図書館便り「LIBRARY NEWS 2月号」を発行しました。
今月号の特集は「第148回芥川賞・直木賞発表!!」として、
話題性に富んだ3作品『abさんご』『何者』『等伯』を紹介いたしました。
こちらに(
Yahoo版、
Google版)アップしてあります。
「今月の作家」として、評論家の小林秀雄氏を取り上げました。
今年は生誕111年、没後30年なのですが、別の意味からもちょっと話題になっています。
先月行われた大学入試センター試験の評論問題文に、氏の「鐔(つば)」が出題されました。
そして、平均点中間集計で国語の平均点が大きく下がって5割を切り、
その原因(?)がこの評論文によるものだとの意見が多いのだとか。
私は試験翌日に新聞でセンター試験国語問題文を見て
「評論文が小林秀雄!懐かしいなぁ~。」と思いました。
私が受験したころは(共通一次世代)、
文系受験者で小林秀雄は避けて通れないほど多くの大学で出題されました。
よって、受験生が小林秀雄の評論文を読んだり勉強するのは当たり前でした。
でも、いくら勉強しても前もって読んでいた作品でも氏の評論文は難解で、
逆説的な言い回しや二重否定の表現などに苦労したものです。
今の受験生はこの読みなれない評論文にきっと苦労するだろうなぁ、と思っていました。
しかも題材が刀の「鐔」、
(「注」にイラスト入りで説明されるほど)それ自体を見たことも聞いたこともない高校生は、
書かれていることが想像すらできなかったでしょうね。
センター試験の小説も戦前期に活躍した牧野信一氏の『地球儀』という作品の全文で、
小説のなかに小説が入っている重層的な構造になっています。
これがわかっていないと場面や登場人物の想定が難しかったでしょうね。
戦前のインテリが英語を会話に多用するといった欧米文化偏重を良く表す表現でさえも、
表面的に突飛な言葉ばかりに気をとられてしまったのでしょう。
今までに出題された小説は、
江國香織、南木佳士、池澤夏樹、中沢けいのような現在活躍中の作家から、
森鴎外、夏目漱石、三島由紀夫のような文豪まで非常に幅広いです。
今年の国語問題は
「日本文学好き」「日本文化好き」な受験者は得点できたのかもしれないですね。
そういう生徒が少ない(私としては残念なことですが)という点では、
全受験生に公平だったとも言えるのではないでしょうか。
(以上、あくまでも私見です。)
昨今、各種マスメディアに本校が登場しております。
良いニュースだったらよかったのだけれど…
学校側はこういう事態になったことに対して責任を感じておりますし、心を痛めております。
ご心配、ご迷惑をおかけし、大変申し訳なく思っております。