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アベノミクスの正体と共生の経済政策

2016年01月18日 09時06分40秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                  

 
 

                      「植草一秀の『知られざる真実』」

                             2016/01/16

 アベノミクスの正体と共生の経済政策

               第1342号

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 2016年が明けて半月が経過したが、経済環境は厳しさを増している。

第二次安倍政権が3年も持ちこたえてきた最大の拠りどころが株価上昇だっ
た。

たまたま円安が進行し、これに連動して株価が上昇したために、第二次安倍政
権が3年も持続したのである。

しかし、その最大の拠りどころに暗雲が垂れ込めている。

2016年が明けて半月の時間が流れたが、この間に日経平均株価が上昇した
のは、わずか1日だけである。

日本経済の先行きに対する不安が急速に広がり始めている。

株価下落は日本だけの現象ではなく、グローバルな広がりを持つ現象ではあ
る。

NYダウも1月15日には16000ドルを割り込んだ。

すでに記述してきたように、世界的な株価下落の最大の背景は中国株価の下落
である。

昨年6月までの1年間に上海総合指数は2.6倍の水準に暴騰した。

この株価が昨年6月以降に急落し、9月には2850ポイントにまで下落し
た。

その後、12月にかけて3600ポイントを回復したが、年明け後に3000
ポイントを再び割り込んだのである。

この中国が震源地になって世界の株式市場が動揺している。

また、サウジアラビアとイランの対立激化など、地政学リスクの高まりも株価
下落のひとつの要因になっている。



しかし、それだけではない。

日本の経済政策が緊縮政策の度合いを一気に強め始めているのである。

詳細は、『金利・為替・株価特報』2016年1月18日号に記述した。

1990年以降、26年間の日本経済の浮き沈みを形成してきた、最大の要因
は経済政策である。

経済政策の積極・緊縮の繰り返し、経済政策の右往左往が、日本経済の長期低
迷の主因である。

第2次安倍政権は2013年には積極政策を実行した。

しかし、2014年には消費税増税を軸に超緊縮政策を強行した。

このために、浮上しかけた日本経済は撃墜されてしまった。

2015年は消費税再増税を先送りしたが、そこに原油価格下落が重なったか
ら、日本経済は何とか持ちこたえたのである。

ところが、2016年度の財政政策運営が超緊縮に転換する。

このため、日本経済が再び転落する恐れが生まれ始めている。

年初来の株価急落の背景に、この問題が存在することを忘れてはならない。

さらに言えば、2017年4月には、消費税率を10%に引き上げる方針が示
されている。

このまま政策変更せずに突き進めば、日本経済は大崩落を起こしかねない。



株価が上昇した過去3年の間も、一般庶民に景気回復の実感はなかったし、ま
た、実際に一般庶民は景気回復の恩恵に浴していない。

株価は上昇したが、経済全体が浮上したわけではなかったのである。

経済全体が浮上しなかったのに株価が上昇したのは、経済活動の果実の分配に
おいて、資本の取り分を増やして、労働の取り分を減らしたからだ。

一般庶民が株価上昇に見られるような景気浮上の実感が広がらなかったのは、
当たり前のことなのだ。

2016年は選挙の年になる。

安倍政権はこの選挙にも勝って、憲法改定に突き進む構えを示しているが、そ
うは問屋が卸さないかも知れない。

頼みの綱の株価まで下落すれば、アベノミクスの化けの皮がはがれてしまうか
らだ。

日本政治の流れを変えるために、いま、新しい経済政策の提案が求められてい
る。

経済が浮上していないことも問題だが、それ以上に重要な問題は、生産の結果
生み出される果実の分配に、著しい不公正、歪みがあることだ。

格差拡大が、経済政策によって推進されていることが重大な問題なのである。

すべての労働者の正規化実現を目指すべきである。

最低賃金の引き上げを実現するべきである。

すべての国民に、一定水準の所得を保障するべきである。

これこそ、主権者が求める、本当の意味の「三つの的」、「三本の矢政策」だ
ろう。

そして、経済全体を浮上させるには、財政政策の超緊縮を中止する必要があ
る。

具体的には、まず、消費税率10%への引上げを完全中止するべきである。

選挙の年である2016年。

経済政策における、明確な対案を示すことが重要性を増している。



日本の経済政策は、過去25年の間に、

共生

から

弱肉強食

の方向に大転換した。

その象徴が税制にくっきりと表れている。

25年前の税収構造はこのようなものだった。

所得税 27兆円(91年度)

法人税 19兆円(89年度)

消費税  3兆円(89年度)

これが2015年度当初予算では

所得税 16兆円

法人税 11兆円

消費税 17兆円

になった。



所得税や法人税に比重を置く課税は、

応能課税

の原則に立つものと言える。

応能課税

とは、

「能力に応じた課税」

で、経済的な力の強い者に、税を多く負担していただくというものだ。

これに対して、消費税に比重を置く課税は、

庶民課税

の原則に立つものと言える。

経済的な力が弱い人からも、容赦なく税金をむしり取るというものだ。

消費税においては、所得ゼロの人も、億万長者も、税率が同じである。

所得税の場合は、年収325万円までは課税金額ゼロである一方、億万長者は
所得の55%を税金として納めなければならない。



所得税を中心にして、税率の累進構造を急勾配にすると、働く意欲、頑張ろう
と思う意欲が損なわれることが指摘されてきた。

それはそれで、一面の真理を衝いているかも知れない。

しかし、日本の過去25年の変化は、あまりにも急激すぎる。

とりわけ、現時点では、所得の少ない層の生存権までもが脅かされる状況が生
まれている。

一生懸命に働いているのに、極めて低い時給が固定されて、年間所得が200
万円に届かない。

正社員になって、労働者としての地位が安定し、福利厚生も一定程度は受けら
れるという道が、多くの人々にとって閉ざされるという状況が生まれている。



欧州諸国では、若い人々に対して、教育を受ける機会を保障するために、学費
の支援などの制度が確立されている。

ところが、日本では、多くの子供が、貧困状況に置かれたまま放置されてい
る。

日本の財政規模は決して小さくない。

財政支出の内容を見直せば、経済的な力が弱い人々の生活をしっかりと国が支
える制度を確立することができる。

その目的の実現のためには、まずは、税制を積極的に活用するべきである。

法人税を大幅減税して、所得の少ない人々に対する対応を十分に取らぬまま、
消費税率を10%に引き上げるのは、あまりにも乱暴で、冷酷な政策対応であ
る。

経済政策の方向を、

弱肉強食推進

から

共生

の方向に、大転換するべきだ。


選挙の年である2016年、私たちは、この経済政策の問題を広く訴えて、新
しい経済政策の流れを生み出すことを提言するべきであると思う。




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