南の山の稜線から雲はもくもく湧き上がっているが、今日も雨は降りそうにない。
Aさんは今年二人目の退職者だった。
一人目は向かいの席のKさん。
9年ぶりに妊娠したことが分かり、9月の出産を前に7月一杯で退職した。
Kさんは仕事の出来る人だった。
頭の回転が速く、きちんと自己主張し、物怖じしない。
仕事を選ばないので難しい内容の学集会や講演会の記事は全部任された。
他の人の文章の校正も鋭く指摘するので、最初はちょっと怖かった。
自分の意見に固執するわけでもなくちゃんと協力してグループでの仕事もこなした。
そんな優秀な人がいなくなって、何か見過ごしたり、間違っていたりしないかと不安だ。
思えば私が最初に広報グループに来た頃の仲間はKさんが最後だった。
転居や定年で文章を書ける人が辞めていき、とうとう誰もいなくなった。
みんな書いてはいるが文は平坦で、深みのある表現は形を潜めた。
これはこれで仕方のないことだとは思うが。
それにしても後1ヶ月もすればかわいい赤ちゃんが産まれてくる。
楽しみだ。
写真はKさんが最後の仕事の日に渡された花束。
花束を持ってバスに乗ると恥ずかしいのよね~と笑って帰っていった。
新しい働き方を模索しながら、結局は潰したり潰されたりする人が多かったのはなぜだろう……と考えさせられることが多かったです。
残暑は厳しいけど、しばしの休暇、ゆっくりできますように。
私も早く足を洗った方がいいかしら(笑