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直実節

2010-11-03 | いろいろ
直実節(なおざねぶし)という歌をご存知ですか?
ご存知の方は、きっと、日本一暑くて有名な埼玉県熊谷市で小学生時代を送った方。
熊谷駅前には、写真(熊谷市HPより)の直実像が建っています。

この直実節が、
明日11月4日夜9時~の日本テレビ系番組「カミングアウトバラエティ!! 秘密のケンミンSHOW」
で取り上げられます。
TVが取材に来たと言っていたので、もしかしたら姪っ子が映るかも!

私は、生まれは埼玉県入間市ですが、小学生の時に熊谷市に転居しました。
昔(どれくらい?)から今日まで、熊谷市の全小学6年生は運動会でこの「直実節」を踊ります。
私も小学生の時踊りましたし、今でも踊りを覚えているし歌も歌えます。
それほど徹底して教え込まれるものなのですが、
その当時は何の歌だか、誰の事だか知らずにいました。

その後、長じて、学校の古典の授業で平家物語を学んだ時に、
「直実節」とは、一ノ谷の合戦で、
熊谷市出身の武士、熊谷次郎直実が平敦盛を討った場面を歌ったものだとわかり感動しました。
歌詞も意味がわかるようになってみると、実に味わい深いものです。

「直実節」   栗原ひろし:作詞
   1 秩父の峰の雪白く 名も荒川の風寒し
     ここ武蔵野の大里は 関東一の旗頭
     直実公のふるさとぞ       
        (詩吟 「青葉の笛」)
        一の谷の軍破れ 討たれし平家の公達あわれ
        暁寒き須磨の嵐に 聞こえしはこれが青葉の笛
   2 源平須磨の戦いに 花も恥らう薄化粧
     智勇兼備の将なれば 敦盛の首討ちかねて
     無常の嵐胸を打つ
   3 人生うたた五十年 夢まぼろしに似たるかな
     今は栄位も何かせん あまねく人を救わんと
     その名も熊谷蓮生房
   4 流れて早き年月に 武蔵野山河変わるとも
     坂東武者の精神(こころね)は われらが胸に今もなお
     生きてぞ通う直実節

作詞されたのは埼玉県知事であった栗原ひろし氏らしいです。

巻九「敦盛の最期」は平家物語の中でも、私の大好きな箇所です。

落ちぶれて逃げてゆく貴族の平家を、追いかける坂東武者の直実、
とらえて討ちとろうと顔を見ると、我が子と同い年くらいの美しい若者。
一騎打ちの場面で、躊躇する直実、「私を討て!」という敦盛、
泣く泣く首を取るのですが、良く見ると腰には笛を携えていて、
こんな荒れくれた戦いの場にも芸術も忘れないという風雅な姿に心を打たれた直実は、
立派な手柄を立てたにもかかわらず、
その後、法然に弟子入りし法名を法力房蓮生として出家します。
ゆかりの寺は熊谷市のY百貨店裏の熊谷寺(ゆうこくじ)です。

原文の
「熊谷あまりにいとほしくて、いづくに刀を立つべしともおぼえず、
目もくれ心も消え果てて、前後不覚におぼえけれども、
さてしもあるべきことならねば、泣く泣く首をぞかいてんげる。」
の部分などは、読んでいて涙が出そうになります。

その場面は、平家物語絵巻にも描かれていて、
熊谷市にあるホール、県立熊谷会館の緞帳になっています。

この絵も、小さい頃は何の絵だか興味も関心もなかったです。。

歌舞伎がお好きな方は、「熊谷陣屋」という演目でも有名なのでご存知かと思いますが、
歌舞伎はフィクションですから史実とは多少異なります。
歌舞伎では、主の言いつけで敦盛の首を取ったこととして逃がし、
自分の息子小次郎の首をその身代わりとして差し出すのです。
その首を見てしまった直実の妻が、息子の死を嘆き悲しむというのがあらすじです。

泣く泣く首を取ってその後出家してしまったことといい、
歌舞伎では君主に忠実な武将として描かれることといい、
直実の人間性が表れているように思います。

野草に「クマガイソウ」と「アツモリソウ」もあります。
能の演目『敦盛』や、幸若舞の演曲『敦盛』文楽でも演じられています。
武家のさがや世の無常観を象徴する、平家物語の名場面ともいえるのでしょうね。

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
holyさま (ぐり)
2010-11-04 00:14:27
ずいぶん詳しく調べたのですね。

私も この歌は知っていますし、最近は踊りもします。
中学生のころにも 民踊として踊った記憶があります。
私くらいの年代の人は ほとんど知っているんじゃないかな。

美里にも 熊谷がつく地名があり、そこが直実さんの生まれたところだいう人もいらしたようで。。

 戦国武将でありながら 武勇でなくその優しさを後世に伝えられるなんてなかなかいないですよね。
 K市の方たちが誇りに思うのは、よくわかります。

TV (hana)
2010-11-04 22:39:52
熊谷へ嫁ぎ近所の公園で盆踊りの時は直実節が
聞こえ見に行きました。
小学校の運動会で扇子を持ち踊る姿をTVで見て
郷土を大切に思い成長していくと思いました。
ぐりさま (holy)
2010-11-04 23:15:48
このTV番組が、幼少の頃からの知識の断片を集めるいいきっかけになりました。
古典を生徒に教えていた時、『平家物語』の単元での私の思い入れはかなりのものでした!
ぐりさんのおっしゃるように、
武勇だけでなくその人間性を後世に伝えられているというのがいいですよね。
TVでは地味な踊り、のように言われていましたが、
地域性を大切にしていていいですよね♪

M町とのつながりは多分、武蔵七党との関係ではないかと思います。
hanaさま (holy)
2010-11-04 23:24:25
TVを見て下さったようで有難うございます。
TVで姪っ子を捜しましたが、良くわかりませんでした。。。
子どもたちがちゃんと直実のことを知っていてビックリです。
盆踊りでも踊りましたね~。
私の小学校では、秩父音頭も踊りましたよ♪
初めてコメントいたします (Kac)
2010-11-05 18:31:58
初めてコメントさせていただきますKacと申します。
この記事を読ませていただき内容の深さに感心いたしました。当方のブログで、この記事を紹介させていただいてよろしいでしょうか。
Kacさま (holy)
2010-11-05 22:38:13
コメントありがとうございます。
拙いブログですが、見ていただけてとっても嬉しいです♪
これからも是非ぜひよろしくお願いしますね。私のブログを紹介していただけるなんて、有難いです。

Kacさんのブログも拝見いたしました。
私もこんな自転車を持っていますよ。
http://blog.goo.ne.jp/library1789/e/42f8fa158ee081baa7710408358534bf
宝の持ち腐れになっています。。。
Unknown (リバー)
2019-08-24 08:28:57
歌舞伎狂いですので熊谷陣屋は幾度となく観ておりますが何時も敦盛の首を打つのが忍びなく我が子の首を打ち義経の前に差し出す熊谷の心情と妻相模の嘆き、クライマックス花道にての16年は一昔 夢だゆめだのくだりには涙が出ます。何度観てもですよ、熊谷役者は今の二代目吉右衛門さんが最高です。
又機会があれば観たいです。
リバーさま (holy)
2019-08-24 22:16:45
コメントありがとうございます。
このシーンは、本当に胸に迫るものがありますね。
私が観たのは7年前、
市川団十郎さんが熊谷次郎直実と薩摩守忠度の二役、
坂東三津五郎さんが九郎判官義経と岡部六弥太忠澄の二役、
お二方とも既にお亡くなりになり貴重な公演だったと、今、思います。

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