公開初日に行って来た。そんな急いで行くつもりは無かったのだけど、公開前日にテレビでトップガンを放映するってどんな罠だよ!ヽ(`Д´)ノ
以下ネタバレあり
ネタバレって言っても歴史を知っている人にはネタバレなんか無いわけで、記録に無いところを想像で補っている他はほぼ史実通り。
人間ドラマ的な部分は大幅に削られ、暗殺の計画と実行、それが成功するか失敗するかに焦点を当てて描かれている。これで話のスピード感を出すことに成功している。結果から言えばもちろん失敗するのだが、途中まで「これは成功するんじゃないか?」と思わせる演出が良い。何も知らない人が観ればそう見えると思う。知っている人が見れば、その後の失敗の原因が伏線として張られているところにニヤリとできる。
一方でやや説明不足の個所があることがやや残念。多くの部隊や施設を押さえているのに何故ベルリンの制圧が失敗したか、わかりづらいのではないだろうか。話の流れではレーマー少佐の部隊がヒトラー側について戦局が逆転したとなっていて間違いでは無いのだが、たかが500人の部隊だけでどうしてひっくり返るのかがわかりにくい。
また、フロム大将が処刑された理由も推察はできるが、唐突に字幕でその後の運命を書くのは突然すぎるように感じる。
クーデター側の人物はみなおよび腰で、それだけに強固な意志を持っているシュタウフェンベルク大佐が目立っていた。というか目立ちすぎ。トム・クルーズ一人でクーデターをやっているようにすら見える。
ヒトラーの演技は「ヒトラー最後の12日間」を観た後では並としか見えないが、ヒトラーの影響力の大きさが良く表されている。特にシュタウフェンベルク大佐を生きたまま捕らえよと命令するところは戦慄がはしる。
ゲッベルスは珍しく良い役どころ。こんなにかっこいいゲッベルスは初めて見た。
見所の一つとしては風景が挙げられる。ベルリンの町並みも良いがその風景ではなく、随所に見えるナチスの様式美のようなものだ。
もうひとつは爆音。凄いでかい音なので、映画館で観る価値あり。音でびびる。
物語の後半にシュタウフェンベルク大佐らが電話の応対に忙殺されるところも個人的に良かった。実際の計画が杜撰であった結果ではあるのだが、その部分を含めて後半はクーデターの緊迫感が良く出ていて引き込まれる。その後、クーデター側が追いつめられていく描写がイマイチだが、暗殺実行からクーデターへの流れは良い。トム・クルーズも予想よりはドイツ軍人っぽく、予想以上に面白い映画だった。