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西加奈子 著 『夜が明ける』

2021-12-28 | 本の紹介
西加奈子 著 『夜が明ける』(新潮社)読了しました。
読了してかなり日が経っているのですが、衝撃が強すぎてやっと今、記事にできます。
(画像はAmazonHPより)

高校生の時に出会った「俺」と「アキ」男性2人の33歳までのストーリー。
普通の家庭で育った俺と、 母親にネグレクトされていた身長191cmで吃音のアキ、
映画好きの俺が外国人俳優に似たアキに声をかけ互いにかけがえのない存在になっていきます。
大学卒業後、俺はテレビ制作会社に就職し、 アキは劇団に所属しますが、
お互いに焦がれて飛び込んだ世界は理不尽に満ちていて、2人は心も身体も壊れていきます。

男性ふたりの友情と成長の物語?と思いきや、社会の中で消耗されてしまう彼らの姿は、
どこまでも悲しく、辛く、厳しく、物語の中に入り込んでしまった私は、
しばしば読むのを止めなくては自分の精神が持たないような気がしてしまいました。
自分の気持ちが落ちている時には、読まない方が良い作品と思います。
こんなに今の日本で生きる若者たちは辛いのか?!
特に、TV業界の話は読むに堪えがたく、華やかな番組の裏の制作現場がこんなに劣悪とは!
と、しばらくTVを冷たい目で見ている私がいました。

ただ、最後にはほんの少しだけ明かりが見え、
タイトル『夜が明ける』にも作者の再生と救済のメッセージを込めたのでしょう。
「直木賞作家が5年間苦しみ抜いて到達した祈り」なのだそうです。
直木賞受賞作『サラバ!』『i(アイ)』など、
西加奈子さんの作品は、見えていない社会への新たな視点を与えてくれます。

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