青みかんと準惑星

小ネタ乗せようかと思ってます。
時々二次系の下書き・・・

かささぎ

2017-07-10 00:21:27 | 二次系
おじさんの仕事についてきた僕たちは、佐賀にいた。
七つ釜をみたり、虹の松原をみたり、甘夏ソフトを食べたり。
こうして6人で旅行するのは、しばらくないかもしれない。

悠理は一週間後に渡米することになっていた。
1年間、大学を休んで留学をする。
留学といっても向こうの大学に行くわけではない。
おじさんの知人の所にお世話になるという感じだった。
日本語のない環境において、英語に慣れさせるというおばさんの策略のようだった。
悠理の場合、身振り手振りでなんとかしてしまうのではないか、と思ったが、おばさんが怖いので僕たちは何もいわない。
悠理は進級すれすれの単位しかとってなかったので、休学についてはあまり気にしていないようだった。
来年、卒論、就職活動などがある。
といっても、僕と野梨子は就職活動は行わない。
僕はまだ卒業はしないし、野梨子も修士課程へと進学をする。

来年は忙しくなる。

悠理が戻ってきたときには、旅行にいくのは難しいだろう。

おじさんとは空港で分かれ、僕たちはレンタカーを借りた。
3列シートの車で、魅録が運転し、隣に悠理、可憐と美童が真ん中、僕と野梨子が後ろに座っていた。
野梨子は疲れたのか、僕に身体を預けて眠っている。
僕は旅館へ向かう車の中から、窓の外をみた。
海が凪いでいる。
きらきらと水面が光っていた。
こんな景色は僕一人で見るのではなく…、と妄想しかけて、やめる。
僕が何をどう言おうとも、悠理の留学は変更にはならない。
たった1年だ。
僕たちの気持ちがたった1年で、離れるはずがない。

僕と悠理は今年の4月から付き合っていた。
悠理に付き合わされて、夕食の後に格闘の映画を見に行った。格闘のはずだったのに、半ばからはホラーとなり、最後はR15のラブロマンスだった。
B級なんてものではない、B級にも及ばない。
悠理はかなりホラーシーンでおびえていて、僕の手をずっと握っていた。
そして、ラブシーンがかなり甘美で、悠理が僕から手を離そうとしたので、僕は悠理の手を握り返した。
はっとした顔で僕をみる。
僕はそのまま軽く悠理に口づけた。
僕は、高校生の頃から、悠理のことが好きだった。
その日、僕は悠理を家に帰さなかった。
口づけし、抱擁し、飽くことなく体を交わした。
僕は翌日には、付き合っていると皆に言いたかったが悠理のほうが恥ずかしがっていたので、話していない。

あれから三か月。
そして悠理とはしばらく会えなくなる。
いますぐにでも抱きしめたいと思うが、考えないように窓の外を眺めていた。

旅館につくと、笹が飾られていた。
そうか、明日は七夕だった。
そんなことをふと思う。

「お風呂に入ってから夕食にするでしょ?」
可憐が皆に聞く。
「そうですね」
「じゃあ、夕食は6時半で」
可憐がフロントの女性に伝えた。
男性部屋、女性部屋で鍵を2つもらう。
2つの部屋は、隣同士だった。
女性のほうが角部屋をとる。
「夕食時にね」
可憐が声をかけて、僕たちは一度分かれた。

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ネタ帳はネタ帳です。
七夕にアップしたかったんですけど、頭の中だけで、文字化が進みませんでした。