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古市憲寿 著 『平成くん、さようなら』

2019-03-02 | 本の紹介
3月に入り、ひときわ春めいてまいりました。
2月は28日間と短かったのですが、先月の読書は以下の8冊でした。
holyの本棚 - 2019年02月 (8作品)
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今日紹介するのは、古市憲寿 著 『平成くん、さようなら』(文藝春秋)芥川賞候補作でした。
話題のチームラボプラネットで撮影したであろう表紙写真が目を引きます。
平成時代が始まった平成元年(1989年)1月8日に生まれた主人公の名前は平成(ひとなり)、
彼は時代を象徴する人物としてマスコミで活躍し何不自由ない暮らしをしていますが、
恋人に「平成時代の終わりと共に合理的にクールに安楽死することにした。」と言います。
彼らは都心タワマンで裕福に暮らし、文中には○○チョコレート、△△の腕時計、××ホテル、
Uberサービス、など、ハイブランドの名前が次々に出てきます。
読みながら「これはバブル期の田中康夫 著『なんとなくクリスタル』に似ている!」と思いました。
最後には平成くんが安楽死したい本当の理由が明かされますが、
その理由は決して未来的だったりファッショナブルではなく、ごく一般的な悩みだったのです。

読み始めの頃は「この作品のどこがいいの?!」と懐疑的になり、退屈ささえ感じていたのですが、
読了後には、時代の最先端を生きる主人公ならではの悲しみと人間らしささえ感じました。
どんなに裕福でも、社会的に認められていても、辛いと思う事は誰でも変わらないのに、
社会的立場上、それを理知的に未来的にファッショナブルにやり過ごさなければならない悲しみ。
レビューでは高評価と低評価の両極端2つに分かれているのも、よくわかります。
マスメディアで見る作者の古市憲寿氏は媚びずに歯にころも着せぬ物言いで、好感を持っています。
提唱されていた「保育園義務教育化」、今年10月から少し近づきますね。

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