のものだ。韓国の康京和外相が1月9日発表した。

外交省や女性家族省を中心に、被害者や関係団体の声に耳を傾ける一方、隣国
である日本との関係を正常に発展させていく方法を真剣に検討してきた。その
過程で、何より被害者の尊厳と名誉を回復しなければならないと肝に銘じた。
また、両国関係を超えて、普遍的な人権問題である慰安婦問題が人類の歴史の
教訓であり、女性の人権を拡大する運動の国際的な道しるべとして位置づけら
れるべきだとの点も重視した。あわせて北東アジアの平和と繁栄に向け、両国
の正常な外交関係を回復しなければならないことも念頭に置いて、政府の立場
を慎重に検討した。

(1)韓国政府は慰安婦被害者の方々の名誉と尊厳の回復と心の傷の癒やしに
向けてあらゆる努力を尽くす。

(2)この過程で、被害者や関係団体、国民の意見を幅広く反映しながら、被
害者中心の措置を模索する。日本政府が拠出した「和解・癒やし財団」への基
金10億円については韓国政府の予算で充当し、この基金の今後の処理方法は
日本政府と協議する。財団の今後の運営に関しては、当該省庁で被害者や関連
団体、国民の意見を幅広く反映しながら、後続措置を用意する。

(3)被害当事者たちの意思をきちんと反映していない15年の合意では、慰
安婦問題を本当に解決することはできない。

(4)15年の合意が両国間の公式合意だったという事実は否定できない。韓
国政府は合意に関して日本政府に再交渉は求めない。ただ、日本側が自ら、国
際的な普遍基準によって真実をありのまま認め、被害者の名誉と尊厳の回復と
心の傷の癒やしに向けた努力を続けてくれることを期待する。被害者の女性が
一様に願うのは、自発的で心がこもった謝罪である。

(5)韓国政府は、真実と原則に立脚して歴史問題を扱っていく。歴史問題を
賢明に解決するための努力を傾けると同時に、両国間の未来志向的な協力のた
めに努力していく。



この問題について、元外務省国際情報局長の孫崎享氏が見解を公表している。

「公式文書すらない日韓合意、韓国の見直しを非難する安倍首相のほうが異常
で非常識」

http://biz-journal.jp/2018/01/post_22002.html

孫崎氏は駐イラン全権大使も歴任した外務省のトップエリートの一人である。

日本のあるべき外交について、客観的な視点で適正な指摘をすることで知られ
ている。

本ブログ、メルマガで何度も取り上げてきた2015年12月28日のいわゆ
る「日韓合意」は、日本の岸田文雄外務大臣と韓国の尹炳世外交部長官による
外相会談が行われて従軍慰安婦問題について合意したというものである。

しかし、合意内容について日韓が公式な文書を交わすことはしていない。

日韓の両外務大臣が共同記者会見を開いてそれぞれが合意内容を発表するとい
う形式で行なわれたものである。

この合意のなかに、「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」との
表現が盛り込まれたが、日本側が強く求め、いまも求めていることは従軍慰安
婦少女像の撤去である。

ところが、日本サイドがもっともこだわっている従軍慰安婦少女像の撤去につ
いて、日韓外相合意では、韓国外相が、

「韓国政府は、日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し、空間の安寧、
威厳の維持といった観点から懸念しているという点を認知し、韓国政府として
も可能な対応方法に対し、関連団体との協議等を通じて適切に解決されるよう
努力する。」

と発表しただけで、慰安婦少女像の撤去を確約していない。



日本政府が外相合意で慰安婦少女像の撤去の確約を取っていないから、慰安婦
少女像がそのまま設置されることを問題としないのなら、これで「最終的かつ
不可逆的に解決」ということが覆されることにはならない。

しかし、日本政府が慰安婦少女像の撤去を求めるということであれば、201
5年12月の外相合意で最終的な解決になることは、もとより期待できること
ではなかった。

孫崎享氏は、国際約束の形式に、(1)条約、(2)行政レベルでの合意書、
(3)署名なしの合意、の三つがあると指摘する。

そのうえで、(2)や(3)の拘束は基本的に行政機関の存続期間に限られる
ため、新たな政権に順守を求めるなら、新たな政権と新たな約束を取り付ける
より方法はないと指摘する。

米国はTPP最終合意文書に署名したが、トランプ大統領は大統領に就任する
と直ちにTPPからの離脱を表明した。

国と国の間で交わした合意を一方的に破棄したことについて、安倍首相はトラ
ンプ大統領の行動を非難していない。ところが、韓国に対しては、合意の見直
しを激しく非難している。

これ以上のダブルスタンダードはないと言ってよいだろう。

韓国では大統領選挙があり、韓国の主権者が新しい大統領を選出し、その新し
い大統領が、これまでの外交についての見直しを行っているのである。

たしかに外相合意に「最終的かつ不可逆的に解決」の文言はあるが、日本政府
がもっともこだわっている従軍慰安婦少女像の撤去についての確約も取り付け
ていない合意が「最終的かつ不可逆的に解決」する決め手になるわけがないの
だ。

