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追悼 大岡信氏

2017-04-09 | 本の紹介
現代日本を代表する詩人のお一人で、長年朝日新聞にてコラム『折々のうた』の連載を続けてこられた、
詩人の大岡信さんが4月5日に享年86歳でお亡くなりになりました。
とても残念なことです。

大岡さんは1931年、静岡県三島市で生まれ、東京大学文学部の国文学科を卒業後、
読売新聞社に記者として入社。
退社後は詩歌雑誌の編集長や明治大学法学部教授、東京芸術大学音楽学部教授などを歴任されました。
1995年に恩賜賞・日本芸術院賞を受賞、1997年には文化功労者に選ばれ、
朝日新聞に「折々のうた」を1979年1月から2007年3月まで書かれたその業績で1980年に菊池寛賞を受けました。

私が氏に関することで一番良く覚えているのは、中学校教員時代に2年生の国語教科書の最初の単元にあった、
大岡信氏の「言葉の力」という随筆です。
その内容を桜の咲くこの季節になるといつも思い出します。

染色家志村ふくみさんの仕事場で、
桜色に染められた着物を見てその美しい桜色に感動した筆者。
きっと桜の花びらを集めて色を取り出すのだと思い、どのようにこの色を取り出すのか聞いたところ
桜の花が咲く直前のころの木の皮から色を取り出すと知って驚きます。
美しい花を咲かせるために、木は全身で色を作り出している。
これは言葉と同じだと思った筆者は、
言葉の一語一語が桜の花びら一枚一枚と同じで、美しい言葉もそれを発する人が全身で作り出すもの、
と書いていらっしゃいました。

また、万葉集の研究でも知られ、
私は卒論で万葉集の歌人 大伴坂上郎女を研究しましたので、そちらでも馴染みのある方でした。

まさに桜の咲くこの季節にお亡くなりになり、
お好きだったという西行の「願はくは花の下にて春死なむ その如月の望月の頃」の歌のようです。
西行も詠んだ歌の願い通りに、桜の花の舞い散る日に安らかに亡くなりました。
その時代にはソメイヨシノはなかったので、今の暦で3月に咲き始める吉野山のヤマザクラのことでしょうね。

そんな今日、哀悼の意も込めて、久しぶりに実家のあるK市の荒川土手桜堤の夜桜を見に行ってきました。
日中の風雨もやみ、満月に近い春の月が満開の桜を照らしていて、感慨深いものがありました。
 

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