このようなあいまいな合意にしているから問題が解決していないのであり、日
本政府が韓国政府を激しく非難していることは、孫崎氏が指摘するように「異
常で非常識」であると言わざるを得ない。



孫崎氏のような識者が日本に残存していることが日本の救いである。

為政者のなかにも鳩山友紀夫元首相のように、真にアジア諸国との友好関係構
築に真摯に取り組む人物が存在したが、第2次安倍政権発足から5年の時間が
経過して、日本のアジア諸国との関係は著しく劣化してしまった。

健全な友好関係を構築するには、相互の信頼と尊重が必要不可欠であるが、安
倍首相には近隣諸国と積極的に友好関係を構築しようとする意志がまったく感
じられない。

安倍首相は東京五輪開催に異様なこだわりを示してきたが、五輪を大切にした
いと思うなら、隣国の韓国で開催される五輪も大切にするべきだろう。

その韓国で、この冬に冬季五輪が開催される。

安倍首相は平昌に飛んで行って、韓国五輪の成功に全面的な協力をするべきだ
ろう。

それを、韓国で政権が代わり、2015年の日韓合意では問題の真の解決を得
られないとの見解が示されたことに立腹して、五輪出席をボイコットするとい
うのは、あまりにも子供じみた対応である。



米国のトランプ大統領が米国が署名したTPPからの離脱を決めてTPPを迷
走させているのだから、同じ論理で考えれば、訪米もトランプ大統領の訪日も
断るべきではなかったのか。


米国に対しては米つきバッタのような対応を恥も外聞もなく展開しつつ、韓国
に対しては逆ギレ対応しているのでは、とても世界の信頼と賞賛を得ることな
ど不可能である。

北朝鮮との対応にしても、圧力の一点張りでは解決の糸口も掴めない。

拉致問題を解決すると公言しながら、問題解決に一歩も近付いていない。

北朝鮮の核放棄が前提条件だと言うが、そもそも、NPTの体制が「究極の不
平等条約」なのである。

現在の核保有国を含めて核兵器を廃絶する条約が国連で採択されたのに、日本
はこれにも背を向けている。

これでは、安倍政権には核廃絶の意思がないと受け止められて反論しようがな
いだろう。



イラクは大量破壊兵器を保有していると因縁をつけられて、米国を軸とする多
国籍軍に軍事侵攻を受けて滅ぼされた。

サダム・フセイン大統領は処刑された。

北朝鮮の金正恩総書記が、イラクの二の舞になることを警戒するのは当然のこ
とである。

イラクの二の舞になることを防ぐ唯一の方策が、敵の攻撃を抑止する「抑止
力」の確保であるとの論理も容易に導かれる。

現在の世界の核保有の矛盾についての適切な考察を欠いて、馬や鹿の一つ覚え
のように「圧力、圧力」と唱え続けても、何も解決しない。

ロシアのプーチン大統領、中国の習近平主席、米国のトランプ大統領の方が、
はるかにリアリズムを持って現実に対応していると言わざるを得ない。



韓国と北朝鮮はもとより一つの国家である。

ドイツが東西に分断され悲劇の時代を経験し、ついに東西ドイツの統一という
大事業を成し遂げた。

韓国の文在寅大統領が目指しているのは、南北の融和とその延長上の南北統一
であると考えられる。

その視点に立って、南北の融和路線を模索しているのが韓国であり、こうした
対応に対して、必要十分な理解の姿勢を示すことが求められている。

五輪は平和の祭典であり、この平和の祭典を通じて、南北融和の糸口を掴もう
とすることを頭ごなしに否定するべきでない。

そして、安倍首相自身も平和の祭典の場を、難しい外交問題解決の糸口を掴む
場として最大限に活用するべきなのである。

子供じみた対応で逆ギレ対応を示しても、建設的な結果を得ることは不可能で
ある。



日米関係は日本にとってもっとも重要な二国間関係の一つであるが、同時に日
韓関係、日中関係も、同党に重要な二国間関係である。

北朝鮮問題についても、米国を含めて、ロシア、中国、韓国が「対話」も重要
な手段と位置付けて、さまざまな外交努力を展開しつつある。

日本だけが「対話」を拒絶して「圧力」一点張りで行動するなら、日本だけが
孤立するという図式も浮かび上がってしまう。

北朝鮮の体制に問題があり、通常の外交解決が困難であることを理解しない者
はだれ一人としていない。

だからこそ、問題解決は容易でないのだが、あらゆる手法を駆使して、問題を
平和的に解決することこそ、最重要の目標であることを改めて確認する必要が
ある。

この意味で安倍外交の稚拙さの修復が喫緊の課題になっている。

 


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